「抱きたいカンケイ」の主演は、ナタリー・ポートマン。
ナタリー扮する主人公は、後腐れない体のカンケイを、
一方のパートナーは、真剣な純愛カンケイを望んでいます。
ふたりの「交渉」は「体」から次第に「言葉」に。
カンケイを深める「言葉」を味わえる名作です。
「街の灯」は、言わずと知れたチャップリンの代表作。
あるホームレスの男が、盲目の花売り少女に出会います。
彼女は、チャップリンをお金持ちの紳士であると勘違い。
チャップリンが用立てたお金で、目の手術が成功した少女。
「あの紳士はいったい誰?」と思っていた、そんなとき――
セリフの味わい方を教えてくれた中谷さん、今回は、
サイレント映画の観方を教えて下さいました。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
収録にあたって、中谷さんは大量のメモを準備してきます。
整った手書きレジュメは、見惚れてしまうほどです。
「レジュメで用意した30個のネタで、使うのはいくつもない。
リアクションが薄いと、20も使ってしまうことになる。
芸が練れてくると、脱線や雑談がうまくなる。
サイドストーリーとフラッシュアイディアが一番強い。」
「別ナカ」の聴きどころは、映画のサイドストーリーと
中谷さんのフラッシュアイディアなのです。
「抱きたいカンケイ」は、ナタリー・ポートマン主演のラブコメディ。
エマとアダムはいわゆるセックスフレンド関係。
それは、エマが望んだもので、アダムは真剣に恋愛を求めています。
「ナタリー・ポートマンには、オードリー入っている。」と中谷さん。
たしかに、チャーミングで行動的なオードリーを彷彿とさせます。
「おしゃれ泥棒」「マイ・フェア・レディ」「ローマの休日」、
これまでご紹介したオードリー作品とあわせて観たいですね。
2本目の映画は「街の灯」。チャールズ・チャップリン映画です。
「原題は、シティライツ。1931年制作のサイレント映画。
サイレントは、情報量が多い。観る人の力量が問われる。
チャップリン映画は、貧富や強弱が描かれる。
シルクハットにスリーピース、そしてステッキ。
だけど、ホームレス。これがチャップリン。」と中谷さん。
自殺しようとしていた富豪を助けたチャップリン。
命の恩人として歓待されて、酒を酌み交わすことになりましたが――
いつの頃からでしょうか、すっかり当たり前になったテロップ。
調べてみると、1990年代半ばから定着したとのことです。
「野球を観るとき、テレビだと油断する。
ラジオだと、そうならない。脳内イメージも鍛えられる。
テロップが増えると、観る力が弱くなる。」と中谷さん。
テレビは、ラジオの発展型ではないように、
サイレントはトーキーとは別物として観るのがいいようですね。
「お花を売っている目が不自由な少女。そこへ高級リムジン。
ドアが開いたタイミングに、車内を通り過ぎて、
少女の落としたお花を拾ってあげるチャップリン。
走り去ったリムジン。金持ちと勘違いされて立ち去る。
このたった3分のシーンに1年以上かけた。」と中谷さん。
ところが、「街の灯」のあらすじを調べてみると――
中谷さんのお話になった筋とは、違うような・・・
この「ないシーン」こそ、中谷さんの映画評の醍醐味ですね(笑)
ネタバレになってしまいますが――
盲目の少女に、手術費用を用立てたチャップリン。
ある日、ひょんなことから、その存在を知ることに。
「『You?』は、世界一短いアイラブユー。
純愛。ワンワードだけが感動的。
センチメンタルな音楽で癒やされる。」と中谷さん。
「街の灯」を観て、私もチャップリン映画に魅了されました。
「ステッキは日本製。マネジャーの高野虎市をはじめ、
自宅スタッフは全員日本人。4度も日本に来ていて、
515事件に、あやうく巻き込まれそうになった。」と中谷さん。
調べてみると、和風ステーキやてんぷらも好きだったようです。
黒澤明、手塚治虫、三谷幸喜、萩本欣一、太田光、そしてドリフ。
日本の映画や喜劇に大きな影響を与えたチャップリン。
この機会に、しっかり観ておきたいですね。
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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美