11月3日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「ノリを、共有しよう。」
――『こけし』『ジャズ』
「ロマンチックは、リアルの中にある。」
――『バナナトリップ』『ベンジャミン・バトン』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
「こけし」を身近に感じる方は、それほど多くはないでしょう。
「ジャズ」のほうが、まだ身近に感じる人が多いかもしれません。
鳴子、遠刈田、土湯――「こけし」発祥の地は湯治場でした。
そこで土産物として扱われるようになったのが「こけし」。
ところが、こけしはその後投機対象になったり、
芸術品へと昇華するようになるという展開を見せていきます。
こんなエピソードを知ると、一気にこけしが身近に感じられます。
とっつきにくいジャズも、ジャズの歴史や社会的背景、さらには、
ミュージシャンたちの人物像にふれることで、一気に身近に。
こけしが目にとまり、ジャズに耳が反応するようになる。
発見と喜びに満ちた生活作法、中谷さんから伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□知識だけでなく、教養として身につけたい方。
□日本の伝統工芸を身近にしたい方。
□ジャズの概要と歴史的意義を知りたい方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
本を読む――これが日常の人もいれば、そうでない人もいます。
ピアノが身近な人もいれば、まったく縁のない人もいます。
「NHKにとっては、クラシック音楽は身近だし、
テレビ東京にとっては、ボウリングは身近。
文化、教養、歴史、構えてしまうと、非日常。
身近に感じられるのが教養、身近でないのが知識。」と中谷さん。
「知識」を「教養」に向上させるテクニックを学びましょう。
今回のテーマは「こけし」。はい、あの木彫り人形のこけしです。
「こけし」がテーマと聞いたときは、話がもつかちょっと不安に。
「その昔、農家の人たちは、年に三回温泉に行っていた。
7月に田植え泥落とし湯、8月に土用の丑の湯、そして1月。
こけしの歴史は、温泉の歴史と深く関わっている。」と中谷さん。
いま、第三次こけしブームなのだそうです。
こけしを通じて、歴史、芸術、そして投資を学んでみませんか。
湯治から始まった「こけし」。最初は素朴な土産物でした。
それが、しだいに思いも寄らない役割を担うようになります。
第2次こけしブームでは、こけしが投機の対象となったのです。
「1個何千円という値段がついて、箱買いされるようになった。
変わり種こけしやレア物こけしも出てきて、伝統から離れた。
その一方で、愛好家たちは、玩具から芸術品へと昇華させていった。」
こけしから、経済や芸術の知られざる一面が見えてきますね。
こけしの3大産地は、鳴子、遠刈田、土湯。いずれも温泉地です。
これに、津軽、南部、木地山、作並、弥治郎、肘折、
山形、高湯、中ノ沢が加わって、12大こけしと呼ばれるそうです。
「まず、表情を観る。つぎにシルエット、ボディ、衣装。
文様、そして花。山形は紅花、津軽なら牡丹。
花の絵柄は、地域で決まっている。」と中谷さん。
こけしは伝統芸術。観る目を鍛えて、鑑賞したいですね。
「こけし」に続いて、こんどはいきなり「ジャズ」。
この激しい展開は、どんな文脈につながっていくのでしょうか。
「ジャズは、楽譜が読めない人の耳コピがベース。
英語も耳コピ。リズムで覚える。
ブレッドアンドバターではなく、ブレランバラ。
英語はリズム。運動もリズム。
小学生に、ジャズ教育をするといい。」と中谷さん。
理論ではなく、まるごと真似る。これがコツですね。
画家から音楽に転身したデューク・エリントン、
モテるために音楽を始めたカウント・ベイシー、
モダンジャズを開花させたチャーリー・パーカー、
息子は「Taro」。大の日本びいきのアート・ブレイキー、
ジャズを「侘び寂び」化したマイルス・デイヴィス。
ジャズはわかりにくい。ジャズファンは怖い――
そんなジャズアレルギーを持っている方こそ、ぜひ。
中谷さんのジャズ論で、ジャズが一気に身近になるはず。
「コメディと音楽は連動している。ヒゲダンス、聖歌隊、民謡。
ドリフのコントのベースは、リズム感。」と中谷さん。
「ジャズという音楽は存在しない。ジャズな人がいるだけ」
これは、タモリさんの名言。そう、ジャズの本質は即興なのです。
ジャズとコント、いずれもインプロビゼーションが命。
「僕たちは、8時だよ全員集合で、コントの凄さを教わった。
つなぎが絶妙。あれがジャズ。」と中谷さん。
こけしと投資、ジャズとコント。激しい展開でしたね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
素敵な女性と出会いたい!――その一心で非モテくんはクルーズ船に。
ところが、それは、ゲイの出会いのための船旅でした。
一方、生まれ落ちた瞬間、死を直面にした赤ちゃん。
ところが、不思議なことに、年月を重ねるごとに若返っていく主人公。
「こけし」と「ジャズ」同様、今回ご紹介の2作品も突拍子もない組み合わせです。
でも、いずれも、この瞬間を生き切るという点では通底しているようです。
いつまでも、女性を追いかけてながら、「男」を完全燃焼したい。
いつ死ぬかわからない恐怖のなか、今日一日を生き切りたい。
「生」を完全燃焼させる心構え、中谷さんから伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□想定外の状況でも楽しみたい方。
□いいかたちで年齢を重ねたい方。
□ロマンチックな人生を送りたい方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
映画「バナナトリップ」はゴールデンラズベリー賞受賞作。
ゴールデンラズベリー賞って何?――と思われる方が大半でしょう。
同賞は、アカデミー賞前夜に発表される「最低作品」賞。
「劇場未公開だけどDVDにはなっている。超マニアック。
最低と言われる映画は、絶対観たほうがいい。
映画は、期待値を上げないで観よう。」と中谷さん。
私もまったく期待しないで観たせいか、けっこう楽しめました。
非モテとモテの二人組、出会いを求めてクルーズ船の旅に。
船室に入ると、ダブルベッドにハート型の枕。そして、変な位置の鏡。
女性との出会いを期待して乗り込んだのは、なんとゲイクルーズでした。
「降ろしてくれえ~」と泣き叫んでも、もう手遅れ。
二人は泣く泣く「バナナトリップ」に旅立ちました。
「ロゼリン・サンチェスは超美人。B級映画には美人がいる。
美人を追いかけると、面白い映画に出会える。
ジャッジではなく、発見。面白い所を自分で探そう。」と中谷さん。
期待値の低い映画を観て、面白さを探し出しましょう。
ゲイだらけのクルーズ船に、ビキニ美女軍団が漂着。
ありえない設定ですが、ここから物語は急展開していきます。
「設定は突拍子ないけれども、それを乗り越えるリアルさがある。
仲直りで言い訳してはだめ。返さなければいけなくなる。
謝ってもだめ。仲直りはキス。言葉を超える。」と中谷さん。
設定はぶっ飛んでますが、描写はリアルな「バナナトリップ」。
「まず、借りないでしょ」という本作、皆さんいかがでしょうか。
ベンジャミン・バトンは、老人のような容姿で生まれてきました。
産後、母親は死去。醜さに幻滅した父親は老人ホームに置き去り。
不思議なことに、ベンジャミンは歳をとるごとに若返ってゆきます。
「主人公はブラッド・ピット。CGで合成して、高齢者を演じた。
ブラピって、いい役者だなあと思った。」と中谷さん。
冒頭では、死を目前にした老人だったベンジャミンが次第に若返る。
「ベンジャミン・バトン」のテーマは、年齢だったのです。
いきなり「老人」として生を受けたベンジャミン・バトン。
精神はまだ子供でした。ベンジャミンは養母にこう尋ねます。
「僕はいつまで生きられるの?」
「いま生きていることに感謝しなさい。
道は違うけれど、行くところはいっしょ。生きて死ぬということ」
「老人ホームが舞台だから、毎日のように人が死んでいく。
でも、亡くなったシーンは描かない。これが映画的表現。」と中谷さん。
重ねる年齢もあれば、遡る年齢もある。
「歳」というものについて考えさせられる作品です。
ひょんなことから、ベンジャミン・バトンは施設を出て冒険に出ます。
タグボート乗りの船長のもとでアルバイトを始め、
船長に連れられて、売春宿で女性を買い、
さらには、実父と出会い、バーでウィスキーを飲みました。
「金を稼ぐということは、どういうことか理解した。
夢は金で買える。成長は不思議だ、ある日突然やってくる」とベンジャミン。
そんなとき、「少年」時代に仲良くしていたデイジーが現れ――
「老い」というリアルをファンタジーのように描いた作品、
それが「ベンジャミン・バトン」といえそうです。
「おとぎ話を、ドキュメンタリーのように表現している。
無理な話に、猛烈なリアリティを持たせる。
リアルを否定しては、ならない。
リアルの中に、ロマンチックがある。」と中谷さん。
リアルにあるロマンチック、ロマンチックにあるリアル。
両者との感応が、映画の醍醐味なのですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美