10月5日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「物語の共有で、仲良くなれる。」
――『洋菓子』
「ロマンチックに、誘おう。」
――『ワタシにキメテ』『慕情』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
「おいしい」「うーん、ちょっと」は、しょせん主観。
それぞれの主観をぶつけあっても、会話は豊かになりません。
より上質な語らいを楽しむためには「物語」。
ミルフィーユでは「千人の女の子」。正確にはミルフイユ。
郷土料理だったガレットを、今日のかたちに変えた王朝貴族。
それに生クリームをのせて、世界を驚かせた原宿のクレープ。
捕虜で来日したユーハイムの不撓不屈のド根性物語。
人物伝、由来、蘊蓄――盛り上がる会話は、共感がベース。
洋菓子をめぐる「物語」、中谷さんから伺いました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
料理を前にしての会話は「力量」が如実に表れます。
「おいしいしか言えない。甘すぎなくていいですよね。
これでは、会話が止まってしまう。
料理の由来や物語を知っていれば、会話は盛り上がる。」と中谷さん。
ショートケーキの「ショート」の由来。
ビクトリア女王とスイスロールの物語。
こんな知識があると、味わいが一段と深まりますね。
「千枚の葉っぱという意味で言えば、ミルフイユが正しい。
フィーユとは女の子。ミルフィーユでは、千人の娘さん。
多くの女の子に大人気というのも、面白いけど。」と中谷さん。
イチゴが帽子に似ていることが由来ともいわれるナポレオン。
明治初期に発売されたときは、サクランボだったそうです。
でも、サクランボは季節限定。通年商品にするために、
イチゴに変更したのだそうです。
食べ方の難しいミルフイユ、横倒しはセーフですが、
剥がすのはアウトなのだそうです。注意したいですね。
「あるとき、そば粉でつくったお粥をこぼしてしまった。
太陽で焼けた石の上だったので、固まってしまった。
これがガレット。料理は、失敗から生まれる。」と中谷さん。
コーンフレーク、チョコチップクッキー、ウスターソース、
ポテトチップス、アイスキャンディー、さらには柿の種。
これらは、いずれも失敗の産物。
失敗を失敗で終わらせないためには、とりあえず味わうこと。
その勇気から、新しい味わいが生まれるのです。
素朴な郷土料理だったガレットが、ついに宮廷デビュー。
ブルボン朝の貴族たちが、ガレットを進化させていきました。
「そば粉を小麦粉に変えた。牛乳、卵、バター。
さらに、砂糖も入れてよ、ということになった。
これがクレープ。1976年に、日本に上陸。
生クリームをのせて、世界中を驚かせた。」と中谷さん。
さまざまな工夫が、料理を進化せていくのですね。
「パンは2回焼くと、保存性が上がる。
だから、ビスケットはイギリス海軍の兵糧だった。
小腹がすいたから、おやつで食べるようなものではなく、
がっちりカロリーを補給するために食べた。」と中谷さん。
ちなみに、ビスケットとクッキーの違いは、糖分・油分の度合い。
40%以上がクッキー、以下がビスケットということですが、
世界的に混同されているのが実情のようです。
「フォーチュンクッキーの原型は、金沢の辻占煎餅。
文字通り、占いの紙が入っている煎餅のこと。
1894年の国際見本市に向けて造られた日本庭園。
これを設計した萩原眞が、訪れた人たちに出したお茶請け。
これが、アメリカ全土に広がった。」と中谷さん。
その後、第二次大戦時の日系人排斥を受けて、
中国人のレストランで供されるようになったそうです。
お菓子の来歴から、歴史を学びましょう。
バウムクーヘンは、ドイツの田舎のお菓子の一つでした。
第一次大戦後、捕虜として日本に連行されたカール・ユーハイム。
解放後も日本に留まることを決意し、家族も呼び寄せました。
横浜で「E・ユーハイム」を開店して、繁盛させます。
ところが、そこに関東大震災。全財産を消失してしまいます。
「お菓子は、平和な時代に食べられるもの。
カール・ユーハイムは、くじけない。根性がある。
神戸に移って再起を果たした。」と中谷さん。
こんな物語一つで、お菓子の味わいが変わってきますね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
自分の思いや考えをしっかり伝えたいという誠実な人。
そんな人が陥りやすいのが「長文」と「一貫性」。
文章にしても語り言葉にしても、長文読解は高難度。
しっかり伝えようとすればするほど伝わらないものです。
誰に対しても、一貫性のある言動をとる人は誠実です。
でも、その誠実さが「セクシー」にとっては大敵。
そう、「長文」と「一貫性」は、自己本位な言動なのです。
努力して短く言う。相手によって言うことをアレンジする。
セクシーな言葉選び、中谷さんから伺いました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
セクシー系、知的系、お嬢様系の美女たち。
この3人に、三股かけるのが主人公のトマス。
一見、異なるタイプですが、中谷さんはこう言います。
「セクシーには種類がある。知的もセクシー。
お嬢様の魅力は気が強さ。これがセクシー。」
人は誰でも「セクシー」を持ち合わせていたのです。
自分を磨くことで、セクシーが開花するのですね。
美女「女の子がみんな、あなたを見ているわ」
トマス「ぼくは、君しか見えないよ」
トマス「君はわかっていない。君がどんなにセクシーか」
トマス「ニューヨークって刺激的な街だね。君がいるから」
「トマスは、相手によって、服装を変えている。
言うことも、相手によって変えている。」と中谷さん。
「人を見て法を説け」という言葉がありますが、
トマスは、まさにその体現者だったのです。
トマスは、道行くおばあさんもうっとりさせます。
「同世代の異性だけを対象していると、モテない。
子供やお年寄りは、本質を見抜く。
ゲイや外国人からモテるのは、価値観の幅が広い証拠。
人間力勝負。持っている力が表れる。」
老若男女、誰からモテるトマスの人間力。
本作は「魅力とは何か」という問いに答えを与えてくれます。
「私、どうしていいか、わからないわ」とくれば、
「ゆっくり考えていいよ。女性には時間が必要だ」
「海に行こう」ではなく「泳ぎに行こう」
「君に会って以来、ぼくは、いきいきとしている」
これは、言うまでもなく「好きだ」の言い換え。
「写実的でありながらロマンチック。
ロマンチックに言い換えよう。」と中谷さん。
こんな言い換えに、言葉選びのセンスが表れますね。
「これから会わない?」「これからパーティーがあるの」
さあ、この場面、あなたならどう切り返しますか?
マークはこう切り替えしました。「すっぽかせば?」
「短く、堂々と、悪の誘い。長いと伝わらない。
いやらしくなる。しがみついては、ならない。」と中谷さん。
「失礼しましたー」と引き下がるようでは、修行が足りません。
映画をたくさん観て、シミュレーションしておきましょう。
中谷さんが常に男性に求めてきたのが「余裕」。
「あなたは、人生を細かな時間で計らないところが好きよ」
ガツガツしている人は、こんなふうに言われることはありません。
マークの場合、あまりにも余裕がありすぎて、
「コーヒーを淹れるわ(なに、もたもたしてるのよ)」と、
とじれられてしまうほどです(笑)
「余裕がある人は、積極性が見えない。」と中谷さん。
「余裕」があれば、積極的になる必要はないのですね。
トマスが、女性に贈ったプレゼントの中身は?
マークを診た占い師は、なぜ驚愕の表情をしたのか?
「たくさん映画を観ると、伏線が見えてくる。
伏線は回収される。伏線を味わおう。」と中谷さん。
これまでないがしろにしていたタイトルバック。
これも重要な「伏線」の宝庫。
中谷さんから学んだことで一番大きかったのは、
「伏線」に対する感性を強められたことでした。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美