7月7日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「生活に生きるより、人生に生きよう。」
――詩の読み方。
「想像力で、道を作ろう。」
――『カールじいさんの空飛ぶ家』『パリの恋人』『DESTINY鎌倉ものがたり』
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
ちょっとしたことでびっくりする人は、かっこ悪い。
そう思っている人は少なくないでしょう、とくに男性は。
でも、中谷さんは、こうおっしゃいます。
「驚けるのは、みずみずしい心を持っているあかし。
感性は誰もが持っているが、感受性はそうではない。
一生懸命取り組み、他者の悲しみに共感する。
そんな水やりが、心をみずみずしいものにしてくれる。
わかったふりをするのではなく、勇気を出して驚く。
詩は『驚き』を与えてくれる。詩を読もう。」と中谷さん。
いつまでも、みずみずしい感性を持つ方法、中谷さんから伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□詩の味わい方を体得したい方。
□感動の前に、怒りが出てきてしまう方。
□日に日に干からびてしまっている方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
「詩の舞台」を探訪するのが趣味という中谷さん。
佐藤春夫の犬吠埼、高村光太郎の阿武隈川。
そして、もう一つお気に入りなのが根府川です。
小田原駅からわずか2駅ですが、とてもマイナー。
「水平線を捉えきれない。ひと目で見きれない海。
詩人・茨木のり子の詩『根府川の海』。
根府川
東海道の小駅
赤いカンナの咲いている駅
空襲を逃れて、郷里を目指す少女の詩。」と中谷さん。
教養の月ナカ、今回のテーマは「詩」です。
「感性は誰もが平等に持っている。
それが外に出る人が、感受性を持っているということ。
心に水やりして、芽が出るかどうかは、自分次第。
汗をかいて一生懸命取り組む。涙や悲しみを共感する。
汗と涙で、感受性を磨こう。」と中谷さん。
「感受性」と「感性」、たった一文字違いですが大違い。
感性を感受性に育て上げるには勉強が必要なのですね。
アートを、むりして「理解」する必要はありません。
自然に湧き出てくる「驚き」を大切にしましょう。
「驚きから、怒りになる人と笑いになる人がいる。
『なんで?』は怒り。『なんと!』は喜び。
怒りそうになったら、笑えばいい。」と中谷さん。
「なんで?」になりそうになったら、踏ん張って「なんと!」。
人生を楽しみ、味わうための魔法の言葉ですね。
詩と現代アートの共通点は2つ。そう中谷さんは指摘します。
1つは「説明がない」こと。もう1つは「違和感から始まる」こと。
「答えを待っていると、味わえない。歌は詩。
陽水さんにしても、サザンにしても、いちいち考えないで受け入れている。
解釈の余地が残されているところが、楽しいところ。
「説明がない」「違和感」という宙ぶらりん状態。
これが、アートとの出会いの醍醐味なのですね。
「感受性の豊かな人は、小さなことで驚ける。
おばちゃんは自由。刀剣展で『みんな、いっしょやな』。
これだけは、言っちゃいけない(笑)
驚きを表すには勇気がいる。先入観のまま、いかに驚けるか。
「ピカソはすごい」より「あんなの、俺でも描ける」がピカソの狙い。
驚きのなかに、オリジナリティが生まれてくる。
驚く人だけが、人を驚かせることができる。」と中谷さん。
「わかったふり」が芸術鑑賞の一番の敵なのですね。
「『生活に生きる人』と『人生を生きる人』の2種類の人がいる。
生活に生きる人は、他者評価と『答え』を求めて生きている。
人生に生きる人は、むしろ、他者評価を拒む。
『わかったようなことを言うな』という気概を持っている。
好き嫌いは評価。鑑賞とは『なんだろう』。
詩の『なんだろう』で、人生を生きることができる。
現代アートは体力勝負。」と中谷さん。
体力と精神力をみなぎらせて、詩に体当たりしましょう。
詩は「声に出して読もう」と中谷さん。その真意は?
「高校時代、ひたすらラブレターを書いていた。
書いていたというより、模写していた、詩を。
万年筆で縦書き。書いたら読んで、自分の耳で聴く。
詩とは自分との対話。羞恥心を超えていくのがアート。」
詩は、自分の内面でのとりとめのない対話を表出したもの。
そして声に出して朗唱することで、さらに客体化される。
自分との対話を深められてゆく。
詩を書くことは、自分と対話することなのですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
映画の醍醐味は、いきなり「異界」に放り込まれること。
何百もの風船をつけた家で、冒険に出るカールじいさん。
本屋さんの店員が、いきなりファッションモデルに大抜擢。
魑魅魍魎がうごめく鎌倉で、黄泉の国を冒険する主人公。
「1つの映画を観ることは、1つの人生を生きること。」と中谷さん。
今回は、どんな「人生」を生きることになるのでしょうか。
「カールじいさんの空飛ぶ家」「パリの恋人」「DESTINY鎌倉ものがたり」
一見なんの脈絡もない3本の映画から、なにを見出すかは、私たち次第。
三題噺のような3本の映画から、導き出されるのは「人生航路」。
自分の人生をデザインする方法、中谷さんに伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□正座したくなる映画を観たい方。
□これから先の人生のイメージがわかない方。
□想像力の威力を知りたい方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
中谷さんは、しばしば「冒頭」への集中力を力説されます。
「出張先のホテルのテレビで、たまたま観た。
冒頭でいきなり釘付けになって、正座して観た。
冒頭だけでも何回も観て欲しい。あとは観なくてもいいから。」
これだけの「冒頭」、観ないわけにはいきませんね。
この作品は「カールじいさんの空飛ぶ家」。
リズミカルな展開と切なさが印象的な作品です。
オードリー・ヘップバーン扮する、主人公のジョー。
一介の書店員さんに、突如現れたカメラマンのディック。
「教養はアピールできない。読書量が、表情に出る。
オードリー・ヘップバーンの相手役には、力量が必要。
フレッド・アステアのような、父親くらいの男性がいい。」
「あなたは、私の人生に魔法をかけた」
「パリが好き。ドレスも教会も好き、そしてあなたも好き」
映画「パリの恋人」は、運命の出会いを体験させてくれます。
「パリの恋人」は、オードリー・ヘップバーン主演。
本作のキーワードは「共感」。中谷さんはこうおっしゃいます。
「同情とは、たんに人の考えがわかること。
共感とは、人が感じることを想像できること。」
共感主義を説く哲学者には、それほど魅力を感じなかったジョー。
一方で、初対面のときから、なぜか響き合うカメラマンのディック。
パリを舞台にした、アメリカのミュージカル映画。
見どころは、ディックを演じるフレッド・アステアの歩き方だそうです。
初対面で、いきなりのキス。でも、それから距離は縮まりません。
おたがいに心を寄せ合うようになった教会での撮影。
「また会える?」とオードリー・ヘップバーン扮するジョー。
でも、ディックは「君がモデルになればね」とつれない返事。
「ここで食いついちゃだめ。距離のとりかたが大人。
カジキマグロが食いついて、いったんリールの糸が伸びるイメージ。」
「余裕」ある人生、ディックを通じて生きてみませんか。
一色先生「黄泉の国というけど、なんだか懐かしい感じ」
死神「記憶にあるものですからね。意識が創るんです」
目の前に現れている「絵」は、自分自身が描くもの。
いかなる「絵」を描けるかで幸不幸が決まるともいえます。
主人公の一色先生は作家。作家とは想像・創造することが仕事です。
想像力で窮地を脱する姿に、クリエイティビティの本質が見て取れます。
想像力は創造力。作家という人生を生きてみませんか。
一色先生と若い新妻の会話が昭和的(?)で微笑ましいです。
「まさか先生と結婚するなんて、幸せ~」「僕も幸せだよ」
「もう1回言って」「だめ、1回だけ」
「わたしも、お母さんみたいに、先生を支えられるかな」
「どうかな(微笑)――もう十分支えられてるよ」
「優しさが溢れていて、温かい気持ちになる。
堺雅人さんは、日本のトム・ハンクス。」と中谷さん。
こんな結婚生活を体験できるのも、映画ならではですね(笑)
映画は「人生」を観る。これは今回のテーマです。
「映画を1本観ることは、1つの人生を生きること。
3本の映画を観ることは、240年生きたということ。」と中谷さん。
映画を観るようになってからの一番の変化は、多様性の受容。
いろんな境遇、いろんな人生がある。これを痛感します。
多様な人生を体験することで、受容性は高まるようです。
映画は、人間力を高める最高の教科書なのですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美