1本目は「少女椿」。中谷さんは見世物小屋の団長役。
この作品は、中谷さんの「舐めた」シーンで話題を呼びました。
「団長は少年愛。あのベッドシーンは、事前説明なし。
タケルくん大丈夫かな、と。舐めました。」と中谷さん。
「中谷さん! 予告編いただきました!」とプロデューサー。
中谷さんの体当たり演技をぜひご覧ください。
「少女椿」の原作者は、丸尾末広。
知る人ぞ知る、異形のイラストレーターです。
ウィキペディアによれば、30もの職業を転々としたあと、
官能劇画誌でデビューし、その後「漫画エロス」や「ガロ」で活躍。
「映画は筋ではない。イメージの集積。世界観。」と中谷さん。
江戸川乱歩、つげ義春、楳図かずお――
こうした先達たちの継承者、丸尾末広の世界に浸りませんか。
「難波金融詐欺 史上最悪の兄弟」に出演した中谷さん。
大阪の「ナンパ橋」でスカートめくりをするという場面。
「周りにはスタッフもエキストラもいないロングショット。
警察が来たら逃げてください。本物が来たら逃げてください。
おまけに、仕込みの女の子が誰なのか、わからない。
追い詰められたから、あの熱気が出た。」と中谷さん。
こんな修羅場体験が、中谷哲学を生み出しているのですね。
続いては、「背徳の女神シリーズ エクスタシー」。
「僕は、SMとレイプが一番きらい。
ほっぺたを叩いて、そのあとかわいそうになって撫でたら、
「OK! 優しいところが怖い!」と監督。
引きちぎるのは抵抗があるので、ボタンをゆっくり外していたら、
「OK! 引きちぎるより、ずっと怖い!」。
行動にタメがある。その余裕が怖さなのかもしれませんね。
「縁切り闇稼業」での中谷さんの役どころは、
妻に毒を盛り、ゆっくり殺していく「猟奇的な男」。
「そのままの髪型で行ったら「猟奇的でいい!」と監督。
頭を優しく支えながら寝かしつけたら「猟奇的でいい!」
猟奇的とは、優しすぎること。」と中谷さん。
深情けという言葉が、たいてい愛憎劇で使われるように、
愛が深いぶん、猟奇性が高まるのでしょうね。
出演映画の裏話を聞いていると、どれもアクシデントの連続。
思い通りに行くことのほうが、めずらしいくらいです。
「段取り通りのときは、クオリティがいまいち。
劇団四季は、毎日キャストを入れ替える。
予期せぬ展開が緊張感を生み、それが磨きをかける。
勝新太郎さんは、完璧なカットは使わなかった。」と中谷さん。
段取り通りに行かないときにチャンスあり、ですね。
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