6月7日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「古典を、物語として楽しもう。」
――『源氏物語・シーズン1』
「毎回、ファーストキスをしよう。」
――『超高速!参勤交代 リターンズ』『50回目のファーストキス』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
知っているようで知らない「源氏物語」。
プレイボーイ光源氏をめぐる恋バナの数々。
その程度の認識では、もったいなさすぎます。
「源氏物語の読者は女性。少女マンガの原点。
あらゆる女性の類型が登場してくる。
源氏物語の主人公は、女性。」と中谷さん。
高飛車で、光源氏に上から目線の正妻・葵の上。
押しに弱い藤壺。小悪魔的魅力の夕顔。
恋一途、ついには生霊と化してしまう六条御息所。
学校が教えない源氏物語、中谷さんから教わりました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
「源氏物語の読者は女性。少女マンガの原点。 平安貴族にかしずく宮廷の女性たちが読者層。 ゴシップをフィクションに仕立て上げた物語は、 お女中さんたちのオカズだった。」と中谷さん。 いつの時代もセレブのゴシップは、女性の楽しみ。 紫式部が描いた平安絵巻は、いまで言えばSNS。 宮廷の女性たちの日常に潤いを与えていたのですね。
「源氏物語は、3つのシーズンに分かれている。
シーズン1は、光源氏の青年時代。光源氏の絶頂期。」
亡き母の面影のある継母・藤壺。正妻・葵の上。
空蝉、夕顔、六条御息所、紫の上、朧月夜、明石の君。
一時は、政争に破れ都落ちすることがありながらも、
光源氏の栄華は絶頂を極めて、シーズン1は幕間。
でも、ここからが源氏物語の本領発揮。
光源氏の人生に味わいと深みが増してゆきます。
正妻・紫の上が亡くなると、光源氏の人生に陰りが。
つぎに正妻として迎えたのが女三の宮。
彼女は、柏木という青年と密通し、子供を宿すことに。
この事件を通じて、光源氏は自分の過ちを省みるようになります。
過ちとは、継母・藤壺との密通して、子をなしたこと。
「サレた側の気持ちがわかることで、精神的に成長していく。
光源氏は、じっさいは狂言回しだった。」と中谷さん。
多種多様な女心が、源氏物語の「主人公」だったのですね。
「少年マンガは友情、努力、勝利を描く。
少女マンガは「努力」ではなく「運」を描く。
王子様がシンデレラを見出したように、
宗像コーチが、岡ひろみを見出した。」と中谷さん。
帝に見初められて、一躍セレブになる平安女御もいました。
家柄が低くても、運次第で人生は拓かれる。
源氏物語の魅力は、平安ドリームにあるのですね。
気位の高い六条御息所から、気持ちが冷め始めた光源氏は、
癒し系の夕顔へ足繁く通うようになります。
やがて訪れた夕顔の死は、六条御息所の生霊を思わせます。
さらには、懐妊した正妻・葵の上にも生霊として取り憑く。
「大好きさが、怨霊になっていく。生霊となって取り憑く。
恋愛一途の人が、怨霊になる。嫉妬深い女に突然変わる。
思い詰めたヤンデレタイプ、それが六条御息所。」と中谷さん。
一途の人には一途、これが人間関係の原則なのですね。
光源氏になびかなかった唯一の女性、それが朝顔でした。
「一言、憎しなども、人づてならでのたまわせんを、
思い絶ゆるふしにもせん」とは、光源氏のつらい胸の内。
一言「嫌い」と直接言ってもらえたら、諦められるのに。
「恋愛は、失敗を通じて、学習していく。向上心のきっかけ。
ふられた体験で、耐性をつけていこう。」と中谷さん。
ふれら体験は経験値。恥じるものではないのですね。
「この時代の女性は、顔を見られることを恥とした。
ちぎった翌朝、顔を見てびっくり、ということもあった。
だけど、光源氏は、チェンジしなかった。
声、歌、字、香り、髪、そして床上手。
光源氏は、教養を見て恋愛をした。」と中谷さん。
恋愛は、ルックスではなく、相手の人間性全体。
光源氏のモテは、そんな人間観に裏打ちされているのです。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
「途中から観てもいい。筋は関係ない。」と中谷さん。
これは「映画の別ナカ」の一貫したメッセージです。
でも正直なところ、最初は、その真意がわかりませんでした。
映画はストーリー。そういう先入観が抜けなかったからです。
でも、いまではすっかり認識を改めました。
映画の見所は「表現」。映画とドラマの違いはここです。
丹精し尽くしたセリフの数々。技巧を凝らした映像の数々。
映画は、ワンシーン、ワンシーンの集大成なのです。
「表現」を味わうための鑑賞作法、中谷さんから教わりました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
タイパ――タイムパフォーマンスを重視する風潮。
倍速で観る「ファスト映画」が取り沙汰されています。
「早見している人は「情報」を得ている。
情報は、早送りで観てもかまわない。
でも、表現を味わうには、早見はできない。」と中谷さん。
情報として向き合う映像と表現として向き合う映像。
今回のテーマは「世界観を味わおう」です。
「最初から観なければならないのは、情報。
途中から観ても「表現」は味わえる。
むしろ筋がわからないほうが、より表現が味わえる。
ゴダールは、映画館をはしごする。」と中谷さん。
映画の醍醐味は「表現」にある。これは斬新な切り口。
何を言うかよりも、どんなふうに言うか。
中谷さんのセリフ好きも、ここに理由があるのでしょうね。
1本目の映画は「超高速!参勤交代 リターンズ」。
「この映画は、時代劇を新たにした。
日本のドラマツルギーは、組織のしがらみ。
主人公は、義理と人情の間で挟まれる。」と中谷さん。
お殿様とはいっても、幕府の顔色を伺いながら胡麻をすり、
一方で、民の支持に一喜一憂する中小企業の経営者。
行動力と工夫で生き延びる組織のあるじの物語です。
ラーメンは味、映画はストーリー――この認識は、
ひょっとしたら表層的なものかもしれません。
「ラーメンは、味ではなく世界観。異文化との交流。
ご主人の生き様や人生哲学、そして世界観にふれる。
世界観で裏をかかれる。その快感が、映画の醍醐味。
面白いかどうかは、世界観次第。」と中谷さん。
世界観を味わうために不可欠なのは、自分の世界観。
すべての学びは、自分の世界観に通じるのですね。
中谷さんのインスタグラム、ご覧になりましたか?
「ふつう、自分でやらないらしいんだけど、僕は自分でやりたい。
写真を選んで、1日20本くらいコピーを書く。
僕の世界観は、写真のアングルにも現れている。
大喜利をやるように裏返していきたい。」と中谷さん。
投稿が多すぎて「もうやめてください」と警告があったとか笑
インスタを通じて、中谷さんの世界観にふれましょう。
「超高速!参勤交代」、中谷さんの印象に残ったセリフ、
それは、幕府の実力者の「しょせん人間は生まれよ」。
それに対して、殿様は「違うなあ。誰に出会ったかだなあ」。
「出会いは、受け身ではない。会いに行く。
出会うためには、教養、服装や身なりは大切。
出会えるかどうかは、感じのよさ。」と中谷さん。
おしゃれは、出会いのための前段階だったのですね。
2本目の映画は「50回目のファーストキス」。
事故による記憶障害のため、記憶が1日で消え去るルーシー。
彼女に恋をしたヘンリーは、毎日「ナンパ」に精を出します。
彼女の現れるダイナーで、絵を書いたり、ぼろぼろ泣いたり、
エンストや強盗に遭ったように偽装したりと、あの手この手。
「モテる男は、手を抜かない。」と中谷さん。
彼の一途な思いと行動力は、次第に状況を変えていきます。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美