2月8日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「勉強で、伏線が回収できる。」
――『浦島太郎』『二宮尊徳』
「ダンドリ通り行かないことが、楽しい。」
――『少女椿』『史上最悪の兄弟』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
ああ、あの出来事は、こういう意味があったのか――
人生を振り返って、そういう思いをした方も多いことでしょう。
でも、そういう気づきのないまま、時間を過ごしている人もいます。
「伏線」を回収できる人とできない人の違いは何でしょうか?
それは「勉強」。勉強することで、伏線に気づけるのです。
浦島太郎を実在人物の物語として読み解く。
二宮金次郎の評伝を現代の価値観で読み解く。
こうした訓練が、あなたの人生を読み解く訓練になるのです。
人生の「伏線」を回収する方法、中谷さんから伺いました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
小学生の作文でも、大学生の卒論でも文字数が勝負。
私も内容をふくらませながら、文字数を稼いだものでした(笑)
「明治時代、初期の新聞は、文字がびっしり。読みにくい。
文字を詰めれば詰めるほど、伝わらない。
余白を大切にするのが日本人の感覚。」と中谷さん。
文字数が多い=サービスという誤りを正したのは、
まさに中谷さん。余白を味わうのが、中谷本ですからね。
以前取り上げた「シンデレラ」。この謎解きは圧巻でした。
「ガラスの靴」は、フランスのガラス産業のプロモーション。
「時計」は、キリスト教会からの権力の奪取を意味していた。
国王・ルイ14世の思いが「シンデレラ」だったのです。
「宙ぶらりん状態の伏線が明らかになる快感。
気づかない伏線に気づく。これが勉強。」と中谷さん。
今回は「浦島太郎」の謎に挑みます。
「むかしむかし浦島は 助けた亀に連れられて
龍宮城来てみれば、絵にも描けない美しさ――」
浦島太郎といえば、誰もがこの唱歌を思い浮かべます。
「浦島太郎は実在の人物、浦嶋子の物語だった。
海の中の龍宮城は、絶海の孤島のこと。」と中谷さん。
京都府の日本海側、丹後半島の先端に浦嶋神社。
浦嶋子は、遭難者? それとも冒険家?
浦島太郎をめぐる妄想は、どこまでも広がります。
「玉手箱の中から、煙が出てきて、おじいさんになった。
ここでいう煙とは、ホコリ。トリックは何もない。
中に入っていたのは鏡だった。当時の鏡は、貴重。
自分がおじいさんになっていたことに気づいた浦島太郎、
泣き崩れて、やがて鶴になって飛び去っていった。
ハッピーエンドか、バッドエンドかわからないのが日本映画。
めでたしめでたしが、ハリウッド映画。」と中谷さん。
好む物語タイプの違い、これも多様性なのですね。
「日本人は箱が好き。箱といえば、パンドラの箱。
パンドラは箱を開けてしまい、様々な災いが飛び出した。
そして、底に残ったのがエルピス、希望。」と中谷さん。
そう考えると、浦島太郎の玉手箱にも意味深長です。
知る人のいない故郷にいるくらいなら、死を選ぶ。
あるいは、乙姫様による意趣返しなのかも(笑)
二宮金次郎が背負っていたのは薪? それとも枝?
手にする書物は和綴じの薄い本? それともジャンプ並?
小学校で目にする二宮金次郎こと、二宮尊徳像。
そこまで興味を持って、観察したことがありませんでした。
「二宮金次郎像は高さ1メートル。
これがメートルの基準になった。戦場で役立った。」
中谷さんの「観察」が実感できるトークです。
金次郎は裕福な農家の生まれでしたが、没落。
親戚の家に預けられ、不遇な少年時代を送っていました。
夜、読書していた金次郎に、油の無駄だからやめよと祖父。
「ここから、金次郎の人生が炸裂した。
さっそく菜種を栽培し始めて、それで支払ってしまった。
バイトを雇っての新田開発、貧窮者への無利子融資。
二宮尊徳は、努力の人というより商売の人、工夫の人。
日本初の経営コンサルタントだった。」と中谷さん。
いつの時代も、工夫をする人が成功するのですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
中谷さんが「俳優・中谷彰宏」を語ってくださいました。
撮影の裏話を聞いていると、どれもアクシデントの連続。
性愛の末、目玉まで舐めてしまう少年愛に耽る劇団長。
雑踏のなか、周囲にスタッフがいないなかでの「痴漢」。
飛び散るガラスの破片と血糊。撃たれたヤクザの親分。
「段取り通りのときは、クオリティがいまいち。
追い詰められたから、あの熱気が出た。」と中谷さん。
舞台裏から観る、中谷映画の鑑賞法をぜひ。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
1本目は「少女椿」。中谷さんは見世物小屋の団長役。
この作品は、中谷さんの「舐めた」シーンで話題を呼びました。
「団長は少年愛。あのベッドシーンは、事前説明なし。
タケルくん大丈夫かな、と。舐めました。」と中谷さん。
「中谷さん! 予告編いただきました!」とプロデューサー。
中谷さんの体当たり演技をぜひご覧ください。
「少女椿」の原作者は、丸尾末広。
知る人ぞ知る、異形のイラストレーターです。
ウィキペディアによれば、30もの職業を転々としたあと、
官能劇画誌でデビューし、その後「漫画エロス」や「ガロ」で活躍。
「映画は筋ではない。イメージの集積。世界観。」と中谷さん。
江戸川乱歩、つげ義春、楳図かずお――
こうした先達たちの継承者、丸尾末広の世界に浸りませんか。
「難波金融詐欺 史上最悪の兄弟」に出演した中谷さん。
大阪の「ナンパ橋」でスカートめくりをするという場面。
「周りにはスタッフもエキストラもいないロングショット。
警察が来たら逃げてください。本物が来たら逃げてください。
おまけに、仕込みの女の子が誰なのか、わからない。
追い詰められたから、あの熱気が出た。」と中谷さん。
こんな修羅場体験が、中谷哲学を生み出しているのですね。
続いては、「背徳の女神シリーズ エクスタシー」。
「僕は、SMとレイプが一番きらい。
ほっぺたを叩いて、そのあとかわいそうになって撫でたら、
「OK! 優しいところが怖い!」と監督。
引きちぎるのは抵抗があるので、ボタンをゆっくり外していたら、
「OK! 引きちぎるより、ずっと怖い!」。
行動にタメがある。その余裕が怖さなのかもしれませんね。
「縁切り闇稼業」での中谷さんの役どころは、
妻に毒を盛り、ゆっくり殺していく「猟奇的な男」。
「そのままの髪型で行ったら「猟奇的でいい!」と監督。
頭を優しく支えながら寝かしつけたら「猟奇的でいい!」
猟奇的とは、優しすぎること。」と中谷さん。
深情けという言葉が、たいてい愛憎劇で使われるように、
愛が深いぶん、猟奇性が高まるのでしょうね。
出演映画の裏話を聞いていると、どれもアクシデントの連続。
思い通りに行くことのほうが、めずらしいくらいです。
「段取り通りのときは、クオリティがいまいち。
劇団四季は、毎日キャストを入れ替える。
予期せぬ展開が緊張感を生み、それが磨きをかける。
勝新太郎さんは、完璧なカットは使わなかった。」と中谷さん。
段取り通りに行かないときにチャンスあり、ですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美