7月5日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「恋愛は、一つではないことを学ぼう。」
――『源氏物語・シーズン2』
「勝つことより、自由を選ぼう。」
――『大脱走』『キングスマン』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
政争に破れての謹慎生活。身内の不倫と部下の裏切り。
因果応報。やってきたことが我が身に降りかかる。
イケイケだった光源氏は、しだいに内省的になっていきます。
人間の真の価値とは何か――苦悩を深める光源氏。
「苦悩を通じて成長していく人が、主人公。」と中谷さん。
そう、源氏物語は人間の成長の物語なのです。
紫式部が源氏物語を通じて発したメッセージとは?
源氏物語の真髄を、中谷さんが解説してくれました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
「紫式部は、下級貴族の出身。お勉強の家だった。
頭が良くて、美貌もあったが、女性だから出世はできない。
そこで、フォロワー数を取りにいった。
みんなが何を求めているか、考え抜いた。」と中谷さん。
古風と新しいタイプ、一途と移り気。権高と控えめ。
さまざまなタイプの女性を登場させて、
感情移入できる推しキャラを、物語に散りばめる技巧。
「源氏物語」で、紫式部の才能にふれましょう。
源融は、皇位継承権を持つ、嵯峨天皇の皇子でした。
「源融は権力欲が乏しかった。文芸が好き。
あの時代の権力闘争のぐちゃぐちゃが嫌になった。
政治をあえて捨てて、文化に行った。」と中谷さん。
権力闘争に破れて、須磨に流されていた光源氏。
その後、復権した光源氏ですが、心境には大きな変化が。
しだいに内省的になり、出家を志すに至ります。
源氏物語の第二部は、第一部とだいぶ趣を異にします。
人生の無常を覚り、出家を志す光源氏。
その引き金になったのが、妻・女三宮の不倫。
思いを寄せる柏木の子供を身ごもってしまったのです。
さらに、柏木は光源氏が長年引き立ててきた青年。
二重の裏切りにあった光源氏は、因果応報と受け止めます。
「シーズン2で、光源氏は報復されている。」と中谷さん
シーズン2の味わいどころは、光源氏の内的成熟なのです。
第三部は、薫とライバル匂宮、そして浮舟の三角関係の物語。
薫は、光源氏の息子とされていましたが、じつは妻の不義の子。
その出自に悩み、また持ち前の中二病的資質で薫は迷走します。
「自省的な薫をよそに、匂宮はごんごん行く。
嫌われていても、なれている男がモテてしまう。
これは、不都合な真実。」と中谷さん。
浮舟の女心、男性にはわかりにくいかもしれませんね。
源氏物語は、教養なくしては読めないといいます。
また、教養を得るために、読んだともいいます。
「雲は、少女マンガでいうところの花。月はアイコン。
和歌、漢詩、年中行事。貴族生活パーフェクトガイド。
後の武士たちは、源氏物語で教養を補った。
ファスト教養、それが源氏物語だった。」と中谷さん。
教養、叡智、ノウハウ、美意識、そして価値軸。
紫式部は、平安時代の中谷さんだったのかもしれません。
いまの私たちには想像つかないのは「血」。
血脈、家柄に対する意識は、私たちの想像が及びません。
「貴族にとっては、子孫繁栄が至上の価値。
だから、子を産むこと、つまり恋愛が仕事だった。」と中谷さん。
恋愛といえば、一種の娯楽、道楽というイメージの現代人。
でも、子をなし子孫の繁栄を至上命題とする人たちにすれば、
それは最も尊いいとなみだったと見ることができます。
源氏物語は、そういう意味で「ビジネス書」だったのです。
いつの時代も、仕事と恋愛は人間修行の両輪だったのですね。
「源氏物語は、展開が速い。1話でかなり進む。
責任を感じて入水自殺しようとした浮舟は、
その後、出家して尼寺に入る。
それを聴いた匂宮は、人をやって確かめると、
浮舟は「一尼でございます」。ふわっと、これで終わり。
長編ものには、変な完結はいらない。
源氏物語は、フランス映画。」と中谷さん。
源氏物語で味わうのも「余韻」だったのですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
決して、へこたれることのない脱走職人。
シワ一つないスーツで乱闘を制する腕利きスパイ。
彼らの「強さ」は、どこから生まれてくるのでしょうか。
「不屈の男たちは、何があっても、へこたれない。
僕の人生のテーマは、漂流と脱走。」と中谷さん。
取り乱さず、礼儀正しい。余裕とユーモアを忘れない。
目先の利害にとらわれずに、職務を淡々と遂行する。
不撓不屈の精神力の体得法、中谷さんから伺いました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
今回ご紹介の「大脱走」は、戦闘シーンのない戦争映画。 「僕の人生のテーマは、漂流と脱走。 何があっても、へこたれない不屈の男たち。」と中谷さん。 脱走の常習犯ばかり集められた、ドイツの捕虜収容所。 一癖も二癖もある、脱走職人たちは油断も隙もありません。 へこたれない男たちの物語をご堪能ください。
この映画で意外だったことは、捕虜たちの暮らしぶり。 スポーツをしたり、農作業をしたり、さらにはお祭りまで。 信じられないくらいの自由さに驚かされました。 中谷さんは、次のような指摘をされています。 「敵であっても、将校同士敬意をはらっている。 だから捕虜になっても、貴族的にふるまわないといけない。」 極限状況下だからこそ、双方に紳士性が試されるのですね。
ビッグXの指揮の元、進められている大脱走計画。
調達屋、トンネル屋、製造屋、情報屋、測量屋。
脱走後、街に溶け込む衣類を作る洋服屋。
そして、身分証を偽造する偽造屋まで。
250人で脱走を計画していると聞いた独房王・ヒルツは苦笑。
「そいつは、おもしれえ」と、一肌脱ぐことになりました。
「変わった計画には、変わった任務が必要。」と中谷さん。
スティーブ・マックイーン扮するヒルツならではの任務とは?
「『大脱走』は、職人たちの物語。癖のあるプロの物語。
ベースには、職人に対するリスペクトがある。」と中谷さん。
50人という犠牲者を出して、脱走は、結局失敗に終わりました。
ヒルツも捕まり、グローブとボールを手にして、ふたたび独房に。
「あいつら、自由でいいなあ。あんな生き方をしたい。
と、ドイツ兵がうらやましがっている。脱走する人は、自由。」と中谷さん。
自由とは何か、これが映画「大脱走」のテーマだったのですね。
2本目の映画は、スパイ映画「キングスマン」。
「007はウェットスーツ脱ぐとタキシード。
スパイは、お洒落じゃないといけない。
もう一つは、ユーモア。ユーモアは、紳士の条件。
スパイはピンチの連続。あたふたしない余裕も必要。
お洒落という美学がスパイ映画で学べる。」と中谷さん。
キングスマンのアジトは、なんとテーラー。
お洒落美学がぎっしり詰まった映画です。
パブで、チンピラに囲まれたキングスマン・ハリー。
「ハリーはまず、傘でドアの鍵をかけた。
これは、他のお客さんの迷惑にならないようにという配慮。
このとき背中を見せた。手を上げても、背中にシワ一つない。
これは良いスーツであることの証明。厳しい美学。」と中谷さん。
これは「お約束のカット」ということですが、初耳でした。
お洒落視点を備えると、映画の観方がより深まりますね。
世界の平和のために戦うスパイ組織、キングスマン。
上流階級でなければならないと考える上層部に対して、
ハリーは「マナーは後天的。教えればいいんです。
可能性ある若者を育てましょう」と反論しました。
「マナーズ・メイクス・マン。複数形なのにSがつくって変でしょ。
ここでいう「メイクス」は古語。sでなくthの発音。」と中谷さん。
こんな小さなことに意識が向いているとは、心底驚きました。
この域に達するために、別ナカ修行を積みたいですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美