月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

別冊・中谷彰宏200「気持ちを、仕草で示そう。」――『夕陽のガンマン』『パリの恋人』

映画は、筋ではない。セリフ、そして世界観。
たびたび中谷さんは、このことを強調してきました。
ところが、今回ついに、さらなる高みが示されました。
「セリフもいらない。言葉での説明もいらない。
説明なしで、キャラクターを一瞬でわからせる。
絵で見せる力。これが映画。」と中谷さん。
セリフですら、映画を観る上では、余剰な情報。
「絵」だけで表現する。「絵」だけで味わい尽くす。
映画とダンスする方法、中谷さんから教わりました。

  


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○「西部劇の主人公は、無口。」(中谷彰宏)

1本目の映画は「夕陽のガンマン」です。 「西部劇は、時代劇。主人公は無口。侍に通じる。 無口だと、言葉による説明ができない。 だから、映像で見せていかなければならない。 言葉なしで、キャラクターを一瞬でわからせる。 絵で見せる力。これこそ映画。」と中谷さん。 マカロニ・ウェスタンの代表的作品をぜひ。

○「西部劇は、歌舞伎。」(中谷彰宏)

懸賞金稼ぎのガンマン・ダグラス。
バーの店の主人に「こいつはいるか?」とひと言。
「知らねえなあ、と上へ目線を送るおやじ。
この展開。西部劇は歌舞伎。」と中谷さん。
ちなみに、本作の声優さんは以下の通り。
クリント・イーストウッドは山田康雄。
リー・ヴァン・クリーフは納谷悟朗。
ジャン・マリア・ヴォロンテは小林清志。
なんと、ルパン、銭形警部、次元大介が揃い踏み。
このあたりにも、歌舞伎感ありますね。

○「言葉ではなく、腕で見せる。」(中谷彰宏)

クリント・イーストウッドとリー・ヴァン・クリーフ。
腕利きの2人はライバル同士。お互いの力量を確認します。
「銃で飛ばされた帽子を、拾おうとするたびに、転がされる。
ようやく拾い上げてかぶると、今度は、上に飛ばされる。
セリフはない。言葉ではなく、腕前で見せつける。
次のシーンでは、もう2人の帽子がカウンターに並んでいる。
ここにも説明はないのが、いかにも映画的。」と中谷さん。
セリフがない場面に、映画の醍醐味が現れるのですね。

○「銃を撃つのもダンス。歩くのもダンス。」(中谷彰宏)

2本目の映画は「パリの恋人」が再登場。
「扉を開けるも、カウンターでの居住まいもダンス。
クリント・イーストウッドが銃を撃つのもダンス。
フレッド・アステアが歩いているのもダンス。
傘とも踊れる。椅子とも、ハンガーとも踊れる。」
ダンスはリズム。ダンスは軽さ。」と中谷さん。
共感とは、ダンス。リズムやバイブレーションなのですね。

○「ファンタジーが、憧れのイメージをつくり上げる。」(中谷彰宏)

「夕陽のガンマン」と「パリの恋人」、まるで違う印象の2本の映画。
でも、そこには、中谷さんの「思い入れ」という共通点がありました。
「ガンに憧れる。西部劇は、一つのファンタジー。
ダンスに憧れる。パリの恋人も、一つのファンタジー。
憧れてまねをした。憧れが、僕のイメージをつくりあげた。
だから観るたびに、憧れを追体験できる。」と中谷さん。
共感が極まった状態、それが「共鳴」なのですね。

○「共感とは、人が感じることを想像できること。」(中谷彰宏)

「パリの恋人」は、オードリー・ヘップバーン主演。
本作のキーワードは「共感」。中谷さんはこうおっしゃいます。
「同情とは、たんに人の考えがわかること。
共感とは、人が感じることを想像できること。」
共感主義を説く哲学者には、それほど魅力を感じなかったジョー。
一方で、初対面のときから、なぜか共鳴カメラマンのディック。
共鳴という魂のいとなみは、奥深いものなのですね。

○「大人は、上手に距離をとる。」(中谷彰宏)

初対面で、いきなりのキス。でも、それから距離は縮まりません。
おたがいに心を寄せ合うようになった教会での撮影。
「また会える?」とオードリー・ヘップバーン扮するジョー。
でも、ディックは「君がモデルになればね」とつれない返事。
「ここで食いついちゃだめ。距離のとりかたが大人。
カジキマグロが食いついて、いったんリールの糸が伸びるイメージ。」
「余裕」ある人生、ディックを通じて生きてみませんか。

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