月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

別冊・中谷彰宏192「話の続きは、自分で作ろう。」――『ニューヨーク、アイラブユー』

中谷さんの映画鑑賞法は、3点にまとめられそうです。
1.何度も観て、伏線を回収しよう。
2.ストーリーよりも、世界観に浸ろう。
3.理解を助ける教養を身につけよう。
いずれも映画講義を受ける前には、なかった視点です。
「ストーリーが面白いと、それで満足してしまう。
映画情報ではない、僕は美学や哲学を伝えたい。」
今回は「ニューヨーク、アイラブユー」をご紹介。
「映画の観方を勉強できる作品。」と中谷さん。
中谷流「映画鑑賞法」に磨きをかけましょう。

  


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○「映画解説は、俳句。脚色している。」(中谷彰宏)

中谷さんの解説を聴いてから、その映画を観ると、 あれ??――と思うことが、たびたびあります(笑) 「僕の映画解説って「脚色」だよね。これは俳句。 脚色して、勝手なストーリーになっている。 映画を原作にして、リメイクしている。 だから「ないシーン」がある。」と中谷さん。 観えない世界を観る。これが映画の醍醐味なのですね。

○「省略に、日本人の美意識が表れる。」(中谷彰宏)

「フランス映画は、省略がおしゃれ。
これは日本人の美意識に共通するところ。」と中谷さん。
「ニューヨーク、アイラブユー」はフランス・アメリカ合作映画。
フランス映画ならではの「省略」が随所に施されています。
ちなみに、この日の収録の直前、「あっ、あのシーンは!」と
中谷さん、慌てて伏線を回収してきたそうです。
何度も観ることで、気づきを楽しめるのですね。

○「情報ではなく、美学、哲学を伝えたい。」(中谷彰宏)

中谷さんの映画鑑賞「哲学」をまとめてみると、
・何度も観て、伏線を回収しよう。
・ストーリーよりも、世界観に浸ろう。
・理解を助ける教養を身につけよう。
「筋を観て、観たつもりになってはいけない。
映画情報ではない、僕は美学や哲学を伝えたい。」
映画鑑賞とは、自分の価値軸の確立行動なのですね。

○「解釈とは、創作。体験から出てくる。」(中谷彰宏)

「映画の解釈とは、創作。ともすれば妄想。
すべて自分の体験の出汁から出てくる。
俳句でも、一瞬でわかるのは説明過剰のよくない句。
(あれって、こういうことじゃないか)と
あとで、じわじわと味が出てくるのがいい映画。
「ニューヨーク、アイラブユー」に登場する多様な人物。
自分がどんな人生を歩んできたかで、
解釈の仕方が変わってしまう「俳句」な作品です。

○「ワンカット、ワンカットで勝負している。早送りできない。」(中谷彰宏)

コスパならぬタイパという言葉が出てきました。
タイパとは、タイム・パフォーマンス。
「あらすじ勝負の映画は、早送りでもいいかもしれない。
でも、この映画は無理。
ワンカット、ワンカットで勝負している。」と中谷さん。
「ニューヨーク、アイラブユー」を早見することは、
句集を速読するようなものなのですね。

○「無限のバリエーションは、観た人が決める。」(中谷彰宏)

レストランの裏口、タバコを吸う2人の男女。
火を借りた男「今、ちょっとセクシーな瞬間だったね」
「そう? 私、人妻なの」とセリフが跳躍。
必死に口説く男。まんざらでもなさそうに聞く女。
「どう、これから?」「私、娼婦なの。電話して」
ビジネスカードを渡して「じゃあね」と立ち去る女。
「これで終わり。これを、どう自分で物語にするか。
無限のバリエーションは、観た人が決める。」と中谷さん。
この宙ぶらりんを、あなたはどう「着地」させますか?

○「映画は、現代アート。問いを投げかける。」(中谷彰宏)

不条理、不可解な物語に戸惑う方も少なくないことでしょう。
でも「不条理」と感じるのは、映画の観方を知らないからかも。
「映画は、現代アート。映画とは、問い。
「なんだそれ?」が大事。そして、正解もない。
雰囲気、世界観、余韻を味わおう。
映画の観方を勉強できる作品。」と中谷さん。
「ニューヨーク、アイラブユー」、観るしかありませんね。

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