11月8日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「ソウルフードに、リスペクトを持とう。」
――『石焼き芋史』『キツネうどん史』
「あがきながら、楽しもう。」
――『アドレナリン』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
納豆を食べる。それから焼き芋で整える。
これが、中谷さんの「朝のルーティン」。
タンパク質に食物繊維。「魂」に効く、ソウルフードです。
もう一つのソウルフード、それは「キツネうどん」。
「天王寺駅の立ち食いうどんは、ぬるい。
関西人はせっかちだから、速く食べたい。」と中谷さん。
ソウルフードから見えてくる、歴史、土地柄、人情。
ソウルフードとの出会い方、中谷さんから伺いました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
焼き芋の誕生は、わりと新しく、1960年代。
最初は、出稼ぎ労働者の冬の仕事として始まったとか。
それが向島の花街で広まり、人気に火がつきました。
焼き芋は、中谷さんのソウルフードの一つ。
「古新聞の匂いを嗅ぎながら、喋らない。
焼き芋は、一人の世界に入れる。」と中谷さん。
マインドセットを促す食べ物を持っておきたいですね。
「納豆を食べてから、焼き芋で整える。マグマ塩が合う。
これが、僕の朝のルーティン。」と中谷さん。
朝ごはんに、焼き芋というのは意表を突かれました。
でも、あの甘さとホクホク感は、テンション上げてくれます。
最近、朝ラーメンを食べるのが流行っているとか。
たしかに、夜食べるより、朝のほうが効果あるかも。
栄養も大事ですが、魂に響く食べ物も大切ですね。
「ピラミッドを築いたときのエジプトピザ。
大坂城築城の労働者に振る舞われたのがうどん。
このとき、うどんが関西で定着した。江戸時代、
天下の台所・大坂には、全国の物産が集まってきた。
北前船が昆布や塩、小麦粉を運んできた。」と中谷さん。
うどんは、関西に生まれるべくして生まれたのですね。
キツネから連想されるのが、お稲荷さん。
稲荷大明神といえば「正一位」という位人臣を極めた官位。
なぜ、キツネがこのように尊崇されているのでしょうか。
調べてみると、ご祭神は「倉稲魂命」という神様。
キツネは眷属。言ってみれば、マスコット的存在でした。
「稲荷信仰は、あきんどの信仰。商売繁盛の神様。
おたがい助け合うのが関西人。」と中谷さん。
キツネうどんは、商売繁盛の食べ物でもあったのですね。
同じ関西でも、京都では、また事情が違ってくるようです。
刻んだ油揚げに、くずあんをかけたうどんが「たぬき」。
「京都は、出前文化。冬とても寒い。だから、あんかけ。
湯気が出ていないのに、熱い。騙されるから、たぬき。
舞妓ちゃんもお坊さんも、大口開けるのは、おしゃれじゃない。
だから、短冊のように切った。」と中谷さん。
ちなみに、大阪で「たぬき」といえば、
関東で言う「きつねそば」を指すそうです。
「もともとは、素うどんしかなかった。
サイドメニューに、カマボコと薄揚げを出したら、
せっかちな関西人は、うどんに載せてしまった。
これがキツネうどん。お客さん発祥。
天王寺駅の立ち食いうどんは、ぬるい。
商売人は忙しい。熱いと、急いで食べられない。」
いかにも関西的なエピソードですね。
「関西人は、帰るとき、テーブルをダスターで拭く。
これがマナー。関西人は、どこかお店の人。」と中谷さん。
当事者意識、これが関西人を特徴づけているようです。
物腰やわらかく、一歩踏み込んでしまう。
その背景にある精神は、家族的なリスペクト。
お店も家も、店員さんも家族も、一線を引かない。
関西人の人気の秘密は、ここにありそうですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
生き延びるためには、アドレナリンを出し続けるしかない。
ドラッグ、暴走、セックス、格闘。あらゆる手段で、
アドレナリンを出しながら、逃げ続けるチェリオス。
天才的な偽造テクニックと堂々とした立ちふるまい。
逃げることなく、その場を制圧してしまうフランク。
「追い詰められたとき、真価が現れる。」と中谷さん。
今回は「アドレナリン」と「キャッチミー・イフ・ユー・キャン」。
ピンチを機転で切り抜ける方法、中谷さんから教わりました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
1本目の映画はジェイソン・ステイサム主演の「アドレナリン」。
アドレナリンを出し続けなければ、死んでしまう男の物語です。
「興奮と恐怖で、アドレナリンは出る。
無茶な設定、無茶なキャラ。」と中谷さん。
救急患者からAEDを奪う。ショッピングモールを爆走する。
レッドブル飲んで、コカイン吸って、大勢の敵と格闘。
挙句の果てに、衆人環視のなかでエッチ。
まさに、アドレナリンほとばしる映画です。
アドレナリンを求めて、走り続ける主人公。
「奪った白バイに立ち乗りで、恋人に会いに行く。
遅れてごめんと、くちゃくちゃの花束をプレゼント。
敵と戦うところは見せない。暴力的なのに優しい。
お尻丸出しだから、ヒーロー。」と中谷さん。
007のような、まったくすきのないヒーローもいいですが、
ルパンのような、ちょっと抜けたヒーローも魅力的ですね。
「画面が暗くなった。これは死んだという展開。
だけど、一瞬パチっと明るくなる。これは、まばたき。
ここは、よく観ておかなければならない。
死んだと思った人は、ここに気づかない。」と中谷さん。
映画「アドレナリン」には、やはり続編ができました。
「アドレナリン ハイ・ボルテージ」というタイトルの通り、
今度は、1時間に1回充電しなければならないという設定。
「バカバカしいから、元気が出る。」映画とのことです。
2本目は「キャッチミー・イフ・ユー・キャン」。
実際にあった巨額詐欺事件が下敷きになっています。
監督はスティーブン・スピルバーグ。
稀代の詐欺師をレオナルド・ディカプリオ、
彼を追うFBI捜査官をトム・ハンクスが演じます。
「あきらめるな、もがけ。これがメッセージ。」と中谷さん。
「あきらめない」2人の生き様に魅了される作品です。
「駿台時代、僕はスーツで授業を受けていた。
だから、講師専用のエレベーターにも乗ることができた。
スピルバーグ監督も、学生なのにスーツを着ていた。
それで、ユニバーサルスタジオに出入りするうちに、
みんな顔なじみになっていた。」と中谷さん。
パイロットの制服を着て、信用を得ていくディカプリオ。
服装は、信用を獲得する上で、最高の武器なのですね。
ついに捕まえたと踏み込んだトム・ハンクス。
「身分証を見せろ」に対して、ディカプリオは、
「まず、君が見せろ」と平然と切り返します。
転校先の学校でも、生徒でありながら、先生になりきって、
1週間にわたってフランス語の授業を行ったディカプリオ。
「堂々としている。逃げない。」と中谷さん。
「逃げる」ためには「逃げない」ことなのですね。
娘の年齢を騙っていたトム・ハンクス。
なじられたディカプリオに対して、こう言いました。
「時に、嘘の中に生きるほうが、楽だからね。
このセリフに、スピルバーグは自分を重ねた。
映画という作り事、偽小切手という作り事。
ディカプリオが、スピルバーグ。」と中谷さん。
この解釈は、中谷さんの映画解説ならではですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美