月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

月刊・中谷彰宏193「行きつけの人に、なろう。」――『京都中華』

京都の中華といっても、ピンと来ないことでしょう。
今でこそ、国内外から大勢の観光客を迎える京都ですが、
一皮めくれば、京都庶民の日常が繰り広げられています。
それが濃厚に現れているのが、町中華。
「中華料理がわかれば、京都の美意識がわかる。
京都と中国はよく似ている。」と中谷さん。
両者の共通項は、時間をかけた信用構築。
「一見さん」も時間をかけながら「馴染み」になるのです。
「行きつけ」になるための作法、中谷さんから学びました。

  


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○「危機に対処するには、教育。」(中谷彰宏)

天下無双の京都。でも、何度も災厄が訪れました。
「京都は、明治維新で危機に瀕した。
御所を失った経済効果は計り知れない。
でも、京都は没落慣れしているから対応が早い。
全国に先駆けて学校を設立した。」と中谷さん。
ピンチには教育。これも京都人の叡智なのですね。

○「餃子は、深夜に食べるもの。」(中谷彰宏)

京都餃子の2大ブランド、それは「珉珉」と「王将」。
珉珉の創業者は、前衛画家・古田安。
京都の3号店では、壁に落書き自由だったとか。
王将は四条の発祥。3のつく日は半額、毎月16日に、
京都新聞に無料クーポンをつけて繁盛しました。
「京都では、餃子は深夜に食べるもの。
舞妓ちゃんが仕事終えてから、食べに行く。」と中谷さん。
京都に行ったら、まずは餃子ですね。

○「行きつけは、決まるもの。」(中谷彰宏)

「次は、あぶら身はちょっとにしてくれへんか。
顔を覚えておいてもらったら、感謝のぽち袋。
名前は覚えなくても、顔はしっかり覚える。
行きつけは、決めない。決まるもの。」と中谷さん。
力が抜けた自然体のときの漂い先、それが行きつけ。
京都に行くと、力んで、あれも見よう、これも食べよう。
そうなってしまいがちですが、必要なのは「脱力」。
その時、京都の真髄にふれることができるのです。

○「美味しいよりも、美味しかったを目指そう。」(中谷彰宏)

「ユニバーサル」という言葉には、
「誰でも瞬時にわかる」という意味があるようです。
要は「わかりやすさ」、古今東西老若男女が即理解できる。
ハリウッド映画やコカコーラなどがそれにあたるでしょう。
だからこそ「わかりにくさ」は、多様性のあかし。
「美味しいを目指すと、一口目を狙ってしまう。
「美味しかった」を目指そう。」と中谷さん。
「美味しかった」が、京都の味の目指すところなのです。

○「美味しさに求めているのは、安心感。」(中谷彰宏)

「京都人は、DNAレベルで、必死感を出さない。
とくに食べ物では、かっこつけない。背伸びしない。
京都の洋食、中華は、かぎりなく家庭料理に近づいている。
目指しているのは「うん、これだよね」という安心感。
一人ひとりの記憶の奥底をくすぐる味わい。」と中谷さん。
京都人・北大路魯山人にも通じる世界ですね。

○「信用に時間をかけるのが、京都と中国。」(中谷彰宏)

「京都といえば、一見さんお断り。でも、これは都市伝説。
時間をかけて関係を構築しようとする。排除はしない。
これが京都の流儀。信用が大事だから、時間をかける。
その点、京都と中国はよく似ている。」と中谷さん。
歴史的に見ても、たしかに京都と中国はよく似ています。
ともに都として、外からの侵入者にさらされてきました。
時間をかけることの大切さを、熟知しているのですね。

○「江戸は付き味、大阪は出汁味、京都はもの味。」(中谷彰宏)

「日本料理の五法、煮る、焼く、蒸す、揚げる、そして切る。
「切る」は、日本以外にはない。せいぜい「分ける」。
江戸は付き味、大阪は出汁味、京都は、もの味。
京都は、素材の味で勝負する。ソースではなく。」と中谷さん。
素材そのままの京都と、素材を強い火力で料理する中華。
一見相容れない両者が融合したところに、京都中華。
最近人気のガチ中華と京都の町中華。食べ比べたいですね。

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