7月6日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「音楽を聴く人に、神様は味方する。」
――『バッハ』
「諦めない所から、恋と冒険が始まる。」
――『それでも恋するバルセロナ』『パピヨン』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
音楽の父・バッハ。その生涯での作曲数は1000曲以上。
そんなバッハの言葉を、かいつまんでご紹介しましょう。
「音楽は、日常の生活で溜まった澱みや埃を取り除く。
私の流儀とは、たえまない仕事、分析、反省」
「心を動かさなければ音楽ではない。
他の人が見えないものを見えるようにしている」
どこかで聞いたことのある言葉だと思いませんか。
そう、音楽を本に置き換えれば、中谷さんの言葉そのもの。
バッハの仕事術は、そのまま中谷さんの仕事術だったのです。
超大量仕事術、バッハを通じてお話しいただきました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハは、18世紀ドイツの音楽家。
教科書でも「音楽の父」として、いかめしい肖像でお馴染みです。
「バッハは、バロックを完成させ、終わらせた人。
めちゃくちゃ斬新。めちゃくちゃ仕事している。
バッハは、ロック。既成概念を乗り越えている。」と中谷さん。
そんなバッハですが、存命中は売れなかったそうです。
まだ時代が、バッハに追いついていなかったのですね。
宗教改革といえば、マルティン・ルター。
ルターの生まれたのは、鉄鉱石産出で有名なザクセン地方。
この地で生まれた活版印刷が、宗教改革の原動力となりました。
それまでキリスト教といえば、教会の専権事項でした。
ところが、ドイツ語訳聖書が活版印刷で大量に刷られると、
家庭のテーブルで、父親が語り聞かせるものになりました。
「バッハは、ルター派の音楽家に生を受けた。
ルターを知れば、バッハがわかる。」と中谷さん。
教養を深めることで、音楽はより楽しめるのですね。
バッハ(Bach)は、日本語訳すれば「小川」だそうです。
「バッハは、小川ではない。大海だ」
これは、ベートーヴェンの言葉だとされています。
先に中谷さんもおっしゃったように、バッハの功績は、
バロック音楽の多種多様な流派や様式の集大成。
つまり「小川」を「大海」へとまとめあげたのです。
バッハから多大の影響を受けたのがベートーヴェン。
リスペクトの連鎖が、新しい音楽を生み出すのですね。
背中にはパイプオルガン。右手に楽譜。
左手の裏返しポケットは、お金がないことを表現しています。
これは、ライプツィヒのトマス教会にあるバッハ像。
バッハは、ここで27年間、音楽活動に明け暮れました。
「マタイ受難曲」などの名曲は、ここで創られました。
ライプツィヒは、芸術の街。バッハの発見者・メンデルスゾーン、
ゲーテ、ワーグナー、シューマン、そして森鴎外に滝廉太郎。
土地特有のスピリットが、芸術家を引き寄せるのですね。
中谷さん引用のバッハの言葉をご紹介しましょう。
「音楽は、翻訳がいらない。魂が魂に話しかけている。
音楽の目的は、神の栄光と癒やしである。
音楽は、日常の生活で溜まった澱みや埃を取り除く。
私の流儀とは、たえまない仕事、分析、反省」
バッハの仕事術は、そのまま中谷さんの仕事術だったのです。
バッハを聴きながら、中谷本を読んでみませんか。
バッハの言葉は、さらに続きます。
「私は楽譜通り演奏しているだけ。神がそれを音楽にしてくれる。
信心の次に大事なものはハーモニー。
音楽があるところに、神は慈悲深くいらっしゃる。
心を動かさなければ、音楽ではない。
他の人が見えないものを、見えるようにしている。
予想することは重要ではない。ただ我々は方舟をつくるのみ」
「バッハは、音楽という言葉で、神と対話した宗教家。」
神様の声を楽曲にしたのが、バッハの音楽なのですね。
「僕が鼻歌を歌っていたら、一緒に風景を思い浮かべて欲しい。
なんていう曲かと尋ねなくていい。一緒に歌って欲しい。
鳥の鳴き声や川のせせらぎ、滝の音に、曲名はない。」と中谷さん。
展覧会でも、絵よりも、解説ばかり見ている人がいます。
音楽にしても、絵画にしても、文字情報ばかりに目が行く。
これは現代人にありがちな行動といえるでしょう。
情報を頭に入れる前に、耳でしっかり味わいたいですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
しつこい。往生際が悪い。未練がましい。粘着質。悪あがき。
あきらめない人に対する評価は、つねに厳しいものです。
でも、「あきらめない」ことは精神力、胆力、覚悟の表れ。
脈がないからと、さっと引き下がらない。堂々と口説く。
映画「それでも恋するバルセロナ」のファンは、
男性が持つべき余裕と堂々ぶりを教えてくれます。
脱走して捕まり、何度投獄されてもまた脱走する。
映画「パピヨン」の主人公は不撓不屈の精神を教えてくれます。
そう、「あきらめる」ことは、飼いならされた大人の分別。
「あきらめない」人にだけ、道は開かれるのです。
大人の「悪あがき」の仕方、中谷さんから教わりました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
アカデミー賞に史上最多の24回ノミネートされた映画監督・ウディ・アレン。 「それでも恋するバルセロナ」は、ウディ・アレン監督のラブコメ作品です。 舞台はスペイン・バルセルナ、バカンスを過ごす、親友同士の美女2人。 一人はまじめなヴィッキー、もうひとりは自由奔放はクリスティーナ。 そこに現れたセクシーな画家ファン・アントニオ。 クリスティーナと発展すると思いきや、なんとヴィッキーと…… 「ウディ・アレンの映画は、セリフがいい。都会的。」と中谷さん。 速い展開についていくのが精一杯。修行になる物語です。
出会ったその場で、画家は今から旅に出ようと切り出します。
「街を案内して、美味しいもの食べて、愛し合うんだよ」
ぬけぬけと言い放つ画家に、警戒感を強めるヴィッキー。
ヴィッキー「私、婚約しているの」
ファン「最後のチャンスじゃないか。人生を楽しまないと」
ヴィッキー「セックスの約束なんて、できないわよ」
ファン「今決めなくてもいいよ」
「この堂々感。ありがちな男にはない、この余裕。」と中谷さん。
「あきらめない」は、リアクションに表れるのですね。
「脈がなさそうだからと、『失礼しましたー』ではダメ。
引き下がるのは、へなちょこ。こういうときこそ動じない。
あきらめない男が試合をひっくり返す。」と中谷さん。
画家の異次元の存在感に、しだいに2人は変質していきます。
情動的なクリスティーナは、しだいに思索的になっていき、
思索的なヴィッキーは、しだいに情動的になっていきました。
芸術家は、人を変質させていく力を持っているのでしょうか。
「パピヨン」を演じるのはスティーブ・マックイーン。
金庫破りで捕まり、仲間に裏切られ、南米の孤島で強制労働へ。
ダスティン・ホフマン演じる「ドガ」は偽札作りの天才。
パピヨンは、服役囚ドガを引き込み、脱獄をはかろうとします。
「逃げて捕まって、逃げて捕まってという物語。爽快感なし。
漂流もので脱獄もの。だから、『パピヨン』にハマった。」
映画に爽快感は必須のものだというのは、思い込みでした。
壮絶な人間ドラマを背負い込む。これが映画修行なのですね。
送り込まれた南米ギアナの強制収容所。壁には「reclusion」。
「隔絶」という文字が服役囚のメンタルを叩きのめします。
「社会復帰はない。希望は捨てろという意味。
でも、パピヨンはあきらめなかった。
何でも食ってやる。腕立て伏せを始めた。」と中谷さん。
真っ暗闇の独房。這いずり回る虫を食べて露命をつなぐ。
そんな不屈の精神がパピヨンの真骨頂。
あきらめない――その大切さを教えてくれる映画です。
いかにも悪者という、顔に入れ墨の男。
社会から隔離されて、やや剣呑なハンセン病患者。
一夜にして蒸発してしまった原住民たち。
心ならずも、つねに協力してくれるドガ。
彼らの存在なくしては、パピヨンの運命はそこで尽きていました。
彼らは、パピヨンの「あきらめない」その姿に打たれたのです。
生き延びるという情熱が、人々の協力を引き出すのですね。
「パピヨン」は実話をもとにした映画です。
「パピヨン」こと、アンリ・シャリエールのその後を調べてみました。
ココナッツで作った袋にしがみつき、何日もしてから漂着。
そこで逮捕され、また監獄で強制労働に従事。1年後に釈放されました。
ベネズエラの市民権を手に入れ、地元女性と結婚し、レストランを経営。
1969年フランスに帰国し、「パピヨン」を出版。大ベストセラーに。
執筆した小説が映画化され、みずからそれに俳優として出演したり、
「パピヨン」撮影中に、スティーブ・マックイーンに面会したりと、
パピヨンの後半生も、まるで映画のような展開です。
「生きるとは、あきらめないこと。」そのものの生き様ですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美