8月8日(水)正午まで データ版:3800円/CD版7800円
「正しい人生より、好きな人生を生きよう。」
――わからなさを楽しむ人生術
「マナーを身につけることで、自由になろう。」
――パブリックスペースに生きる作法術
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
芸術作品は、どのように鑑賞すればいいのでしょうか。
数多くみれば、しだいに目が肥えてくることはたしかです。
でも、中谷さんは、芸術家をめぐる物語にふれることを提唱します。
ルブランがマリ・アントワネットに出会うまでの物語。
失われる名建築を残そうとした谷口吉郎と明治村の物語。
ピカソとマティス。二人のライバル関係と相互リスペクトの物語。
「物語」を通じて、力まずに芸術作品を味わってみませんか。
人物ドラマを通じて、芸術を鑑賞する方法、中谷さんから教わりました。
★こんな方にお奨めです♪
□芸術をどのように鑑賞すべきか知りたい方。
□芸術家をめぐる人間ドラマに興味のある方。
□「正しさ」にこだわってしまう方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
芸術鑑賞というと、見たあと、論評をしなければならない。
そんな気持ちにさせられますが、そうではないようです。
「知っているものを見に行くのは『確認』。体験ではない。
1ミリでもいいから、観る前と後で変化が欲しい。
展覧会は、自分自身を変えに行く場所。」と中谷さん。
作品の「評価」ではなく、自分自身の「変化」。
美術館に出かけて、自分を進化させていきましょう。
いま、画像の修正アプリは、すごいようですね。
もはや、「別人」の域まで、加工することができるそうです。
「お抱えの絵師は、盛りすぎた。その点、ルブランは女性。
マリ・アントワネットの内面を描こうとした。
加工して自分好みにするのは、愛がない。
本当の愛とは、リアリズム。」と中谷さん。
生身の人間の内面に光を当てられるのが、愛なのですね。
抽象絵画やシュールレアリズム絵画には、好みが出ます。
「大好き!」という人もいれば、「粗大ごみ」にしか見えない人も(笑)。
でも、両極端に触れやすいからこそ、第一印象で終えたくはありません。
「落とし所を見つけたり、折り合いがつけたりするには、
グラデーションが必要。そのためには、たくさんみること。
ゼロか100では、社会でも通用しない。」と中谷さん。
経験値を増やすことで、微調整が可能になるのですね。
長い行列に並び、それなりの料金を支払って、対面した名画。
食い入るように必死にみてしまう。その気持ちもわかります。
でも、中谷さんは、こうおっしゃいます。
「全体をぼんやりみよう。必死にみると見落としてしまう。
よさがわからないからと焦らない。そんな余裕が欲しい。」
損保ジャパン日本興亜美術館にあるゴッホの「ひまわり」。
この絵、遠くからぼんやりみると、ゴッホの自画像に見える。
そう中谷さんがおっしゃっていましたよ。皆さんも、ぜひ!
「絵のよさ」をわかろうとするのは「正解」志向。
中谷さんは、つぎのように指摘します。
「良い悪いは、高い安いと同じように、他者の基準。
『自分、こういうのに弱いんだよね』と自分を眺めてみる。
自分独自のストライクゾーンを知るのが、メタ認知。」
世間的な評判や評価にとらわれずに、自分の好みで接する。
自分の価値軸を確立することで、深い絵画体験ができるのですね。
一人の恋人の出現で、ピカソは作風を一変させました。
「青の時代」から「バラ色の時代」といわれる展開がそれです。
「青というと、日本人にとってはブルー。精神的にへこんだイメージ。
だけど、キリスト教世界では、青はマリア様のケープの色。
高貴を意味する。赤はキリストの血の色というのが約束事。
スーパーマンが青と赤なのも、そういう意味。」と中谷さん。
その「青」でサーカスの団員を青で描いて、世の中に衝撃を与えた。
それがピカソの本領発揮ということなのですね。勉強になりました。
「覚悟が絵に表れる。まっとうな生き方を捨てたという覚悟。
絵を鑑賞するために、芸術家の物語に没頭しよう。」と中谷さん。
ルブランがマリ・アントワネットに出会うまでの物語。
失われる名建築を残そうとした谷口吉郎と明治村の物語。
ピカソとマティス。二人のライバル関係と相互リスペクトの物語。
こんな「物語」にふれることで、力まずに芸術作品に向き合えるのです。
人物ドラマを通じて、芸術を鑑賞してみませんか。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
他人の自由を奪う人は、自分の自由も奪われてしまう。
自分がやったことが自分に返ってくる。これが世の摂理です。
私たちに求められるのは、自分の言動を監視する「外からの目」。
昔の人は「お天道さま」や「ご先祖様」という意識を通じて、
自分の行動を律し、これが庶民の心意気となっていました。
貴族にはプライベートはなく、ひたすら「公」に生きました。
つねに人の目にさらされているという緊張感と心地よさが、
彼らの行動を、美しいものにしていったのです。
そう、貴族の高貴さの源は「パブリック」精神だったのです。
貴族の高貴さをまとう方法、中谷さんから伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□迷信や縁起を信じる方。
□高貴さを身につけたい方。
□日本と世界の歴史を学びたい方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
源氏物語絵巻、信貴山縁起、伴大納言絵巻、鳥獣人物戯画。
これらをして、「四大絵巻物」と呼ばれるそうです。
「鎌倉時代に絵巻物が大ブームになった。
それは、新仏教対旧仏教という宗教改革があったから。
このせめぎあいが、多くの物語を必要とした。」と中谷さん。
一度みた「鳥獣戯画」。あらかじめ、この話を聴いていたら、
見え方がだいぶ変わっただろうなと悔やまれます。
歴史で紐解かれる中谷さんの芸術論、展覧会に行く前にぜひ。
4や13といった忌み嫌われる数字。北枕から血液型占い。
これらを迷信として一蹴するのは、ちょっと乱暴かもしれません。
「迷信とは、解明されていないサイエンス。
迷信には2通りある。これをするとバチが当たる。
もう一つは、これをすると御利益がある。
縁起のいい迷信を信じて、御利益を得よう。」と中谷さん。
パワーをもらえる迷信が、信仰というものなのかもしれませんね。
旧家には、ご先祖様の写真がずらりと飾られていることがあります。
こういうかたちで、ご先祖さまの存在が身近にあれば、
知らず知らずのうちに、その目を意識しているものです。
「貴族は哲学と信仰を持っている。大衆は流行。
信仰は見られているという気持ち。これが自分を律してくれる。
上流階級ほど、信心深い。だから道徳的。」と中谷さん。
自分を見つめる「目」を持つことが高貴さにつながるのですね。
ひと目を気にせずに行動できるのが、プライベートスペース。
他者の目に配慮して行動すべきなのが、パブリックスペース。
「パブリックスペースがこんにち、消えかけている。
世の中、怖いものがなくなってきたから、マナーが悪くなる。
パブリックスペースで、見えないルールを学ぼう。」と中谷さん。
銭湯、エレーベーター、タクシー、展覧会、スタジアム。
パブリックスペースは、マナー体得の学びの場なのですね。
自由気ままを放棄した人ほど、社会階層が上がる。以前、
そんな文章を読んだことがあります(何の本でしたっけ?)。
言い換えれば、社会階層が上がるほど、プライバシーがないということ。
「マリ・アントワネットにプライバシーはなかった。
貴族は、着替えから出産に至るまで、お付きの人が立ち会った。
プライバシーがない人たちの立ち居振る舞い。それがエチケットの源。
ご機嫌でいなければならないもエチケット。」と中谷さん。
社会階層の上昇か、それとも自由気ままか、あなたはどちらにしますか?
マナーというと、ちょっと堅苦しいものだというイメージがあります。
でも、それは誤解であると、中谷さんはおっしゃいます。
「大家族やいいところの子供は、マナーがいい。
それは、家がパブリックスペースだから。」と中谷さん。
パブリックスペースで成長した人は、マナーをわきまえています。
だから、世の中に出ても、自由闊達に行動することができます。
マナーが身についていなければ、キョロキョロオドオド。
マナーで自由になる。これが人間社会というものなのですね。
「許せない!」と、いとも簡単に怒りをあらわにする人がいます。
「他者の価値観を否定すると、自分が自由でいられない。
違う価値観の人がいる。その人に寛容になれなければ、
自分にも寛容になれない。結局、自分自身が不自由になる。」
自分にとって価値を感じられないもの、意味のわからないもの。
それを否定していては、学びの機会を失っているだけのこと。
「わけのわからないもの」に出会ったときこそ、食いつきましょう。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美