10月6日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「自然の色を、感じよう。」
――『半泥子・魯山人』
「最悪の時が、最高の時に変わる。」
――『ローマの休日』『アポロ13』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
川喜田半泥子と北大路魯山人――この2人の陶芸家を紹介します。
川喜田半泥子は三重県津の素封家の御曹司。
家業を継いで銀行家として活躍する一方、数々の名作を世に送り出しました。
「下手で、不器用で、上品で、力強いものが、いい。」という半泥子は、
洒脱で、サービス精神旺盛で、自由な芸術家でした。
北大路魯山人はマンガ「美味しんぼ」の海原雄山のモデルとして有名です。
魯山人は複雑な家庭環境のなか生を受け、その後も、過酷な環境で生育しました。
「最高の料理とは、家庭料理」という言葉に、
家庭を渇望していた魯山人の魂の叫びを聞く思いがします。
運命を受け入れようという半泥子と反骨の人・魯山人。
泥を捏ね上げながら見えてきた二人の人生観の根底にあるのは「自然」。
宿命を背負いながら、人生を切り開く方法、中谷さんから伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□陶芸に興味のある方。
□「自然」にふれる意味を知りたい方。
□複雑な家庭環境で悩んでいる方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
「半泥子」――半分泥にはまっていて、半分はまっていない。
泥まみれになりながらも、自分を見失わないという意味です。
半泥子が私淑する禅僧が命名しました。
「半泥子には雅号が多い。無茶法師というのもある。
常識の外へ行け。無茶とは、自由。」と中谷さん。
雅号に、自分に人生に託した思いを見て取ることができますね。
ちなみに、中谷さんが高校時代に自らつけた雅号は「憧風」。
風に憧れるなんて、なんて風流でいなせな高校生でしょうか。
半泥子の言葉に、つぎのようなものがあります。
「下手で、不器用で、上品で、力強いものが、いい」
これについて、中谷さんは、
「徳利で、注ぎ口から注ぐのは、貧乏注ぎ。
注ぎやすいから、つい気が緩む。
注ぎにくい側で注げば、丁寧になる。上品になる。」
あえて緊張感を高めることによって、品性を高める。
半泥子の精神が現れていますね。
「銀行頭取の仕事を終えてから、スリーピースのまま轆轤をまわす。
半泥子はおしゃれ。轆轤に魂をのせて遊んでいる。
土がもういいっていうまで揉む。芸術とは、遊び。
耐えざる修練をつみながら、風雅に遊ぶ。」と中谷さん。
びっくりさせるのが大好き。お金を循環させる。
土を選ばない。シングルオリジン。土の個性を重んじる。
「運命には従順であれ」
半泥子のしなやかな生き方は「遊び」という言葉に集約されていますね。
母の不倫と父の割腹自殺。その後、養子に点々とやられた少年期。
育児放棄と虐待、少年魯山人が生き延びるためには、
料理でかわいがられるという道しかありませんでした。
「最高の料理とは、家庭料理だ」とは北大路魯山人の言葉。
「家庭」を追い求めた魯山人は、ホームドラマに嗚咽したといいます。
「家庭料理があれば、孤独じゃなくなる」とは奈良さんの言葉。
孤独は、家庭料理で癒やされるのかもしれませんね。
「料理とは、素材の原始的本能をいかしながら芸術に高めるもの。
料理は理をはかる。不自然な無理をしてはならない。
料理は悟ることであって、こしらえることではない」と魯山人。
諸道具、骨董、美食にすべてを注ぎ、夜は読書と研究。
その鍛錬あって、42歳で「星ヶ岡茶寮」を開くという成功を収めます。
しかし、6度の離婚や芸術家への罵倒、そして星ヶ岡茶寮からの追放。
「三度炊く飯さえ硬し軟らかし思うままにはならぬ世の中」
料理を探求しながら、自分を探求していたのかもしれませんね。
坐辺師友――北大路魯山人の座右の銘とされています。
周りのすべてが師であり、友であるとの意味だそうです。
魯山人の言葉に、つぎのようなものがあります。
自然に対する素直さだけが、美の発見者になる。
あなたは、あなたの食べたものでできている。
手が込んでいるからいいわけではない。
料理は好きでつくるんだ。あたたかい愛情でつくる」
幼少期からの人間関係に絶望していた魯山人、
彼の「友」は「自然」を通じての「美」だったのかもしれませんね。
「高きを行く人に於いては衆は必ず之を非る」と魯山人。
崇高な世界を目指す人を、世間の人々は非難する。
魯山人の罵倒は常軌を逸したものに映りますが、
彼の幼少期からの物語を知れば、それもわかるように思います。
「魯山人は、人間に失望しすぎた。でも、その人生は、
この世の中をすこしでも美しいものとしたいと思って歩んだ。
半泥子と魯山人、ぜんぜん違うけれど、どちらも物語。」と中谷さん。
善し悪しで判断するのではなく、彼らの人生を丸飲みする。
そこから、私たちの人生指針が見えてくるようにも思えます。
**
月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
因縁だからの「アポロ13号」。飛び立った途端、トラブル続出…
このままでは、宇宙の藻屑と消えてしまいかねない乗組員たち。
そんな絶体絶命の大ピンチ。あなたならどうしますか?
がんじがらめの王女様、宮殿から脱出しての「ローマの休日」。
そんな非日常から、「日常」への帰還。あなたならどうしますか?
その「瞬間」への集中力と当意即妙なリアクション。
言葉の力で運命を変える方法、中谷さんから教わりました。
★こんな方にお奨めです♪
□メンタルが弱い方。
□当意即妙なりアクションを学びたい方。
□ピンチでも余裕でいたい方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
「ローマの休日」の主演は、オードリー・ヘップバーン。
「マイ・フェア・レディ」に続いてのご紹介です。
宮殿を抜け出した王女様が深夜に出会ったイケメン男。
グレゴリー・ペック扮する新聞記者は、とくダネに盛り上がる――
ちなみに、奈良さんのお父様は新聞記者でした。
赴任先の秋田で、当地の「お姫様」たるお母様と出会いました。
「ローマの休日」に込める奈良さんの思いも、印象的でした。
スペイン広場で「ローマの休日」を楽しむアン王女。
そこに、偶然をよそおって現れる新聞記者・ジョー・ブラッドレー。
「このときの30秒のシーンで、時計台の針が3時間動いている。
デジタルリマスター版では、修正されていた。」と中谷さん。
さらには「真実の口」のシーンでは、グレゴリー・ペックの有名な即興。
手首を隠して、オードリー・ヘップバーンが驚いた様が印象的です。
あの驚きの表情と抱きつくシーンは、オードリーの素だったのです。
ローマでの波乱万丈な1日を終え、別れのときがやってきました。
「I have to leave you now...」とオードリー・ヘップバーン。
「そうしたくないけど、しなければならないのが『have to』。
『must』とはニュアンスが違う。ここで、学んでほしいね。
『You must stay in the car and drive away.』は、
そのままクルマで立ち去ると約束してというニュアンス。
映画で、英語を学ぼう。」と中谷さん。
本作は字幕作品で。英語の勉強をしてみませんか。
中谷さんの映画鑑賞法の基本は「何度も観る」こと。
これまでの「別ナカ」でも、新しい発見に驚かされました。
「『ローマの休日』を観直してみると、見落としに気づいた。
僕は、服装を全部プリントアウトした。」と中谷さん。
オードリー・ヘップバーンにしても、グレゴリー・ペックにしても、
演技とセリフばかりに目が行き、服装にまで目が行きませんでした。
全部プリントアウトくらいの気持ちで、映画に食らいつきたいですね。
アポロ13号、いきなりいくつものピンチに見舞われます。
「NASA始まって以来のピンチだよ」と管制塔。
それに対し「いえ、栄光のときになりますよ」とジム艦長。
「ピンチのときだからこそ、いい言葉が欲しいよね。
予測は意味がない。誰が悪いか犯人探しも意味がない。
ピンチは予測するものではなく、乗り越えるもの。」と中谷さん。
パニック映画で、胆力を鍛えましょう。
吉川十和子さんとの二人芝居のアクシデント。
中谷さんが手品で花を出して大団円を迎える流れでした。
ところが、その花がステージに落ちているではありませんか…
「どうしようかな」と芝居をしながら考える中谷さん、
ふと、ミカンがポケットに入っていることに気づきました。
芝居の前に、高橋英樹さんからもらったのだそうです。
花の代わりに、みかんを差し出した中谷さん。
吉川十和子さんも、会場の皆さんもびっくり。
演技をしながら考える。これがピンチを脱する要諦なのですね。
**
月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美