12月7日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「大人は、ピンチに生まれ変わる。」
――『銀座史』
「二人で、初めてのことをしよう。」
――『シン・ゴジラ』『ティファニーで朝食を』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
いま中谷さんは、銀座の職人さんたちに取材中です。
その流儀やスピリッツを伺っているとのこと。
「銀座は、じつは職人の街。僕も職人の家の子。
銀座で僕は、自分のDNAを再発見した。
銀座に行けるかどうかが、大人かどうかの分かれ目。
価格帯、客層、それ以外の結界が張り巡らされている。
大人とつきあえば、銀座に行けるようになる。」
「銀座」を丸呑みする方法、中谷さんに伺いました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
銀座といえば、ハイエンド。最高峰の街です。
でも、そんなイメージは、じつは後からできたものでした。
「新興の町は、碁盤目に整備される。銀座は埋立地。
数寄屋橋の数寄屋とは、本来、田舎風という意味。
さびれた土地だったから、銀座が生まれた。」と中谷さん。
銀座の栄光も時間をかけて培われたものだったのです。
銀座から、成長と成熟の気分を体得しましょう。
江戸時代、江戸は人口100万人の世界最大の都市でした。
参勤交代で、諸国の武士が集まっていたのです。
江戸の整備のために、土木工事が盛んに行われました。
工事を請け負ったのは諸大名。いわゆる天下普請です。
「幕府から命じられた工事を、押し付けあったのが花街。
女性がいると、男のエネルギーがわいてくる。」と中谷さん。
花街は丁々発止の「逆談合」に源流があったのですね。
明治維新を迎えると、花街の勢力図にも変化が現れました。
幕府御用達の柳橋に代わって台頭してきたのが新橋。
新橋は、薩長など新政府側が贔屓にしていたのです。
「汽笛一声、新橋を。最初に鉄道が敷かれたのは新橋。
サラリーマンの街・新橋は、明治官僚の街だった。
新橋芸者さんが、甘味を食べにいくところが銀座。」
新橋に「従属」する銀座。今では想像もつかないですね。
銀座といえば接待。ビジネスの商談が花開く夜の街。
商談とは「口説き」であると、中谷さんは指摘しました。
「銀座はハレの街。ハレとは非日常。
非日常とは、口説くこと――と寿司幸のご主人。
いっしょに、花火を打ち上げましょう。
接待は口説き。だから銀座は、ハレの街。」と中谷さん。
銀座の艶めかしさは、お祭りに由来していたのですね。
東京の地下鉄第1号は銀座線。昭和2年に開通しました。
「上野・浅草で開通したのに、なぜ銀座線なのか。
これには、関東大震災が関係してくる。
帝都復興院総裁・後藤新平が立案した帝都再建計画。
ここでは、中心を浅草でも日本橋でもなく銀座とした。
上野、浅草、銀座、新橋、赤坂、青山。
花街をめぐっているのが、銀座線。」と中谷さん。
では、なぜ銀座線は、花街を串刺しにするのでしょうか。
「銀座は田舎者の街。3代たどれば地方出身者。
キャバレー「白いばら」が愛されたのも、そうした理由から。
ふるさとのなまりなつかし停車場の――上野駅と同じ。
じつは、銀座はハイエンドな街ではない。
ふるさとを思い起こす街だった。」と中谷さん。
キャバレー「白いばら」、時々トークに出てきますね。
調べてみると、昭和6年創業。関東大震災のわずか8年後。
これも銀座線の謎を解くヒントになるかもしれません。
「関東大震災のとき、帝都復興院総裁・後藤新平は、
銀座を軸とした復興計画を立てた。
新しい動きを牽引するのが、銀座。」と中谷さん。
何が「銀座」をそこまで引き立てるのでしょうか。
ひょっとしたら、銀座の「ふるさと」性かも。
後藤新平は現在の岩手県出身。刻苦勉励して出世しました。
そんな「成り上がり」のエネルギーを受け止めるのが銀座。
後藤にとって銀座は「白いばら」だったのかもしれません。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
ゴジラがいつ出現するかもしれない。
おまけのリングを持ち込むお客様がいるかもしれない。
「勝てないのは、想定する範囲が狭いから。
どこまで想定できるかで勝負は決まる。」と中谷さん。
ただし、想定、つまりシミュレーションすることは、
多くの人にとっては、とても過酷な思考的営みです。
でも、そんな私たちには、本と映画があります。
勝つための想定力の高め方、中谷さんから教わりました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
1本目の映画は「シン・ゴジラ」です。
この映画のキャッチコピーは「現実対虚構」。
「現実」には「にほん」とルビがふられています。
「ファンタジーはゴジラだけ。ほかはすべてリアル。
全部SFだと面白くない。感情移入できない。
シン・ゴジラの見所は、日本のお役所仕事。」と中谷さん。
危機に直面したときの日本政府のリアルをぜひ。
ゴジラによって、日本人は追い込まれていきました。
政府が招聘した3人の学者が示した指針の一つに、
「何もせず、運命をともにする」というのがありました。
「死ぬという選択肢が生まれて、
初めて生き延びるという決意が生まれる。
ゴジラは、想定外の象徴。
想定外に備えなければ、敵には勝てない。」と中谷さん。
勝つためには、想定外への想像力で対処するのですね。
「ゴジラは、移動しているだけ。
反撃はするけど、基本的に歩いているだけ。
人間が勝手にパニックになり、攻撃しようとしている。
ゴジラではなく、人間の生き方が問われている。
ゴジラは、SDGs。」と中谷さん。
コロナにしても同様、危機で問われるのが人間です。
危機は、持続可能な社会を創るための試金石なのですね。
2本目の映画は「ティファニーで朝食を」です。
「タイトルは、世界一有名。でも、内容は誰も知らない。
朝もやのニューヨーク五番街。開店前のティファニー。
ショーウィンドウを覗き込みながら、ドーナツをかじり、
コーヒーをすするという有名なオープニング。
当初はリムジンだったが、タクシーに変更された。」
ティファニーで「朝食」を、ここから物語が始まります。
主人公・ホリーに扮するのは、オードリー・ヘップバーン。
「寝ぼけ眼のホリーはアイマスクに、イカ胸のシャツ。
高級売春婦を意味している。これも、映画的表現。
最初は、マリリン・モンローの予定だった。
たばこスパスパ、お酒ガブガブ。それでも品がある。
品がある女性でなければ、映画が汚らしくなる。」と中谷さん。
ホリーは、今でいえばパパ活で生計を立てる18歳。
オードリーだからこそ、演じきれるキャラクターですね。
物語は進み、作家・ポールとの親交が深まるホリー。
ふたりは10ドルを携えて、ティファニーに買い物に。
しかし、10ドルで買えるようなものはほとんどありません。
「クラッカーのおまけの指輪に刻印してもらった。
融通がきくのが、ティファニー。」と中谷さん。
ホリーはその後、融通がきかない図書館司書に呆れ顔。
でも、無縁だった本にふれるようになったホリー。
ホリーの成熟が、本を通じて描かれています。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美