6月5日(水)正午まで データ版:3800円/CD版7800円
「正解がないことを、考え続けよう。」
――職人的に働く仕事術
「雅と匠を、味わおう。」
――見えないものを味わう鑑賞術
※「備考欄」で、ご希望をお知らせください。
(300円分のポイントバック付き)
仕事がつらい。会社の人間関係がうまくいかない。
悩みの原因は「哲学」が足りないせいかもしれません。
部下に好かれたい。すぐに「正解」を知りたい。
ほかを出し抜いてでも、自分の成績を上げたい。
こういう邪念が、ブーメランとなって襲ってきているのです。
「サラリーマン的ではなく、職人的に働こう。」と中谷さん。
「職人」として会社に関わることで、今ある悩みは雲散霧消。
そのためには、哲学を学び、自分の哲学を確立すること。
職人的に働くための哲学学習法、中谷さんから伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□毎日、会社に行くのがつらい方。
□哲学を、自分の人生に活かしたい方。
□ジコチューという自覚のある方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
好かれようとすることほど、リスキーなことはありません。
好かれようとする先生や上司は、むしろ軽蔑されます。
好かれようとする男性は、女性から好かれないものです。
「リーダーは、好かれない。好かれたら危ない。
人気のあるリーダーの元で事故は起こる。」と中谷さん。
部下に好かれようとするあまり、チェックが甘くなる。
それが大きな事故につながっているという現実があります。
好かれようという気持ちを持たないのが「職人」なのです。
「今だけ、カネだけ、自分だけ」
最近読んだ本で見つけた、印象的な言葉です。
「仕事は、何のためにするのかを考えてみよう。
年収とか地位ではなく、たとえば創業者の想い。
そして、これから入ってくる社員の想いに思いを馳せてみる。
彼らのために働けば、自分自信が伸びていく。」と中谷さん。
自分のために働いていては、成長は望めないのですね。
上司から認められたい、部下から好かれたい。
周囲との関係の上で、はじめて「自分」というものがいる。
これは、サラリーマンの宿業なのかもしれません。
でも、こうした「時給」労働に身を任せていると、
「職人」としての働き方をすることができません。
「時給ではなく、職人として働こう。」と中谷さん。
仕事と自分という世界に磨きをかけ続ける。
これが「職人」という働き方なのです。
「美学」は、哲学ジャンルに位置づけられているそうです。
フランス語で美学を「エステティック」といいますが、
「esthetique」――この語感、何かに似ていませんか?
そう、「ethics=倫理」です。
「哲学も、美学も、ともに見えないものをみる学問。
倫理社会と美術は一つのことだったんだよ。」と中谷さん。
見えないものを見られる感性を磨いていきたいですね。
「中谷彰宏は作家じゃない。思想家だ」
作家の鷲田小彌太先生は、こうおっしゃったそうです。
私たちが接しているのは、中谷思想。
中谷さんの考え方、物の見方を学んでいます。
鷲田先生のおっしゃるとおり、作品という次元を超えています。
「象牙の塔にこもっていると、秘伝になってしまう。
僕は、一般の人が実践につなげられるような、
思想の革命をしていきたい。」と中谷さん。
思想革命の最前線にふれられるのが、月ナカなのです。
たとえば、安楽死。安楽死をめぐる議論には答えがありません。
森鴎外は「高瀬舟」で、安楽死について問題提起しました。
小説をはじめとした文学は、解のない問題を考える教材ともいえます。
「正解がないことを考えていくのが、哲学。マンガは哲学全集。
梶原一騎のマンガやスラムダンク、バガボンドで、
人間はいかに生きるべきかを、僕たちは考えた。」と中谷さん。
物語にふれることは、いかに生きるかを考えることなのですね。
捨てることで、新しいものが入ってくるスペースが生まれる。
これはこれまで何度となく、中谷さんがおっしゃってきたことです。
今回はさらに「封印」という手法をご紹介いただきました。
「すぐに正解を得ようとするのではなく、いったん封印しておく。
すると、あれはいったい何だったのかね?――と問題が見えてくる。
捨ててしまっては見えてこない。頭の片隅に、封印しておこう。」
一目散に正解を求めるのではなく、いったん留保してみる。
封印することで、考え続ける哲学思考を身につけたいですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美
毎日がイキイキしていない方。ドキドキする出会いのない方。
それは「美」にふれる機会が少ないからかもしれません。
美しい女性に興奮するのも、美を尊ぼうという人間の本能。
映画や絵画をみて感動するのと、根底は同じなのです。
老若男女、人は誰しも、美しいものを愛します。
美しいものにふれたとき、人間の魂は躍動するのです。
ところが、衰えを理由に、それを封じ込めてしまう人もいます。
たった一度の人生、それではあまりにももったいない。
衰えてなお、盛んになる生き方術、中谷さんに伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□毎日に、ワクワクを実感できない方。
□衰えていく自分に焦っている方。
□芸術について知見を深めたい方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
掛け軸や書画に凝っている友人が、こう言いました。
「書いた人の気迫が伝わってきて気持ちいい」
今回、中谷さんも、書について語っていらっしゃいます。
「絵より、書のほうがエネルギッシュ。
気持ちをトレースできるから、入り込める。
書道展に行くと、ヘトヘトになる。」
寺社仏閣、美術館、博物館、そして書道展。
気の向くまま出かけてみて、いい汗流したいですね。
「同じレベルで共感できる人は、ごく少数。
みうらじゅんさんと、いとうせいこうさん。
二人が出会うまで、どれだけ孤独だったか。」と中谷さん。
「最近、現代アートに興味が出てきて――」という人なら、
たくさんいるので、話し相手にも困らないでしょうが、
「小学校の頃から、まつろわぬ仏像を研究していて――」
という人になれば、ともに語り合える人はほとんどいません。
「極め尽くした人は、孤独。」と中谷さんは指摘しています。
孤独と極め尽くすことは、トレードオフの関係なのです。
こんにちの日本文化の原型は、室町文化といわれています。
絢爛豪華の北山文化は足利義満、質素な東山文化は足利義政。
この2人によって、室町文化は確立しました。
「三代将軍・義満の雅と八代将軍・義政の匠。
武力で政権を掴んでも、芸術で治めなければ滅んでしまう。
足利幕府も信長も、文化で統治しようとした。」と中谷さん。
歴史の知識を身につければ、文化を見る目も変わってきますね。
金閣寺に代表される絢爛豪華な北山文化。
銀閣寺に代表される侘び寂びの東山文化。
この両極端の文化はなぜ、室町文化と総称されるのでしょうか。
「東山文化の『質素』は貧乏くさいのとは違う。
あえて豪華にしないというお洒落。
雅がないと、侘び寂びが立たない。」と中谷さん。
室町文化の凄みは、雅と匠という両極の止揚にあるのですね。
エロースとは、自己中心的で衝動的な愛のことを指します。
このエロースに、新しい意味付けをしたのがプラトンです。
プラトンは、「肉体」へ愛から「魂」への愛、そして「知識」。
この3段階で、エロースを解釈し直しました。
「エロい気持ちは、美に惹かれるということ。
美を極めることは、祈りにつながる。」と中谷さん。
エロは、美への憧れ。エロに磨きをかけていきましょう。
名もなき職人から生み出された工芸品に美を見出したのは、
民藝運動の父・柳宗悦です。
柳は「匠」の美を再発見し、思想として昇華させた人物。
古くは千利休も、身近なところに美を見い出し、
その精神を侘び茶として大成させました。
「紅葉は裏から見る。陽光に映えて葉脈がとてもきれい。
身近なところに、美を見つけ出そう。」と中谷さん。
美術館で美にふれた後は、身近な美を探してみましょう。
男性機能の衰えは、誰しも避けて通れないようですね。
煎じ詰めれば、動脈硬化の初期現象ということになるようですが、
「まだまだ現役」と元気な男性にはショックなことと思います。
「フニャフニャになってから、プレーは進化する。
ビンビンは絢爛豪華な北山文化。衰えてきたら侘び寂び。
フニャフニャだから、今この瞬間の美を味わえる。」と中谷さん。
肉体の衰えは、悲しむべきことではありません。
そのぶん、新しい美を発見する感性が磨かれるのです。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美