月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

月刊・中谷彰宏199「ソウルフードに、リスペクトを持とう。」――『石焼き芋史』『キツネうどん史』

納豆を食べる。それから焼き芋で整える。
これが、中谷さんの「朝のルーティン」。
タンパク質に食物繊維。「魂」に効く、ソウルフードです。
もう一つのソウルフード、それは「キツネうどん」。
「天王寺駅の立ち食いうどんは、ぬるい。
関西人はせっかちだから、速く食べたい。」と中谷さん。
ソウルフードから見えてくる、歴史、土地柄、人情。
ソウルフードとの出会い方、中谷さんから伺いました。

  


価格やご注文方法などをご案内しています。

○「焼き芋は、一人の世界に入れる。」(中谷彰宏)

焼き芋の誕生は、わりと新しく、1960年代。
最初は、出稼ぎ労働者の冬の仕事として始まったとか。
それが向島の花街で広まり、人気に火がつきました。
焼き芋は、中谷さんのソウルフードの一つ。
「古新聞の匂いを嗅ぎながら、喋らない。
焼き芋は、一人の世界に入れる。」と中谷さん。
マインドセットを促す食べ物を持っておきたいですね。

○「焼き芋で整えるのが、朝のルーティン。」(中谷彰宏)

「納豆を食べてから、焼き芋で整える。マグマ塩が合う。
これが、僕の朝のルーティン。」と中谷さん。
朝ごはんに、焼き芋というのは意表を突かれました。
でも、あの甘さとホクホク感は、テンション上げてくれます。
最近、朝ラーメンを食べるのが流行っているとか。
たしかに、夜食べるより、朝のほうが効果あるかも。
栄養も大事ですが、魂に響く食べ物も大切ですね。

○「北前船が、うどんの材料を運んできた。」(中谷彰宏)

「ピラミッドを築いたときのエジプトピザ。
大坂城築城の労働者に振る舞われたのがうどん。
このとき、うどんが関西で定着した。江戸時代、
天下の台所・大坂には、全国の物産が集まってきた。
北前船が昆布や塩、小麦粉を運んできた。」と中谷さん。
うどんは、関西に生まれるべくして生まれたのですね。

○「稲荷信仰は、商売繁盛の神様。」(中谷彰宏)

キツネから連想されるのが、お稲荷さん。
稲荷大明神といえば「正一位」という位人臣を極めた官位。
なぜ、キツネがこのように尊崇されているのでしょうか。
調べてみると、ご祭神は「倉稲魂命」という神様。
キツネは眷属。言ってみれば、マスコット的存在でした。
「稲荷信仰は、あきんどの信仰。商売繁盛の神様。
おたがい助け合うのが関西人。」と中谷さん。
キツネうどんは、商売繁盛の食べ物でもあったのですね。

○「京都は、出前文化。」(中谷彰宏)

同じ関西でも、京都では、また事情が違ってくるようです。
刻んだ油揚げに、くずあんをかけたうどんが「たぬき」。
「京都は、出前文化。冬とても寒い。だから、あんかけ。
湯気が出ていないのに、熱い。騙されるから、たぬき。
舞妓ちゃんもお坊さんも、大口開けるのは、おしゃれじゃない。
だから、短冊のように切った。」と中谷さん。
ちなみに、大阪で「たぬき」といえば、
関東で言う「きつねそば」を指すそうです。

○「天王寺駅のうどんは、ぬるい。」(中谷彰宏)

「もともとは、素うどんしかなかった。
サイドメニューに、カマボコと薄揚げを出したら、
せっかちな関西人は、うどんに載せてしまった。
これがキツネうどん。お客さん発祥。
天王寺駅の立ち食いうどんは、ぬるい。
商売人は忙しい。熱いと、急いで食べられない。」
いかにも関西的なエピソードですね。

○「関西人は、お店の人。」(中谷彰宏)

「関西人は、帰るとき、テーブルをダスターで拭く。
これがマナー。関西人は、どこかお店の人。」と中谷さん。
当事者意識、これが関西人を特徴づけているようです。
物腰やわらかく、一歩踏み込んでしまう。
その背景にある精神は、家族的なリスペクト。
お店も家も、店員さんも家族も、一線を引かない。
関西人の人気の秘密は、ここにありそうですね。