5月6日(水)正午まで データ版:3900円/CD版8100円
「クリムト」「エゴン・シーレ」「ココシュカ」
――尖る人ほど、勉強している。
「パイレーツ・ロック」「エンジェル、見えない恋人」「テキサスの五人の仲間」
――選ぶ前に、やってみよう。。
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
自分の才能は、どうやって見つけることができるのでしょうか。
それを発見してくれるのは「才能ある女性」であると中谷さん。
「才能ある女性」が男性の「才能」を引き出し、育成していく。
そう「あげまん」とは「教育者」だったのです。
多くの天才たちと浮名をならしたアルマ・マーラー。
音楽家・マーラー、建築家・グロピウス、画家・ココシュカ、
そして、小説家・ウェルフェル。クリムトとも噂がありました。
「あげまん」によって才能を開花させられた天才たち。
でも、彼らの恋愛は、けっして幸せなものではなかったようです。
恋愛の苦しみを、才能開花につなげる方法、中谷さんから伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□クリムトにつらなる芸術家を勉強したい方。
□景気と芸術の関係を知りたい方。
□あげまんになって、芸術家を応援したい方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
芸術家の特技の一つは、時代の実力者から愛されること。
絵を描いているだけで、陽の目をみることはまれです。
貴族や富豪といったパトロンをもって、初めて創作に打ち込めるのです。
「バブル時代は、芸術家にとってもチャンス。
でも、隈研吾さんのように、バブル崩壊を逆手に取った人もいる。
予算が絞られたことで、隈さんの木の世界が花開いた。」と中谷さん。
芸術家とは、時代を作品にした人でもあるのですね。
芸術家の活動を支えたのは、大富豪。
クリムトも、そんな大富豪に支援された一人でした。
「クリムトは、大富豪の奥さんの肖像画を描いた。
絵のセクシーな表情をみて、何かあったはずと思っても、
大富豪は怒らない。器が大きい。」と中谷さん。
クリムトの周辺には、いつも魅力的な女性が数多く。
でも、そのクリムトを成り立たせていたのは、
じつは、器の大きいパトロンたちだったのですね。
「琳派にみられる左右非対称はヨーロッパにない。
空白を残し、色で埋めないのが、日本ならではの伝統技法。
花びら1枚ふわりを、1枚フワリをクリムトはやった。」
「日本画には、地面がない。いきなり立っている。
水平線がないのは、すごい不安感。夜空にも水平線がない。
鳥獣戯画は、じつは夜を描いている。
なぜなら、フクロウの瞳孔が大きくなっている。」
中谷さんの芸術論は、これまでの認識を一新させてくれますね。
「わけのわからない男が、モテる。
シュールレアリストはわけがわからない。だからモテる。」
エゴン・シーレはアドルフ・ヒトラーと同年代の画家志望者。
両者はともに、ウィーン美術アカデミーを受験しました。
シーレが合格したにも関わらず、みずから退学。
それに対し、ヒトラーは2浪して断念することになりました。
権力を握ったヒトラーは、前衛的な芸術を「退廃芸術」として排撃。
シーレも本来なら槍玉に挙げられるところでしたが、免れました。
シーレはスペイン風邪にかかり、27歳にして死去していたからです。
アルマ・マーラーは、その名の通り、グスタフ・マーラーの妻。
しかしアルマは、家に収まるような女性ではありませんでした。
束縛するマーラーに、嫌気がさし始めるアルマ。
アルマの気持ちを引き留めようと四苦八苦するマーラー。
建築家・グロピウス、画家・ココシュカ、小説家・ウェルフェル。
アルマに魅了された男たちには、いずれも悲劇な恋愛顛末。
才能が見出され、開花したことは、かけがいがありません。
「才能ある女性は、男の才能を見抜ける。」と中谷さん。
アルマから、学ぶものは少なくなさそうです。
恋多きアルマ。彼女のが32歳のときに出会ったのがココシュカ。
当時、ココシュカは25歳。画家として上り坂の時期でした。
「アロマは、自分から追いかけたいタイプ。
アロマに夢中になったココシュカは、マーラーの轍を踏む。
アロマは、ココシュカが従軍中、グロピウスと恋に落ちていた。」
失意の底に沈んだココシュカは、アロマそっくりの人形を作りました。
「いっしょに馬車に乗り、いっしょにオペラを観る。
人形と暮らす、これが愛。これがアーティスト。」と中谷さん。
芸術家の恋愛は、まさしく「アート」なのですね。
アートを気取っていると、かえって陳腐になってしまうかも。
中谷さんは、つぎのように警鐘を鳴らします。
「東京タワーも太陽の塔も、カルティエも新しい。
アルフォンス・ミュシャも100年前とは思えない。
変わったことをやっても、飽きられる。未来は、過去にある。」
温故知新――先人たちの偉業を味わい尽くす。
これが「創作」への第一歩なのかもしれませんね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
国家に歯向かう海賊ラジオ局。壮大なトリックを仕込む詐欺集団。
いけない大人――ワルの魅力は、映画の見どころの一つです。
「いけない大人を通じて、主人公は成長する。
僕が観る映画は、観る人が違えば、違う映画。
ネタバレなんて関係ない。筋ではなく、劇を観よう。」と中谷さん。
「筋」とはストーリー。では、「劇」とは何でしょうか?
中谷さんの言葉を借りれば、「劇とは、主人公の成長の物語」。
ワンシーンに込められた人間の成長物語。これを味わい尽くす。
「劇」の鑑賞法、中谷さんから教わりました。
★こんな方にお奨めです♪
□ネタバレでがっかりしてしまう方。
□「筋」ではなく「劇」を味わいたい方。
□「いけない大人」体験が少ない方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
ご紹介する映画、1本めは「パイレーツ・ロック」。
60年代のイギリス。海上に停泊する船の海賊ラジオ局。
濃いDJたちが、うぶな青年を大人に成長させていきます。
「常識の外にいるのがワル。自由な人たち。
『そんなの、ありですか』という、いけない大人に会おう。」
なかなか接点の持てないロックな大人たち。
「異界」体験で、古い殻を破っていきましょう。
DJのなかでも、とびきりモテるのが、マーク。
マークは、DJにしては言葉が少ない、というより無口。
「モテモテの秘密を、マーク本人に尋ねてみると、
『何も言わないことだよ。そしてひと言。どう?』。
世の中には、モテる男とモテない男がいる。
どちらに感情移入するかで、モテるかどうかが決まる。」
「パイレーツ・ロック」で、モテの極意を体得しましょう。
「パイレーツ・ロックは、セリフがいい。」と中谷さん。
「両足の間に、風を感じているかい?」
「臨時ニュースです。ただいま『打ち上げ』に成功しました」
まじめな大人なら、眉をひそめるセリフもポンポンと。
「銃弾では誰かが死に、爆弾では大勢が死に、暴力では愛が死ぬ」
「夢が曲を作り、曲が奇跡を起こす」
ふつうの大人なら、紡ぎ出せないようなセリフも折々に。
こんなセリフを、パッと口に出せるようになりたいですね。
今回2本めはフランス映画「エンジェル、見えない恋人」。
透明人間として生まれた主人公エンジェル。
彼の存在を「発見」したのは、盲目の少女マドレーヌ。
やがて2人は恋に落ちてゆきます。
その後、マドレーヌは手術を受けて、視力を取り戻しました。
彼女と、どう向き合えばいいのか――エンジェルは悩みます。
「マドレーヌは目隠ししてデートした。列車に乗って湖畔の小屋へ。
ベッドシーンも目隠し。とても、おしゃれ。」と中谷さん。
フランス映画の「おしゃれ」は、こういうところにあるのですね。
「テキサスの平原を、霊柩車が爆走している。
こういうタイトルバックを見逃してはだめ。伏線がある。
伏線は、2回3回観ただけでは気づけない。」
「西部劇の銃声は、パーン パパーン。
パーンパーンでも、パンパンでもない。」
こういう細かな気づきは、中谷さんならではのもの。
よきナビゲーターを得て、私たちの観方も上達しますね。
一世一代の名勝負。破れて、成長したのはギャンブラーでした。
帰宅するや、彼は財産目当てで娘と結婚しようという青年に、
「広い世間を見て歩け。経験を積んで、自分を磨け。
そして真の伴侶を見つけろ」と一喝し、窓から逃がしました。
「ストーリーは筋。筋を観るか、それとも劇を観るか。
劇は、主人公の成長物語。人間のドラマを観よう。」と中谷さん。
人間の成長を噛みしめるのが、映画というものなのですね。
「西部劇で、ボヤボヤしていてはいけないことが学べる。
勝ったつもりでいると、騙される。それがギャンブルというもの。
ギャンブルをやるなではなく、ギャンブルというものを学ぶ。
映画は、生きるための教科書。」と中谷さん。
私も、この映画の「筋」は楽しく観ることができました。
でも、「劇」ともなると、中谷さんの解説は不可欠でした。
映画修行を積んで、自分で「劇」を見出せるようになりたいです。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美