映画で学べる最たるものは、やはり「会話」。
ふたりの気持ちを盛り上げる、当意即妙のやりとり。
緊迫したムードを解きほぐす、ユーモアとジョーク。
敵の油断を解き、深く入り込む、おとぼけと機転。
「一つの言葉から、どれだけイメージを広げられるか。
それは受け手の力。味わえるかは、勉強と体験次第。
ふつうの会話が一番むずかしい。」と中谷さん。
せっかく観るなら、会話も暗記したいですね。
ふところ深く入り込む会話術、中谷さんから教わりました。
★こんな方にお奨めです♪
□相手のふところ深く入り込みたい方。
□まだ火遊びに未練のある方。
□スパイ映画を堪能したい方。
家族をこよなく愛する43歳の建築家。演じるのは、キアヌ・リーブス。
妻のカレンは芸術家。子供は可愛い盛り。幸せ絶頂の家族です。
「こういう冒頭は、よくないことが起こる伏線。」と中谷さん。
妻子がキャンプに行くのを見送ってから、仕事に取り掛かるエヴァン。
好きなレコードをかけながら、仕事に没頭していると、
嵐の仲、ノックの音が――
ドアを開けると、ずぶ濡れの美女が2人。
最初は控えめだった2人ですが、しだいに踏み込んできました。
「ひとりで仕事ですか、かわいそうに。私が慰めてあげる」
「奥さん一筋。一夫一婦制なんて人間だけよ」
必死にあらがうエヴァンですが、2人は容赦ありません。
「セリフの力。言葉の力。超エッチと知性の両極で揺さぶる。
セクシーだけじゃない。僕はこういうのが、好き。」と中谷さん。
あえなく陥落したエヴァン。そこから破滅へと一直線――
映画「ノック・ノック」、後味の悪い作品です(笑)
「007」といえば、シリーズ全25作を誇る、歴史的スパイ映画。
でも、その始まりは「B級映画」だったというから驚きです。
「B級だから、なんでもできた。B級だから、実験できた。
たとえば音楽。当時28歳のジョン・バリーは4日で書き上げた。
モンティ・ノーマンによる有名なリフは、元々、インド音楽。
ショーン・コネリーも急ごしらえでジェームス・ボンドに。」
予算や時間の制約があるB級だからこそ、知恵を絞る。
中谷さんのB級愛は、創意工夫愛だったのですね。
私は1作しか観ていないので、まったく知りませんでした。
「ボンドガールは『トラックドライバーが目を釘付けにされる女性』。
エキゾチックで、体の魅力で選ばれている。
だから、イギリス映画に出演するには、発音がおかしい。
モニカ・ヴァンダジルはドイツ生まれのユダヤ人。
4歳でナチスからイギリスに逃れて、必死に英語を学んだ。」
日本人初のボンドガール・浜美枝さんもモニカの吹き替えとのこと。
もう一度「007 美しき獲物たち」を観てみようと思いました。
「ナチスの影。いきなり鳴りはじめる銅鑼の音。
冒頭説明なしのストーリー。これは『007』と同じ構造。
『インディー・ジョーンズ』は、スピルバーグ版007。」
主人公はハリソン・フォード、父親はショーン・コネリー。
インディー・ジョーンズは、ジェームス・ボンドの息子なんだね。」
「B級」でスタートした「007」も、ついにスピルバーグ作品に。
映画の魅力は、制作サイドの物語を知ることで何倍にもなりますね。
スピルバーグ監督のスパイ映画「ブリッジ・オブ・スパイ」。
冒頭、初老の冴えないおじさんが自分の肖像画を描いています。
「鏡は虚像。スパイの象徴。画家、仕立て屋は、スパイの仮の職業。
しょぼくれた爺さんは、ジェームス・ボンドとはかけ離れている。
踏み込まれてパンツ一枚。逆に、それがリアルなんだよね。」
スパイの弁護人をつとめるのが、トム・ハンクス扮するドノヴァン。
東西冷戦のさなか、実際にあった物語を下敷きにした映画です。
ここでいう「ブリッジ」とは、ドイツのグリーニッケ橋。
ここで行われたのが、米ソのスパイ交換です。
喜色満面に渡ってくる捕虜のアメリカ人パイロット。
一方、ソ連人スパイは表情も固く、なかなか歩き出そうとしません。
渡り終えると、彼は後部座席に乗せられて行きました。
これでよかったのだろうか。ドノヴァンの心中は揺れ動きます。
「ブリッジ・オブ・スパイは、007のリアル版。」と中谷さん。
「007」から派生した2つの映画、ぜひ、ご堪能くださいね。
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