月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

作家込みで味わい尽くすのが、現代アート。

中谷さんの「二刀流」鑑賞術。

月刊・中谷彰宏181「異世界を体験することで、関心を持とう。」――『バンクシー』

「現代アートって意味不明…」「現代アートって胡散臭い…」
でもそれは、鑑賞法を知らないからかもしれません。
ジェフ・クーンズで「現代アートは、作家込みで作品。」、
マルセル・デュシャンで「基準をひっくり返すのが、アートの役割。」、
バンクシーで「絵でみせるのが、コンセプトワーク。」と語る中谷さん。
現代アートとは、じつはアートというより「物語」なのかもしれません。
現代アートが描く「物語」の読み解き方、中谷さんから伺いました。

ゲスト:奈良巧さん(編集者)

【単品】月刊・中谷彰宏181

本編の一部を無料試聴いただけます。

【データ版】月ナカ181 価格:1,700円(税込)

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○「現代アートは、作家込みで作品。」(中谷彰宏)

バルーンドッグ、ラビット、そしてパピー。
「炎上作家」との異名も持つジェフ・クーンズ。
作品のみならず、その私生活や思想に注目が集まっています。
「売れる、売れない。これは、うまいへたじゃない。
ここが、昔と違うところ。古典絵画に、思想はない。
思想、生き様、メッセージ、世界観。
現代アートは、作家本人込みで作品。」と中谷さん。
「作家」を作品を通じて味わうのが、現代アートなのですね。

○「アートの売り方を発明したのは、ピカソ。」(中谷彰宏)

ジェフ・クーンズはウォールストリートの金融マンでした。
「アートと株は、同じ原理。需要と供給。
最初に、アートの売り方を発明したのは、ピカソ。
ピカソほど、売り込みがうまい画家はいなかった。」と中谷さん。
でも、ピカソも、ムンクに相談するくらい悩んでいて、
いかにも悩んでいそうなムンクから、逆に励まされたそうです。
技術とマーケティングの二刀流で成り立つのが現代アートなのですね。

○「基準をひっくり返すのが、アートの役割。」(中谷彰宏)

マルセル・デュシャン。現代アートを切り拓いた一人です。
便器にサインを施しただけの「泉」。
「L.H.O.O.G.」は「モナリザ」にいたずら書きしたような作品です。
デュシャンは「アートとは、思考を楽しむ手段」と定義しました。
ですから「なんじゃこりゃ?」で始まるのは正解なのです。
「基準をひっくり返すのが、アートの役割。」と中谷さん。
「基準」に囚われることで、精神の闊達さは失われます。
アートとの対話は、精神のみずみずしさを与えてくれるのですね。

○「絵でみせていくのが、コンセプトワーク。」(中谷彰宏)

バンクシーといえば「花束を投げる男」。
パレスチナの、とあるガソリンスタンドの壁に描かれた作品です。
手に持っているのは、火炎瓶ではなく花束。
「イスラエルへの警告。空爆したら、花束を投げるぞ、と。
ふだん見向きもされない報道関係者も集まってくる。
言葉より絵。絵でみせていくのが、コンセプトワーク。」
人の心を打つのは、百の言葉より1枚の絵、なのですね。

○「マーケティングより、ブランディング。」(中谷彰宏)

マーケティングのプロフェッショナルの中谷さんが、
バンクシーをリスペクトする理由を語りました。
「こうやれば売れるは、後追い。
いま、マーケティングは、行き詰まっている。
自分はこうやるが、ブランディング。
バンクシーのやりかたが一番勉強になる。」と中谷さん。
ブランディングの根底にあるのが「自分軸」。
バンクシーから学ぶべきは「信念」だったのですね。

○「バンクシー伝説は、バンクシー側が流している。」(中谷彰宏)

「東洲斎写楽は誰?」――これは歴史好きの格好の話題です。
写楽同様、謎に包まれているのがバンクシー。
ネットには、バンクシーに関する情報が多数ありますが、
その正体は、いまだ明らかにされていません。
「バンクシーにまつわる伝説は、バンクシー側が流している。
このあたりも含めてのアート。」と中谷さん。
生々しい一個人よりも、「バンクシー」として偶像化したほうが、
発したいメッセージは伝わるのでしょうね。

○「現代アートは、ストーリーが商品。」(中谷彰宏)

バンクシーは、イングランド南部のブリストル出身とのこと。
ここは昔から奴隷貿易の拠点として栄えてきました。
そうなると、こんにちでは移民問題に目がゆくことになります。
「現代アートは、異世界の見方、新しい概念を提示する。
ものの見え方、考え方が変わる。これが現代アートの意義。
自分のメッセージを、どう流行らせるか。
その胡散臭さは、大事な個性になる。」と中谷さん。
有名なサザビーズでの「シュレッダー事件」も、
中谷さんの見立てでは「完璧に計算された演出」。
現代アートは、作家と鑑賞者の駆け引きが醍醐味なのですね。

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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美