6月8日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「最後は、リラックスできる女性の勝ち。」
――『ポンパドール夫人・デュバリー夫人』
「落として開いた本には、メッセージがある。」
――『運命の元カレ』『ワンダーランド駅で』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
今回登場するのは、ポンパドール夫人とデュバリー夫人です。
いずれも「最愛王」ルイ15世の治世に大きな影響を与えました。
驚くことに、2人とも「正妻」ではありませんでした。
いわゆる人妻でしたが、「公妾」として王朝に君臨したのです。
「奥さんを国王の愛妾にできれば、夫は出世する。
未婚女性を愛人にするのは、むしろ不道徳。」と中谷さん。
現代人にとって、違和感だらけのブルボン朝時代。
だからこそ見えてくる、教養と根性の尊さ。
教養と根性の磨き方、中谷さんから教わりました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
ポンパドール夫人は、ルイ15世の時代、権勢をふるいました。
彼女は平民の出でしたが、その教養と社交は超宮廷レベル。
モンテスキューと文学を、ヴォルテールと哲学を論じたといいます。
死後残された蔵書は3500冊ともいわれるほどの読書家。
「最愛王」ルイ15世の心をつかんだのは、その教養だったのです。
「ロココ芸術のパトロンは、ポンパドール夫人。
美貌と教養で、みずからロココの華となった。」と中谷さん。
ポンパドール夫人から学ぶべきは、教養だったのです。
ルイ15世は、わずか5歳で王位に就きました。
いうならば、生まれながらの王様という人物でした。
名宰相に恵まれて、政治よりも恋愛やバレエに熱中したルイ15世。
「7歳から27歳までの20年間、毎日2時間バレエを練習した。
観るのではなく、王様みずからが踊る。だからリスペクトされた。
バレリーナへの生涯年金も初めて導入した。」と中谷さん。
一方で、治世中5回ものデフォルトしたルイ15世。
よくも悪くも、ブルボン王朝の爛熟を体現した王様でした。
ヴェルサイユ宮殿といえば、ルイ14世の富と権力の象徴的存在。
しかし、「太陽王」の幼少期は、安泰なものではありませんでした。
「ルイ14世は少年時代、貴族たちに命を狙われたことがある。
そこで、パリから離れた場所に王宮を建造し、そこに集住させた。
王は太陽。鏡に光を当てて、太陽をイメージさせた。
ルイ14世は、神になろうとしていた。」と中谷さん。
絢爛豪華、ルイ14世の栄光が15世の土台をなしていたのですね。
太陽王・ルイ14世は、ギネス記録の72年という在位期間を誇ります。
中央集権と重商主義政策を推進して、フランスを一大強国にしたルイ14世、
数々の戦争を戦い、積極的に領土拡張に乗り出しました。
内政でも、ヴェルサイユ宮殿の造営からミディ運河を建設するなど、
「朕は国家なり」という言葉の通り、絶対王政の体現者でした。
「ルイ14世は、仕事が好き。なんでも自分でやってしまう。
でも、リーダーは部下に任せないと。」と中谷さん。
専制君主政治の末路でしょうか、結局、ルイ14世の積極策は、
つぎのルイ15世の時代に、莫大な財政難をもたらしたのでした。
ジェンダーフリーが叫ばれる時代ですが、
男性は、やはり「男らしさ」にはこだわりがあるようです。
でも、そのこだわりが美をはぐくむこともあれば、
悲劇をもたらすこともあると、ルイ14世から学ぶことができます。
「芸術で、王の威光をつくろうと夢中になった。
宮殿を豪華にして、贅を凝らす。
男らしさの証明手段は、芸術と戦争。」と中谷さん。
「いいところ」見せるのなら、芸術にしてもらいたいですね。
ルイ15世の公妾・デュバリー夫人。
漫画「ベルサイユのばら」では、マリー・アントワネットと対立、
傲慢で意地悪なキャラクターとして描かれています。
「マリー・アントワネットが声をかけたのは、一度だけ。」と中谷さん。
一時期、娼婦に落ちぶれてから、成り上がったデュバリー夫人。
じっさいは、人柄もよく宮廷でも人気があったといいます。
老齢のルイ15世にとって、リラックスできる存在だったようです。
「パリの処刑人」アンリ・サンソン。
ルイ16世、マリー・アントワネット、幾多の貴族たち、
そしてデュバリー夫人。サンソンは、むかし夫人の恋人でした。
「デュバリー夫人のように泣き叫べばよかったのだ。
そうすれば、人々は事の重大さに気づき、
恐怖政治も早く終わっていたのではないだろうか」とサンソン。
敬愛するルイ16世の血のついたハンカチを密かに持ち帰り、
亡き国王のためにミサを行ったというサンソン。
死刑反対主義者のサンソンの人生ドラマは悲痛そのものです。
**
月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
歳をとるにつれ、自分のパターンに自覚的になります。
「なんで、いつもこのパターンを繰り返すのかな…」
これに気づいた人は、新しいパターンへの飛躍のチャンス。
「落として、開いた本は、読まずに閉じちゃだめだよ。
そこにメッセージがあるから」と古本屋のご主人。
これは、映画「ワンダーランド駅で」のワンシーン。
こんなふうに自分の「運命」を見つけ出せるようになる。
これが中谷さんの言う、自分の価値軸の確立なのかも。
価値軸の確立に役立つ、2本の映画をご紹介します。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
映画「運命の元カレ」の主人公アリーは、恋にさまようOL。
雑誌で「20人以上体験していると生涯独身」と知り、驚愕。
数え上げてみれば、現段階で19人。あと1人で……
そんな矢先、朝起きると、嫌いな上司が隣で寝ている……
「20人」になってしまったからには、戦略変更。
元カレのなかから、結婚相手を見つけようと決意したアリー、
向かいに住むミュージシャン・コリンと「捜索」を開始――
あれ、この俳優さん、不倫で活動停止していたような……
この人のお父さんって、たしかあの俳優さんだったはず……
映画やドラマを観ていると、ついそんなことが頭をめぐって、
ウィキペディアで調べたりすることがよくあります。
「知らない役者だから、リアリティがある。」と中谷さん。
アニメのほうが集中できるのは、これが理由かもしれません。
B級映画だから、映画に集中できるのですね。
2本目の映画は「ワンダーランド駅で」。
主人公エリンは29歳の美人看護師。でも、どこか暗い影が。
本好きのエリン、ある日、古本屋で物色中。
「落として開いた本は、読まずに閉じちゃだめだよ。
そこに、メッセージがあるから」と古本屋のご主人。
一方のアランは35歳の配管工。弟との二人暮らし。
「アランとエリン、これはアダムとイブ。」と中谷さん。
二人には、どんなメッセージがもたらされるのでしょうか。
エリンの大の苦手は、満員電車。
混雑もさることながら、そこで感じる孤独感が深刻です。
また、お母さんが勝手に出した、新聞の恋人募集広告。
群がってきた64人もの男性たちにも感じる孤独感。
「周囲に人が大勢いるほど、孤独を感じる。」と中谷さん。
満員電車の混雑から抜け出すと、海辺のワンダーランド駅。
群がり来る男たちから抜け出したところに、運命の人。
取り巻く混雑と雑踏から、早く抜け出しましょう。
「『じゃあ、そろそろ帰るね』は、必ずあるセリフ。
そこで『送っていきましょうか』は、いかにもありがち。
『ホテル行きましょう』はおっさん。
その間の無限の選択肢を考えるのが、男の役目。
その選択肢を教えてくれるのが、映画。
人生のキャパシティが問われる瞬間。」と中谷さん。
「そろそろ帰るね」へのアランのリアクションは如何に?
「出会いは関係ない。どう続けていくかよ」
看護師仲間からのひと言は、エリンに深く響きました。
「1回関係したいのと、続けてつきあっていく。
求められるものがぜんぜん違う。難易度が違う。」と中谷さん。
いい仕事に就いても、いい異性に出会っても長続きしない。
そういう人は「ゴール」の設定が間違っているのかもしれません。
アラン「人は、時々こうやって静かに海を眺める時間が必要なんだ」
エリン「こんなきれいな海は見たことがない」
アラン「誰と行くかだよ」
「最短コースで、すべてクリアしようとするのが男。
迷う楽しみ。回り道をどれだけ楽しめるか。
不便、わかりにくさ、そして面倒臭さを楽しむ。
最短コースでは、楽しみは得られない。」と中谷さん。
日常から離れ、静かな時間を送ることで見えてくる。
その時間をいっしょに送れる人が運命の人なのですね。
**
月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美