小学生の作文でも、大学生の卒論でも文字数が勝負。
私も内容をふくらませながら、文字数を稼いだものでした(笑)
「明治時代、初期の新聞は、文字がびっしり。読みにくい。
文字を詰めれば詰めるほど、伝わらない。
余白を大切にするのが日本人の感覚。」と中谷さん。
文字数が多い=サービスという誤りを正したのは、
まさに中谷さん。余白を味わうのが、中谷本ですからね。
以前取り上げた「シンデレラ」。この謎解きは圧巻でした。
「ガラスの靴」は、フランスのガラス産業のプロモーション。
「時計」は、キリスト教会からの権力の奪取を意味していた。
国王・ルイ14世の思いが「シンデレラ」だったのです。
「宙ぶらりん状態の伏線が明らかになる快感。
気づかない伏線に気づく。これが勉強。」と中谷さん。
今回は「浦島太郎」の謎に挑みます。
「むかしむかし浦島は 助けた亀に連れられて
龍宮城来てみれば、絵にも描けない美しさ――」
浦島太郎といえば、誰もがこの唱歌を思い浮かべます。
「浦島太郎は実在の人物、浦嶋子の物語だった。
海の中の龍宮城は、絶海の孤島のこと。」と中谷さん。
京都府の日本海側、丹後半島の先端に浦嶋神社。
浦嶋子は、遭難者? それとも冒険家?
浦島太郎をめぐる妄想は、どこまでも広がります。
「玉手箱の中から、煙が出てきて、おじいさんになった。
ここでいう煙とは、ホコリ。トリックは何もない。
中に入っていたのは鏡だった。当時の鏡は、貴重。
自分がおじいさんになっていたことに気づいた浦島太郎、
泣き崩れて、やがて鶴になって飛び去っていった。
ハッピーエンドか、バッドエンドかわからないのが日本映画。
めでたしめでたしが、ハリウッド映画。」と中谷さん。
好む物語タイプの違い、これも多様性なのですね。
「日本人は箱が好き。箱といえば、パンドラの箱。
パンドラは箱を開けてしまい、様々な災いが飛び出した。
そして、底に残ったのがエルピス、希望。」と中谷さん。
そう考えると、浦島太郎の玉手箱にも意味深長です。
知る人のいない故郷にいるくらいなら、死を選ぶ。
あるいは、乙姫様による意趣返しなのかも(笑)
二宮金次郎が背負っていたのは薪? それとも枝?
手にする書物は和綴じの薄い本? それともジャンプ並?
小学校で目にする二宮金次郎こと、二宮尊徳像。
そこまで興味を持って、観察したことがありませんでした。
「二宮金次郎像は高さ1メートル。
これがメートルの基準になった。戦場で役立った。」
中谷さんの「観察」が実感できるトークです。
金次郎は裕福な農家の生まれでしたが、没落。
親戚の家に預けられ、不遇な少年時代を送っていました。
夜、読書していた金次郎に、油の無駄だからやめよと祖父。
「ここから、金次郎の人生が炸裂した。
さっそく菜種を栽培し始めて、それで支払ってしまった。
バイトを雇っての新田開発、貧窮者への無利子融資。
二宮尊徳は、努力の人というより商売の人、工夫の人。
日本初の経営コンサルタントだった。」と中谷さん。
いつの時代も、工夫をする人が成功するのですね。
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