月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

別冊・中谷彰宏190「ダンドリ通り行かないことが、楽しい。」――『少女椿』『史上最悪の兄弟』

中谷さんが「俳優・中谷彰宏」を語ってくださいました。
撮影の裏話を聞いていると、どれもアクシデントの連続。
性愛の末、目玉まで舐めてしまう少年愛に耽る劇団長。
雑踏のなか、周囲にスタッフがいないなかでの「痴漢」。
飛び散るガラスの破片と血糊。撃たれたヤクザの親分。
「段取り通りのときは、クオリティがいまいち。
追い詰められたから、あの熱気が出た。」と中谷さん。
舞台裏から観る、中谷映画の鑑賞法をぜひ。

  


価格やご注文方法などをご案内しています。

○「どう舐めるのか。事前説明はなかった。」(中谷彰宏)

1本目は「少女椿」。中谷さんは見世物小屋の団長役。
この作品は、中谷さんの「舐めた」シーンで話題を呼びました。
「団長は少年愛。あのベッドシーンは、事前説明なし。
タケルくん大丈夫かな、と。舐めました。」と中谷さん。
「中谷さん! 予告編いただきました!」とプロデューサー。
中谷さんの体当たり演技をぜひご覧ください。

○「映画は筋ではない。イメージの集積。世界観。」(中谷彰宏)

「少女椿」の原作者は、丸尾末広。
知る人ぞ知る、異形のイラストレーターです。
ウィキペディアによれば、30もの職業を転々としたあと、
官能劇画誌でデビューし、その後「漫画エロス」や「ガロ」で活躍。
「映画は筋ではない。イメージの集積。世界観。」と中谷さん。
江戸川乱歩、つげ義春、楳図かずお――
こうした先達たちの継承者、丸尾末広の世界に浸りませんか。

○「追い詰められたから、あの熱気が出た。」(中谷彰宏)

「難波金融詐欺 史上最悪の兄弟」に出演した中谷さん。
大阪の「ナンパ橋」でスカートめくりをするという場面。
「周りにはスタッフもエキストラもいないロングショット。
警察が来たら逃げてください。本物が来たら逃げてください。
おまけに、仕込みの女の子が誰なのか、わからない。
追い詰められたから、あの熱気が出た。」と中谷さん。
こんな修羅場体験が、中谷哲学を生み出しているのですね。

○「優しい男が、怖い。」(中谷彰宏)

続いては、「背徳の女神シリーズ エクスタシー」。
「僕は、SMとレイプが一番きらい。
ほっぺたを叩いて、そのあとかわいそうになって撫でたら、
「OK! 優しいところが怖い!」と監督。
引きちぎるのは抵抗があるので、ボタンをゆっくり外していたら、
「OK! 引きちぎるより、ずっと怖い!」。
行動にタメがある。その余裕が怖さなのかもしれませんね。

○「猟奇的とは、優しすぎること。」(中谷彰宏)

「縁切り闇稼業」での中谷さんの役どころは、
妻に毒を盛り、ゆっくり殺していく「猟奇的な男」。
「そのままの髪型で行ったら「猟奇的でいい!」と監督。
頭を優しく支えながら寝かしつけたら「猟奇的でいい!」
猟奇的とは、優しすぎること。」と中谷さん。
深情けという言葉が、たいてい愛憎劇で使われるように、
愛が深いぶん、猟奇性が高まるのでしょうね。

○「勝新太郎さんは、完璧なカットは使わない。」(中谷彰宏)

出演映画の裏話を聞いていると、どれもアクシデントの連続。
思い通りに行くことのほうが、めずらしいくらいです。
「段取り通りのときは、クオリティがいまいち。
劇団四季は、毎日キャストを入れ替える。
予期せぬ展開が緊張感を生み、それが磨きをかける。
勝新太郎さんは、完璧なカットは使わなかった。」と中谷さん。
段取り通りに行かないときにチャンスあり、ですね。

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