11月9日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「偶然の出会いに、迷わない。」
――『わらしべ長者』『富山の薬売り』
「真理は、逸脱した所にある。」
――『バッドサンタ』『イミテーションゲーム』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
「わらしべ長者」は出会う人たちと「交換」しました。
わらしべをミカンに、ミカンを反物に、反物を馬に、
その馬を通じて、お金持ちのお婿さんになりました。
この間、トントン拍子だったわけではありません。
ときには、価値の下がってしまう交換もしました。
愛のある交換をすることで、人脈がつながったのです。
「富山の薬売り」も、人脈をお金に換えるビジネス。
顧客データベースを構築し、品質を科学的に管理し、
ノベルティグッズを用いて、顧客の心をつかんだのです。
人脈をお金に換える心構え、中谷さんから伺いました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
「わらしべ長者」は出会う人たちと「交換」しました。
わらしべをミカンに、ミカンを反物に、反物を馬に、
その馬を通じて、お金持ちのお婿さんになりました。
この間、トントン拍子だったわけではありません。
ときには、価値の下がってしまう交換もしました。
愛のある交換をすることで、人脈がつながったのです。
「富山の薬売り」も、人脈をお金に換えるビジネス。
顧客データベースを構築し、品質を科学的に管理し、
ノベルティグッズを用いて、顧客の心をつかんだのです。
人脈をお金に換える心構え、中谷さんから伺いました。
★月ナカ187――7つの学び
昔話「わらしべ長者」は、男が観音様に手を合わせ、
お金持ちになりたいと願をかける場面から始まります。
「パッとしない中年男だけど、ここがすごい。
欲望を正直に言っている。枯れちゃダメ。欲望は大事。
ここの教訓は、欲望を正直に声に出そう。」と中谷さん。
日本人は全般的に、欲望をあらわにすることをためらいます。
でも、それを表明することが、成功への第一歩なのです。
「男のすごいところは、観音様に相談しているところ。
お金持ちになりたいのなら、お金持ちに相談する。
実力者を見つけ出し、相談するから成功できる。
近くにいるというだけで、むやみに相談しないこと。
清貧が大事とか、正論を言ってくる。」と中谷さん。
つい身近な人に相談しがちですが、それは禁物。
「実力者」を見つけ出すことも、実力なのですね。
「外に出て、最初に手にした物を大切にしなさい」と観音様。
男はいきなり転んで、わらしべを手にします。
それにアブを結わえたら、むずがる子供が泣き止みました。
お礼にもらったミカンは反物へと「変身」を繰り返します。
「どう見ても値打ちのない物でも、これは違うと思わなかった。
素直で無欲だから、チャンスをつかめる。」と中谷さん。
「丸呑み」の大切さは、ここにあるのですね。
ところが男は、価値を下げてしまう取引にも応じます。
高価な反物を、病気の馬と交換したのです。
「愛情深く介抱した結果、馬は駿馬になった。
駿馬をきっかけに、名家に婿入りすることになった。
ぐずる子供、不調の姫君、病気の馬。
愛があるから、人脈を交換できる。」と中谷さん。
「わらしべ長者」の教訓は、愛の大切さにあったのですね。
雑誌の「幸福度ランキング」上位の常連といえば富山県。
家の大きさ、教育レベル、福祉などで高く評価されています。
ところが富山県、昔は、けっして豊かではありませんでした。
「富山藩は、加賀前田家の分家筋。幕府から目をつけられていた。
それに、川が急、洪水が多いこともあり、田んぼが少なかった。
藩主は病弱で、薬が手放せなかった。」と中谷さん。
こういう苦しい事情から「富山の薬売り」が生まれたのです。
使った分だけ、後払いしてもらうのが置き薬ビジネス。
薬売りたちは、全国津々浦々、行商してまわりました。
「立山の修験者は、以前から御札を売ってまわっていた。
このネットワークとビジネスモデルに、薬をのせた。
置き薬ビジネスは、情報ビジネス。」と中谷さん。
その他にも、クオリティ管理、データベースの共有、
ノベルティグッズの活用、健康相談からスクール創設まで。
富山の薬売りは、現代に通じる先駆的存在だったのです。
愛をベースに、人脈をつないでいった「わらしべ長者」。
先駆的なアイディアと創意工夫を次々と取り入れながら、
人と人とを結びつけていった「富山の薬売り」。
「出会いを大切にする人だけが、出会える。
人脈を交換できる人が、成功する。」と中谷さん。
むやみに広げるだけでは意味のないのが人脈。
人脈に対する意識をアップデートできるトークでした。
**
月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
正論は正しいだけで、真実はそこにはありません。
正義は正しいだけで、現実はそこにはありません。
「正しい」にこだわる人は、善悪のジャッジをしがちです。
ジャッジをすることで、失ってしまうものがあります。
それは「クリエイティブ」。
「善悪をジャッジして、怒りをぶつけるより、
自分に活かそうと考えるのが、クリエイティブ。」と中谷さん。
「正しい」より高次の概念、中谷さんから教わりました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
「ハリウッド映画は、必要のないシーンがない。
必要のないシーンがないと、疲れてしまう。
何度も観るうちに、必要ないシーンに味が出てくる。」
今回は「バッドサンタ」と「イミテーション・ゲーム」。
私は「イミテーション・ゲーム」を観ましたが、
「必要ないシーン」が、どこか見つかりませんでした。
もっと修行して、メリハリを見つけられるようになりたいです。
映画「バッドサンタ」はその名の通り、悪党サンタ。
サンタに扮しながら、デパート泥棒を企む主人公。
その悪巧みに気づいたデパートのガードマン。
でも、それを通報するどころか、強請ってくる始末…
「正義の大切さをちっとも訴えていない。
善良な主役は面白くない。悪がリアル。」と中谷さん。
悪の世界のリアルに、人間の本質が浮き彫りになりますね。
「商売は、口車に乗らないといけない」
これは、中谷さんのお父さんの教えでした。
調子のいい話、眉唾な話であっても、時にはのってみる。
そうしないと、チャンスが掴めないし、学びも得られない。
「悪から学ぶ教訓もある。教訓は多面的。
正論だけでは、教訓にならない。」と中谷さん。
「バッド」から学ぶことが、大人の勉強なのですね。
どういう人とつきあうかは、人生の大問題。
「胡散臭い人」とは、どう向き合うべきでしょうか。
「胡散臭い人とは、やっかまれている人。
モテモテで、すごい人だから、胡散臭いと言われる。
ときには騙されたり、めんどくさいことになる。
でも、いい人限定で排除していたら可能性がなくなる。
胡散臭さに、真実がある。」と中谷さん。
胡散臭い人と渡り合える度量を持ちたいですね。
アラン・チューリングは、コンピュータの生みの親。
天才的数学者として、ナチスの暗号解読に挑みます。
「エニグマを解読するためには、協力者が必要。
俺よりすごいやつを雇いたい。傲慢でありながら謙虚。
数学者は、アーティスト。」と中谷さん。
「正しく考察された数学にあるものは真実のみではない」
これはバートランド・ラッセルの言葉。
「美」の追求こそ、数学者の宿命なのかもしれません。
チューリングのチームに、ソ連のスパイが潜り込んでいました。
気づいたチューリングは「お前、スパイだな」と迫ります。
一方のスパイは「お前、同性愛者だろ」と逆襲。
当時、同性愛者は刑罰の対象とされていたのです。
それを乗り越えて上官に訴え出たチューリングに、
「知ってたよ。泳がせているんだ」と上官。
さらに、チューリングの同性愛も知っていました。
正義に囚われていれば、大きな仕事はできないのですね。
3億円事件が起きたとき、東京の人たちは怒りました。
ところが、大阪の人たちは違ったと中谷さん。
「おっちゃんも噛ませてくれれば――」
まるで小噺のようですが、ここにも教訓がありそうです。
「善悪をジャッジして、怒りまくるより、
自分に活かそうと考えるのが、クリエイティブ。
カウント、1、2、2.9。これはAIにはできない。」
善悪を超越したところに創造性は花開くのですね。
**
月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美