善悪は、自分の価値基準で生まれます。
たしかに、価値軸を確立することは、勉強の目的の一つです。
でも、同時に寛容性を身につけていかなければなりません。
「一神教は、善悪で分ける。神と悪魔、天と地獄という構図。
ギリシア神話は多神教。いろんな神様がいる。
神様は人間的。いいも悪いもない。」と中谷さん。
神話から学べること、それは「寛容性」なのです。
ゼウス、ヘーラー、アテーナー、アポロン、アプロディーテー、
アレース、アルテミス、デーメーテール、ヘーパイストス、
ヘルメス、ポセイドン、ヘスティアー。いわゆる「オリンポス12神」です。
「ややこしくしているのは、ゼウス。恋人愛人だらけの神様。
ギリシア神話は、ゼウスをおさえておけばいい。」と中谷さん。
ちなみにゼウスは、ギリシャ神話における全知全能の最高神。
でもやっていることは、うっかり者の浮気なおじさん(笑)
まずは、ゼウスからギリシア神話に入っていきましょう。
エデンの園の禁断の果実を食べてしまったアダムとイヴ。
最初にイヴに食べることをそそのかしたのが、蛇。
この蛇はアダムの前妻であると「旧約聖書」にあるそうです。
「前妻の名前は、リリース。悪女で、蛇に化けた。
ゴタゴタ感があるから、新約聖書に記述はなくなっている。
聖母マリアは、ヴィーナスから派生した。元々は一つ。」
ギリシア神話とキリスト教の習合が見て取れるのですね。
「天使とキューピッドが混同されるけれど、それは違う。
天使は神の使いとして、人間界に遣わされたエンジェル。
一方、キューピッドは、ヴィーナスの子供。恋の神様。
神様と人間の間にいるのが妖精で、
ニンフ、式神、ティンカーベルなどがいる。」と中谷さん。
私もこのあたりがごっちゃになっていました。
この機会に、きちんと整理しておきたいですね。
神話は、おとぎ話ではありません。
じっさいの歴史の流れをかなり踏まえているからです。
「世界の始まりは原始の神ヌン。そこに創造の神アトムが現れる。
エジプトのアダムとイブがオシリスとイシス。兄弟で夫婦。
イシスは処女懐胎。呪術で子供を授かった。
これがギリシア、ローマに伝播して、マリア様に結びついた。
ヨーロッパがたどる歴史を、エジプトはすでに体験していた。」
世界三大文明の一つ・エジプトの存在感あふれる講義です。
エジプトの死生観は独特。深い示唆が得られます。
「悪いことすると、死者の権利が得られない。
死後の世界には、もう1つのエジプトがあって、
2つの世界を行き来することが、再生するということ。
自分になりたいか。もっといい自分にになりたいか。
死と生まれ変わりに、自己肯定感が表れる。」と中谷さん。
日々成長するよう、全力で生きよう。
「死者の書」の精神は、中谷思想そのものですね。
ギリシア神話やエジプト神話は、多神教の物語。
多神教の神様は「人間」というより「自然」の化身のようです。
「林は、人工的に造林された。その展、森は自然発生的。
鎮守の森はあるけれど、鎮守の林はない。
こうして、この花が生まれた。あれが、あの星になった。
自然とつながっていくのが神話。」と中谷さん。
自然とも共感・共鳴、これが多神教の本質なのですね。
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