「無発酵が緑茶、半発酵が烏龍茶、完全発酵が紅茶。
紅茶は後から広まった。最初に飲んだ日本人は、大黒屋光太夫。
幕末にロシアに漂流して、エカテリーナ2世に拝謁したとき。
ロシアは紅茶大国。ロシアンティーには、ジャムをどっかり入れる。」
同じ茶葉をそれぞれの国柄や文化に見合ったかたちでいただく。
一つの切り口だからこそ、多様ぶりが見えてきますね。
明治時代の日本は、とても貧乏でした。
それでも富国強兵しなければ、列強に侵略されてしまう。
外貨の獲得は、政府にとって一大事だったのです。
「紅茶輸出すると、外貨が稼げるよということで、
紅茶伝習所が設立された。」と中谷さん。
紅茶伝習所、明治8年に今の熊本県山鹿市に設立されました。
苦戦を強いられた和製紅茶でしたが、技術を革新し、
ついにイギリスやロシアにも輸出するようになりました。
1588年、イギリスとスペインの海戦を契機に、
世界貿易の覇権はイギリスとオランダに移っていきました。
「スペインはゴチゴチのカトリック。商売がやりにくい。
スペインから独立したオランダは、プロテスタントに切り替えた。
商売は悪ではない。祈りの一つと考えた。
アムステルダムには、物資が集まり、造船技術も発達した。
そこから、株式会社や保険会社、そして郵便制度が生まれた。
フェルメールの『手紙を読む女性』は、最先端の文化。」と中谷さん。
オランダの成り立ちを通じて、資本主義を勉強しましょう。
「ビジネスにアートを」といわれるようになりましたが、
アートは、いつの時代も為政者の嗜みだったようです。
「エドワーディアン様式の前はビクトリアン様式。
イギリス家具の様式には、王様の名前がつけられている。
王様が文化に興味がないと、様式として残らない。
上に立つ人間には、美的センスは必要。」と中谷さん。
アートの世界は、ビジネスの世界に通じるのですね。
「偶像廃止なのに、なぜ?」
「免罪符って何? お金で罪滅ぼしできるってどういうこと?」
「十字軍失敗してばかり。文化も向こうのが進んでいるし」
理念と現実の乖離が広がり、矛盾が深まるキリスト教。
そんなとき登場したのがマルチン・ルターです。
「元に戻そうよとルターは提唱した。ひたすら、まじめ。
プロテスタント、つまり抗議はしなかった。」と中谷さん。
宗教改革の本質に迫るトーク、ぜひお聞きください。
戦国時代、茶の湯文化が大いに盛んになりました。
だんだん与える土地がなくなってきたので、
茶器をその代わりとしたという説もあるそうです。
この価値体系を生み出したのが信長、そして利休。
茶人によって、武将たちも茶器に開眼し始めました。
「唐物すごいな、高麗物すごいなと、武将たちは目をつけた。
朝鮮出兵した九州の大名たちが、陶工を連れ帰った。」と中谷さん。
有田焼の生みの親、陶工・李参平もその一人だそうです。
和製紅茶は、その後「日東紅茶」になりました。
イギリスの紅茶といえば、リプトン紅茶。
「ユニオンジャックのあるところにリプトンの紅茶。
そんなときに起こったのがボストン茶会事件。
イギリス東インド会社を救うために制定されたのが茶税法。
これに反発したボストン住民が、茶箱を海に投棄した事件。
これがきっかけとなり、アメリカ独立戦争が始まった。」
お茶をめぐる経済、政治、文化、深いですね。
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