月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

不今だからこそ味わえる、和歌と俳句。

中谷先生の第1回「国語」講座。

月刊・中谷彰宏160「和歌と俳句」――書かれていないことを、味わおう。。

和歌と俳句。知っているものは、いくつもあるかと思います。
でも、それを味わえているかということになると、どうでしょうか。
春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山
有名な持統天皇の歌です。夏到来の驚きを歌っているとされていますが、
中谷さんは「神様の山に、洗濯物を干していいの?」と問いかけます。
「持統天皇は天智天皇の娘で天武天皇の奥さん。
波乱万丈の人生を送っていて、根性がある。
新古今集は、幻想や妄想をベースにしている。この歌も――」
から始まる中谷さんの謎解きには、とても驚かされました。
なれ親しんだ和歌や俳句の背景に広がる世界と奥行き。
和歌と俳句を味わう教養、中谷さんから教わりました。

★こんな方にお奨めです♪

□和歌を味わえるようになりたい方。
□王朝貴族の恋愛を理解したい方。
□俳句を味わえるようになりたい方。

ゲスト:奈良巧さん(編集者)

【単品】月刊・中谷彰宏160

本編の一部を無料試聴いただけます。

【データ版】月ナカ160 価格:1,700円(税込)

※メールでデータをお送りします。

自動配信ではありませんので、配信に最長1日かかります。

【CD版】月ナカ160 価格:5,000円(税・送料込)

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○「日本の芸術の本質は、和歌。西洋は、詩。」(中谷彰宏)

「日本の芸術の本質は、和歌。西洋は、詩。
中国からの漢詩を元にして、日本に和歌が生まれた。
殿上人と地下人の違いは、和歌がわかるかどうか。」と中谷さん。
春すぎて 夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山
田子の浦ゆ うち出でてみれば真白にそ 富士の高嶺に雪は降りける
人生経験を積んだ今だからこそ、和歌の味わいが深まりますね。

○「万葉集は、ますらおぶり、古今集は、たおやめぶり。」(中谷彰宏)

「万葉集、古今集、新古今和歌集――これが三大和歌集。
万葉集は奈良時代。『ますらおぶり』が歌われた。男らしさがベース。
平安時代の古今集は『たおやめぶり』。女らしさ。」と中谷さん。
「ますらおぶり」は、素朴さ、ひねり無用のストレートさ、
「たおやめぶり」は、繊細さと優美さが身上です。
時代によって、気分がずいぶん違うのですね。
和歌を味わうためには、時代背景を勉強しましょう。

○「愛とは、得た充実感。恋とは、満たされぬ想い。」(中谷彰宏)

「万葉集は『愛』を、古今集は『恋』を歌った。
愛とは、普遍的な感情。得た充足感。片思いでもいい。
恋は満たされていない想い。切ない片思い。」と中谷さん。
なるほど、こういう分類は、はじめて聞きました。
たしかに、人類愛という言葉はあっても、人類恋はありません。
親子愛はあっても、親子恋もありませんね。
愛と恋の違いを踏まえることが、和歌を味わう第一歩なのですね。

○「新古今和歌集は、星飛雄馬の消える魔球。」(中谷彰宏)

「新古今和歌集は、幻想、妄想の和歌。『映え』重視。
『巨人の星』でたとえるなら、万葉集は160キロの剛速球。
古今集は、大リーグボール1号。速いけど、軽い変化球。
見渡せば 花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮
藤原定家の歌は、まさに幻想、妄想の世界。
『なかりけり』というように、まさに、消える魔球。」
絶妙なたとえがあると、鑑賞力がグンと上がりますね。

○「紀貫之は叩き上げ。気が使える人物。」(中谷彰宏)

「古今集」は、醍醐天皇の命によって編まれた勅撰和歌集。
古今集に始まり、後撰集、拾遺集、後拾遺集、金葉集、詞花集
――と534年の間に21もの勅撰集が編纂されました。
古今集の選者といえば紀貫之。下級貴族でした。
「自分の歌を採用して欲しいと、いろんな貴族からクレームが来る。
叩き上げの紀貫之は、気が使える。『パート2で入れますから』
と対応するうちに、パート21まで行ってしまった。」と中谷さん。
いつの時代も、宮仕えはたいへんなものですね。

○「恋愛の25パターンを、歌に詠んだ。」(中谷彰宏)

王朝貴族の「仕事」といえば恋愛。これには25段階あったそうです。
1番め、噂を聞いて好きになる。2番め、垣間見て盛り上がる。
3番め、後ろ姿に募る恋心。4、何も手が付かない。忘れよう。
5、夢で逢いたい。6、恋人がいるらしい。
7、そりゃそうだよ。いないほうがおかしい。ますます高ぶる。
8、どうしたら思いを知ってもらえるだろうか。9、会えた!
――と延々25まで続きます。
これだけ小刻みにすれば、心情に敏感にならざるを得ませんね。

○「子規の『柿食えば――』は、漱石へのアンサリングソング。」(中谷彰宏)

正岡子規と夏目漱石は、東大予備門の同級生。親友同士でした。
鐘つけば銀杏ちるなり建長寺
この漱石の句について、子規は思うところがあったようです。
「「鐘つけば」は説明。因果関係が明確なのは、イケていない。
『柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺』は、漱石へのアンサリングソング。」
ちなみに、ここでいう「鐘」とは東大寺の鐘なのだそうです。
奈良の宿で給仕してくれた16歳の仲居さんを想っての一句とのこと。
「柿食えば」の句は、正岡子規の恋の歌だったのですね。

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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美