4月7日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
『アブラモビッチ』
――ザワザワ感が、自分を解放する。
『マイ・フェア・レディ』
――相手を認めることができることが、成長だ。
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
現代アートというと、なんだか、よくわからないもの。
「えっ」、ザワザワ、ギクシャクという方も少なくないのでは?
私自身、現代アートを取り扱ってきましたが、正直なところ、
「わかる」という体験は、ほとんどありませんでした。
「イラストは『わかる』がゴール。でも、現代アートは違う。
現代アートは『考える』きっかけになるもの。」と中谷さん。
「答え」がないと不安になってしまう。これは現代人の悪癖。
現代アートは、精神の「宙ぶらりん」体験の場。
現代アートで、メンタルを強くする方法、中谷さんから伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□現代アートが意味不明な方。
□パフォーマンスアートに興味のある方。
□正解が与えられないと、不安になる方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
千利休の屋敷に、みごとな朝顔が咲いていると耳にした秀吉。
さっそく赴いてみると、それはすでに刈り取られていました。
ところが、案内された茶室には、真っ赤な朝顔が一輪。
ある日、旧交ある茶人・丿貫が利休を招きました。
庭に設えた落とし穴。それに、あえて落ちる利休。
「お茶会は、パフォーマンスアート。
亭主と主客で、この場をつくる。」と中谷さん。
お茶会とは、「場」の意味を創り出すのが趣向なのですね。
イラストは「わかる」ことを目的とするのに対し、
一方のアートは「考える」切り口の提供が目的であると中谷さん。
「ライターにしても、アートに走ると仕事を頼みにくい。
初心者は作家性を出しがちだが、ベテランは我慢できる。
自分を殺したなかで、現れてくるのが自分。」
自分の「アート」を押し出して、価値を損ねていないか。
そんな客観視の大切さが、身にしみる話でした。
「アートは贋作だらけ。見分ける方法は一つしかない。
作品が持っているエネルギーで判断する。
真似ようとすると、丁寧になってしまう。
だからエネルギーが失われる。
最初に書いた文章には、エネルギーがある。
整理しているうちに、エネルギーが失われてしまう。」
作品の「エネルギー」を感じる力が「感受性」なのですね。
アート作品を前にして、「なに、これ?」「えっ」という反応。
それは「理解不足」ではなく、正対している証拠なのです。
「心がザワザワするのが、アート。
『えっ』という声を発するのは、古い自分。
『えっ』から『あああああ』になっていくプロセスが解放。
人間の解放を訴えるのが、芸術。」と中谷さん。
「えっ」という呟きから、人間の解放が始まるのですね。
マリーナ・アブラモビッチのパフォーマンスアート。
心臓に矢を向けた弓を相手に委ねる「休息のエネルギー」。
相互の髪をポニーテールで結びつけて16時間過ごす「時間の関係」。
736時間沈黙のまま、訪れる鑑賞者と向き合う「The Artist Is Present」。
全裸の二人がひたすら体をぶつけあう「宇宙の中の関係」。
「気絶するまで、裸でぶつかりあう。それが恋愛。
解釈は、いろいろ。作品が考えるきっかけになる。」と中谷さん。
「えっ」連発のアブラモビッチのパフォーマンスアート、
ユーチューブでもご覧いただけますので、ぜひ。
ニューヨーク郊外にある美術館。入り口には、お皿に盛られた米粒。
これを数えてから入館するのが決まりですが、何粒あるのか、
また、この行為にどんな意味があるのかは教えてもらえません。
「正解・不正解がないと不安になるのは、受験世代の特徴。
アートには、正解・不正解がない。」と中谷さん。
不安と向き合い、そこから自分を解放していく。
それがアート体験の真骨頂なのかもしれませんね。
「ゴッホの『ひまわり』を前にして『ちっちゃ』。
奈良の大仏様を前にして『でっか』。
大阪万博の太陽の塔を前にして『なんだこれ』。
『なるほど』ではない。驚きは、第一声で表そう。
自分の中のギクシャクした感じを言葉にすることで、
芸術の奴隷でなくなる。」と中谷さん。
アート鑑賞の大敵は「わかったふり」なのですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
「マイ・フェア・レディ」といえば、オードリー・ヘップバーンの名作。
ヒギンズ教授の指導によって、淑女へと羽ばたいていくシンデレラ物語。
ほとんどの人の認識は、こんな感じでしょう(私もその一人でした)。
ところが、今回、中谷さんの解説を聴いて、認識は一変。
知の巨人・バーナード・ショーが目論んだ「近代人への脱皮」、
これが「マイ・フェア・レディ」のテーマだったのです。
言葉遣いを改めれば、下層社会を抜け出すことができる。
猛特訓するイライザのド根性。授業料まで支払うという覚悟。
そう、「マイ・フェア・レディ」は、スポ根ものだったのです。
イライザの成長によって、いちばん成長したのはヒギンズ教授。
「主役」はイライザですが、「主人公」はヒギンズ教授だったのです。
「成長」で読み解く映画鑑賞法、中谷さんから手ほどきを受けました。
★こんな方にお奨めです♪
□女心にうとい方。
□バーナード・ショーの思想にふれたい方。
□「主人公」としての人生を生きたい方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美