12月8日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「ノリを、共有しよう。」
――『こけし』『ジャズ』
「自分の変な所を、面白がろう。」
――『北原白秋』『ヴェルレーヌ』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
中谷さんのメッセージの本質、それは「余裕」の獲得。
精神的余裕、経済的余裕、時間的余裕。
多くを求めるわけではないけれど、不足して困ることのない状態。
それが「余裕」。では、どうすれば、余裕は体得できるのでしょうか。
それは「詩人」からの学び。詩人の奏でる言葉の力と生き様です。
今回登場するのは北原白秋とポール・ヴェルレーヌ。
いずれも著名な詩人ですが、その私生活は「むちゃくちゃ」。
でも、自分の人生を達観し、ときには笑い飛ばしてしまう。
そんな「余裕」を私たちに見せてくれます。
詩と詩人、そのギャップから学べることは少なくありません。
「余裕」を獲得する技法、中谷さんから学びました。
★こんな方にお奨めです♪
□余裕のない方。
□詩人の本質にふれたい方。
□自分の短所がいやな方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
今回のテーマは「詩人」。詩人の生き方から学びます。
北原白秋は長身で男前。それでいて、童心を持っていました。
女性にやさしいからモテモテ。女性ファンが殺到しました。
「隣家の人妻と駆け落ちして、姦通罪で逮捕。二人で裁判を受けた。
編笠をすこしかたむけよき君はなほ紅き花に見入るなりけり
これがそのときの心境。白秋、余裕でしょ。
『物語』に入るタイプの人生は、波乱万丈になる。」と中谷さん。
その後も、女性たちとの浮名を流しながらの詩作。
波乱万丈に、詩のヒントを見出していたのでしょうね。
貧窮生活に陥った白秋ですが、それでもロマンチスト。
わずかなお米を雀にほどこしたところ、なんと「雀の恩返し」が。
詩集「雀の生活」が大ヒットして、復活を遂げたのです。
その後も、「からたちの花」「この道」「ペチカ」。
山田耕筰とのコンビで童謡のヒットを連発します。
ところが、病を発症。視力が衰えてしまいます。
それでも、奥さんの口述筆記で、数々の詩作を成し遂げます。
病気になって、新しい境地に到達した白秋、
芸術家は「生きる」ことが「作品」なのですね。
「真実、二人はやるせなし、真実、一人は堪えがたし」
「薔薇ノ木ニ薔薇ノ花サク。ナニゴトノ不思議ナケレド」
一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか、
これも白秋の手になるもの。
「コピーを感じる。白秋は、コピーライターだった。」と中谷さん。
「自分の弱さを知った時、人は強くなる」
「苦悩を隠さない。苦悩が自分を光らせてくれる」
「美しいものをみたとき、人は反省する」
味わい深い北原白秋の言葉、胸にしみわたりますね。
ポール・ヴェルレーヌは、19世紀後半のフランスを代表する詩人です。
ボードレールとともに語られる巨人のヴェルレーヌですが、
実生活者としては完全に破綻していたあたりが、中谷さん好み。
「ヴェルレーヌが愛したものは、酒、女、そして神。
飲む買う、祈る。背徳と悔恨がテーマ。
やっちゃいけないことやる。そしてそして神様に懺悔する。
デカダンスの教祖として、若者が憧れた。」と中谷さん。
この振れ幅が、私たちに「余裕」をもたらしてくれるのですね。
市役所職員だったヴェルレーヌ、22歳でマチルドと結婚します。
ところが翌年、カミングアウトして、ランボーと同棲を開始。
28歳で、ランボーと痴話喧嘩。銃撃して投獄されてしまいます。
出獄後、ランボーと再会するやいなや、またバトル……
その後の人生もめちゃくちゃのヴェルレーヌ。
「不協和音な人生の終わり方が、いかにもフランス映画的。
詩のために人生がある。人生のほうが詩よりもより芸術的。
詩人とは、本来そういうもの。」と中谷さん。
「不協和音」に悩む方、ぜひヴェルレーヌの詩を音読しましょう。
「駿台予備校時代、先生たちの和訳の違いを味わった。
たとえば『セックス』。伊藤先生は、そのままセックスと訳す。
奥井先生は『こう訳しておこうか、あの夜のおたのしみ。
テストでは、伊藤くんの訳で書きなさいよ』。
佐久間先生は『やったのか』と映画字幕の訳だった。
奥井先生のは翻訳小説。伊藤先生のは受験。しびれたね。」
訳者によって、味わいがまったく違ってくるのですね。
「中谷さんの会話は即興。ジャズ。」と西岡文彦先生。
「中谷さんは短冊作家。1つのことを1000通りに言い換えている」
これは藤原和博さんの言葉。翻訳とリズム、まさに詩の世界。
「声に出して読めば、解釈がかわる。メロディーとリズムが生まれる。
いいことも、よくないことも面白がっていく人がアーティスト。
ジャズな生き方、詩人な生き方ができる。」と中谷さん。
ジャズな会話と詩な表現、そしてジャズな人や詩人の生き方。
これが中谷さんの生き様だったのですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
「ピンクの下着はお好き?」と聞かれれば「大好きだよ」。
「飛ぶスピードはどれくらい?」と聞かれれば、抱き上げて飛び立つ。
「あなたピーターパンなの?」と問われれば「ピーターパンは子供と飛ぶんだよ」。
めいっぱいのリアクション、具体的に行動に移す、教養あふれる返し。
映画「スーパーマン」から学ぶべきもの、それは大人のリアクション。
もう1本は「昼下がりの情事」。オードリー・ヘップバーンの主演作。
こちらも、会話のテンポと深みが味わえる名作です。
「次の展開」に行くための会話術、中谷さんから教わりました。
★こんな方にお奨めです♪
□キャラにメリハリをつけたい方。
□乙女心がわからない方。
□オードリー・ヘップバーンを味わい尽くしたい方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
中谷少年の将来の夢は「ルパンになること」でした。
「ふだんは高音で『不二子ちゃーん』のルパンだけど、
一瞬、低音で『面白くなってきた』というセリフが出てくる。
かっこいいルパンになるのは、ほんの一瞬。」と中谷さん。
ふだんのルパン3世はおちゃらけていて、おとぼけキャラです。
ずっこけキャラが変身する。この落差に、私たちは魅了されます。
ルパンから「落差」で魅了する技法を体得したいですね。
映画では、カメラ目線は御法度とされているのだそうです。
ところが、映画「スーパーマン」の冒頭では、カメラにウィンク。
「この瞬間、この映画の世界観に惹き込まれた。
この世界観でいくんだなという覚悟が伝わってきた。」と中谷さん。
今回の1本目は「スーパーマン」です。
じつはこの映画は、大人の立ち居振る舞いを学ぶ教材。
知られざる「スーパーマン」のダンディズムをぜひ。
「スーパーマンは、パワーというより、対話力がすごい。
『ピンクの下着は、好きですか?』と聞かれれば『大好きだよ』。
『空飛ぶ速度は?』と聞かれば、抱き上げて飛び立つ。
『あなた、ピーターパンなのね』とささやかれれば、
ピーターパンは、子供と飛ぶんだよ』と大人の切り返し。
パーンパパンというテンポ。とにかく大人。」と中谷さん。
「スーパーマン」で、大人のリアクションを学びましょう。
主人公の敵役、スーパーヴィランを演じるのがジーン・ハックマン。
「ドアを蹴破って入るスーパーマンに、まったく怒りをあらわにせず、
『ドアの弁償は、弁護士から連絡させるからね』と紳士的な対応。
さらには、召使いに『ケープをお預かりして』と礼儀正しい。
悪怒らない。悪役にこそ、品格が欲しい。」と中谷さん。
その手下の「悪の女」もスーパーマンに恋をしてしまいます。
悪役を「悪」として描かないところも、大人の映画なのですね。
オードリー・ヘップバーン扮する主人公は・アリアーヌ。
私立探偵である父親の操作記録を盗み読みして、
「大人の世界」を知ろうとする、19歳の音楽学校生です。
そこに現れる、年上の魅力的なプレイボーイ・フラナガン。
彼に甘く見られないために、一生懸命背伸びします。
「背伸びは想像力。若気の至りはリアリズムに走ってしまう。
想像のふくらましがない。いっしょに想像を共有したい。」と中谷さん。
いつしか、百戦錬磨のフラナガンもヤキモチを焼き始めました。
2本目は「昼下がりの情事」。見どころは「想像力」のようです。
「昼下がりの情事」でコミカルな役割を演じているのが私設楽団。
4人のカルテットが、つねにフラナガンに侍り、演奏しています。
ホテルの部屋、池ではボートの上で、さらにはサウナの中で。
「酸いも甘いも噛み分けられないと、大人のコメディは味わえない。
カルテットはすべてのことをわかっている。
神様目線。観客目線。」と中谷さん。
三谷幸喜さんもリスペクト。ビリー・ワイルダーの世界をぜひ。
「冒頭、パリの街。メイドさんがカーテンを閉めている。
幕が閉まるということは、お芝居の隠喩。
さらには、内側で愛しあっていますよ、というメッセージも。
僕たち観客は、カーテンの隙間から中を覗き込むという趣向。
映画の約束事やモティーフがタイトルバックで表現されている。」
タイトルバックといえば、飲み物とかを準備するための時間。
中谷さんのレクチャーを受けるまで、そう思っていました(笑)
でも、タイトルバックにこそ主題が込められているのですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美