ちょっとしたことでびっくりする人は、かっこ悪い。
そう思っている人は少なくないでしょう、とくに男性は。
でも、中谷さんは、こうおっしゃいます。
「驚けるのは、みずみずしい心を持っているあかし。
感性は誰もが持っているが、感受性はそうではない。
一生懸命取り組み、他者の悲しみに共感する。
そんな水やりが、心をみずみずしいものにしてくれる。
わかったふりをするのではなく、勇気を出して驚く。
詩は『驚き』を与えてくれる。詩を読もう。」と中谷さん。
いつまでも、みずみずしい感性を持つ方法、中谷さんから伺いました。
★こんな方にお奨めです♪
□詩の味わい方を体得したい方。
□感動の前に、怒りが出てきてしまう方。
□日に日に干からびてしまっている方。
「詩の舞台」を探訪するのが趣味という中谷さん。
佐藤春夫の犬吠埼、高村光太郎の阿武隈川。
そして、もう一つお気に入りなのが根府川です。
小田原駅からわずか2駅ですが、とてもマイナー。
「水平線を捉えきれない。ひと目で見きれない海。
詩人・茨木のり子の詩『根府川の海』。
根府川
東海道の小駅
赤いカンナの咲いている駅
空襲を逃れて、郷里を目指す少女の詩。」と中谷さん。
教養の月ナカ、今回のテーマは「詩」です。
「感性は誰もが平等に持っている。
それが外に出る人が、感受性を持っているということ。
心に水やりして、芽が出るかどうかは、自分次第。
汗をかいて一生懸命取り組む。涙や悲しみを共感する。
汗と涙で、感受性を磨こう。」と中谷さん。
「感受性」と「感性」、たった一文字違いですが大違い。
感性を感受性に育て上げるには勉強が必要なのですね。
アートを、むりして「理解」する必要はありません。
自然に湧き出てくる「驚き」を大切にしましょう。
「驚きから、怒りになる人と笑いになる人がいる。
『なんで?』は怒り。『なんと!』は喜び。
怒りそうになったら、笑えばいい。」と中谷さん。
「なんで?」になりそうになったら、踏ん張って「なんと!」。
人生を楽しみ、味わうための魔法の言葉ですね。
詩と現代アートの共通点は2つ。そう中谷さんは指摘します。
1つは「説明がない」こと。もう1つは「違和感から始まる」こと。
「答えを待っていると、味わえない。歌は詩。
陽水さんにしても、サザンにしても、いちいち考えないで受け入れている。
解釈の余地が残されているところが、楽しいところ。
「説明がない」「違和感」という宙ぶらりん状態。
これが、アートとの出会いの醍醐味なのですね。
「感受性の豊かな人は、小さなことで驚ける。
おばちゃんは自由。刀剣展で『みんな、いっしょやな』。
これだけは、言っちゃいけない(笑)
驚きを表すには勇気がいる。先入観のまま、いかに驚けるか。
「ピカソはすごい」より「あんなの、俺でも描ける」がピカソの狙い。
驚きのなかに、オリジナリティが生まれてくる。
驚く人だけが、人を驚かせることができる。」と中谷さん。
「わかったふり」が芸術鑑賞の一番の敵なのですね。
「『生活に生きる人』と『人生を生きる人』の2種類の人がいる。
生活に生きる人は、他者評価と『答え』を求めて生きている。
人生に生きる人は、むしろ、他者評価を拒む。
『わかったようなことを言うな』という気概を持っている。
好き嫌いは評価。鑑賞とは『なんだろう』。
詩の『なんだろう』で、人生を生きることができる。
現代アートは体力勝負。」と中谷さん。
体力と精神力をみなぎらせて、詩に体当たりしましょう。
詩は「声に出して読もう」と中谷さん。その真意は?
「高校時代、ひたすらラブレターを書いていた。
書いていたというより、模写していた、詩を。
万年筆で縦書き。書いたら読んで、自分の耳で聴く。
詩とは自分との対話。羞恥心を超えていくのがアート。」
詩は、自分の内面でのとりとめのない対話を表出したもの。
そして声に出して朗唱することで、さらに客体化される。
自分との対話を深められてゆく。
詩を書くことは、自分と対話することなのですね。
**