タイパ――タイムパフォーマンスを重視する風潮。
倍速で観る「ファスト映画」が取り沙汰されています。
「早見している人は「情報」を得ている。
情報は、早送りで観てもかまわない。
でも、表現を味わうには、早見はできない。」と中谷さん。
情報として向き合う映像と表現として向き合う映像。
今回のテーマは「世界観を味わおう」です。
「最初から観なければならないのは、情報。
途中から観ても「表現」は味わえる。
むしろ筋がわからないほうが、より表現が味わえる。
ゴダールは、映画館をはしごする。」と中谷さん。
映画の醍醐味は「表現」にある。これは斬新な切り口。
何を言うかよりも、どんなふうに言うか。
中谷さんのセリフ好きも、ここに理由があるのでしょうね。
1本目の映画は「超高速!参勤交代 リターンズ」。
「この映画は、時代劇を新たにした。
日本のドラマツルギーは、組織のしがらみ。
主人公は、義理と人情の間で挟まれる。」と中谷さん。
お殿様とはいっても、幕府の顔色を伺いながら胡麻をすり、
一方で、民の支持に一喜一憂する中小企業の経営者。
行動力と工夫で生き延びる組織のあるじの物語です。
ラーメンは味、映画はストーリー――この認識は、
ひょっとしたら表層的なものかもしれません。
「ラーメンは、味ではなく世界観。異文化との交流。
ご主人の生き様や人生哲学、そして世界観にふれる。
世界観で裏をかかれる。その快感が、映画の醍醐味。
面白いかどうかは、世界観次第。」と中谷さん。
世界観を味わうために不可欠なのは、自分の世界観。
すべての学びは、自分の世界観に通じるのですね。
中谷さんのインスタグラム、ご覧になりましたか?
「ふつう、自分でやらないらしいんだけど、僕は自分でやりたい。
写真を選んで、1日20本くらいコピーを書く。
僕の世界観は、写真のアングルにも現れている。
大喜利をやるように裏返していきたい。」と中谷さん。
投稿が多すぎて「もうやめてください」と警告があったとか笑
インスタを通じて、中谷さんの世界観にふれましょう。
「超高速!参勤交代」、中谷さんの印象に残ったセリフ、
それは、幕府の実力者の「しょせん人間は生まれよ」。
それに対して、殿様は「違うなあ。誰に出会ったかだなあ」。
「出会いは、受け身ではない。会いに行く。
出会うためには、教養、服装や身なりは大切。
出会えるかどうかは、感じのよさ。」と中谷さん。
おしゃれは、出会いのための前段階だったのですね。
2本目の映画は「50回目のファーストキス」。
事故による記憶障害のため、記憶が1日で消え去るルーシー。
彼女に恋をしたヘンリーは、毎日「ナンパ」に精を出します。
彼女の現れるダイナーで、絵を書いたり、ぼろぼろ泣いたり、
エンストや強盗に遭ったように偽装したりと、あの手この手。
「モテる男は、手を抜かない。」と中谷さん。
彼の一途な思いと行動力は、次第に状況を変えていきます。
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