月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

別冊・中谷彰宏197「いい映画は、素敵な所へ連れて行ってくれる。」――『靴職人と魔法のミシン』『シェイプオブウォーター』

伏線回収は、映画鑑賞の快感の最たるものです。
でも、伏線に気づけるかどうかは、観る人の力量次第。
主人公・イライザは朝からバスタブ。その訳は?
首筋の3本の傷。その意味するものは?
アイマスクして眠る。その理由は?
「イライザ」という名前の背景にあるものは?
「バスの窓に伝う水滴2つが、1つになっていく。
ゆで卵をあげているシーンが、エッチ。」と中谷さん。
一般人にとって何気ないシーンに、食い入る中谷さん。
その伏線発見力は、量稽古のたまものなのですね。

  


価格やご注文方法などをご案内しています。

○「受賞しないけど、地位が高いコメディ映画。」(中谷彰宏)

中谷さんお気に入り俳優の一人、アダム・サンドラー。
別ナカ180で紹介した「もしも昨日が選べたら」にも主演。
アダム・サンドラーの、今回の役どころは靴職人マックス。
ニューヨークの下町で、しがない靴修理店を営む4代目店主。
お父さんは謎の失踪。お母さんはいくらかぼんやりし始めた。
横柄なお客にしいたげられ、暮らしぶりもよくない。
そんなマックスの人生を変えたのは、一台のミシンでした。

○「男女、年齢、人種、嗜好。多様性をが表現されている。」(中谷彰宏)

ミシンが故障して、倉庫で見つけた先祖伝来のミシン。
そのミシンで修理した靴を履くと、持ち主に変身できる。
最初は度肝を抜かれたマックスですが、しだいに――
「女性に変身したと思ったら、ニューハーフだった。
変身して食い逃げしたり、高級車を盗んだり、
イケメンになりすまし、美女の家に入り込んだり。
男女、年齢、人種、嗜好。多様性をが表現されている。」
靴を通じた多様性、わかりやすい描写が見事です。

○「いい靴は、素敵な場所に連れて行ってくれる。」(中谷彰宏)

魔法のミシンは、マックスの人生を変えました。
「負け組」だった彼は、新しい世界を切り開いたのです。
「いい靴を履くと、ちゃんとしたくなる。
立ち振舞がよくなるし、前向きに行動的になる。
いい靴は、素敵な場所に連れて行ってくれる。」と中谷さん。
いい靴は、魔法をかけてくれるのですね。

○「従来のハリウッド映画ではない。ヨーロッパ的。」(中谷彰宏)

「シェイプ・オブ・ウォーター」は、
2017年、ヴェネツィア国際映画祭ので金獅子賞を受賞。
ギレルモ・デル・トロ監督は、アカデミー監督賞を受賞。
一方、暴力描写や自慰行為など、刺激の強い描写があるため、
日本での公開では様々な制約が。そんな話題作です。
「従来のハリウッド映画ではない。ヨーロッパ的。」と中谷さん。
痛快さはありませんが、余韻に浸れる名作です。

○「孤独な人たちが、どう繋がるかがテーマ。」(中谷彰宏)

主人公・イライザは、発話障害の中年女性。
アパートでひとり暮らし。清掃員の仕事に就いています。
「冒頭、起きてお風呂に入ったイライザが、いきなりオナニー。
音楽はロマンチック。え、どういう映画?
売れないゲイの老画家。陽気だけど愚痴っぽい仕事仲間。
威張り散らしているが、家では孤独を感じる嫌な上司。
「孤独な人たちが、どう繋がるかがテーマ。」と中谷さん。
これからの社会を生きる知恵が見い出せそうです。

○「ウェイターの言動は、多様性に対するメッセージ。」(中谷彰宏)

老画家の冷蔵庫に敷き詰められた緑色のパイ。
美味しくもないパイを買うのは、なぜでしょうか。
ある日、店のウェイターに、気配を漂わせてしまったら…
「レストランに入ってきた黒人カップルを追っ払う。
このウェイターは、多様性のない人の典型。」と中谷さん。
「靴職人と魔法のミシン」でも、多様性はテーマの一つ。
「多様性」は、現代映画を観る上で欠かせない視点ですね。

○「ゆで卵をあげているシーンが、エッチ。」

これほど、中谷さんの観察力に脱帽した映画はありません。
イライザは朝からバスタブ。その理由は?
首筋の3本の傷の意味するものは?
アイマスクして寝ていた訳は?
「イライザ」という名前の背景にあるものは?
「バスの窓に伝う水滴2つが、1つになっていく。
ゆで卵をあげているシーンが、エッチ。」と中谷さん。
このシーンを、あなたはどう読み解きますか?

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