昔話「わらしべ長者」は、男が観音様に手を合わせ、
お金持ちになりたいと願をかける場面から始まります。
「パッとしない中年男だけど、ここがすごい。
欲望を正直に言っている。枯れちゃダメ。欲望は大事。
ここの教訓は、欲望を正直に声に出そう。」と中谷さん。
日本人は全般的に、欲望をあらわにすることをためらいます。
でも、それを表明することが、成功への第一歩なのです。
「男のすごいところは、観音様に相談しているところ。
お金持ちになりたいのなら、お金持ちに相談する。
実力者を見つけ出し、相談するから成功できる。
近くにいるというだけで、むやみに相談しないこと。
清貧が大事とか、正論を言ってくる。」と中谷さん。
つい身近な人に相談しがちですが、それは禁物。
「実力者」を見つけ出すことも、実力なのですね。
「外に出て、最初に手にした物を大切にしなさい」と観音様。
男はいきなり転んで、わらしべを手にします。
それにアブを結わえたら、むずがる子供が泣き止みました。
お礼にもらったミカンは反物へと「変身」を繰り返します。
「どう見ても値打ちのない物でも、これは違うと思わなかった。
素直で無欲だから、チャンスをつかめる。」と中谷さん。
「丸呑み」の大切さは、ここにあるのですね。
ところが男は、価値を下げてしまう取引にも応じます。
高価な反物を、病気の馬と交換したのです。
「愛情深く介抱した結果、馬は駿馬になった。
駿馬をきっかけに、名家に婿入りすることになった。
ぐずる子供、不調の姫君、病気の馬。
愛があるから、人脈を交換できる。」と中谷さん。
「わらしべ長者」の教訓は、愛の大切さにあったのですね。
雑誌の「幸福度ランキング」上位の常連といえば富山県。
家の大きさ、教育レベル、福祉などで高く評価されています。
ところが富山県、昔は、けっして豊かではありませんでした。
「富山藩は、加賀前田家の分家筋。幕府から目をつけられていた。
それに、川が急、洪水が多いこともあり、田んぼが少なかった。
藩主は病弱で、薬が手放せなかった。」と中谷さん。
こういう苦しい事情から「富山の薬売り」が生まれたのです。
使った分だけ、後払いしてもらうのが置き薬ビジネス。
薬売りたちは、全国津々浦々、行商してまわりました。
「立山の修験者は、以前から御札を売ってまわっていた。
このネットワークとビジネスモデルに、薬をのせた。
置き薬ビジネスは、情報ビジネス。」と中谷さん。
その他にも、クオリティ管理、データベースの共有、
ノベルティグッズの活用、健康相談からスクール創設まで。
富山の薬売りは、現代に通じる先駆的存在だったのです。
愛をベースに、人脈をつないでいった「わらしべ長者」。
先駆的なアイディアと創意工夫を次々と取り入れながら、
人と人とを結びつけていった「富山の薬売り」。
「出会いを大切にする人だけが、出会える。
人脈を交換できる人が、成功する。」と中谷さん。
むやみに広げるだけでは意味のないのが人脈。
人脈に対する意識をアップデートできるトークでした。
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