○「コメディ映画を観るためには、教養が必要。」(中谷彰宏)
今回ご紹介の映画、1本目は『少林サッカー』。
中谷さんが「天才監督」と絶賛するチャウ・シンチー監督の作品です。
「回想から入るのが、香港映画の基本パターン。
コメディ映画を観るためには、パターンを知っていることが大事。
さらに『少林サッカー』は、パターンをひっくり返している。
これがすごい。」と中谷さん。
コメディ映画を味わうための「教養」を「少林サッカー」で、ぜひ。
○「少年マンガは、失敗の繰り返し。」(中谷彰宏)
以前ご紹介した『シンデレラ』。そして今回の『少林サッカー』。
前者は少女マンガ的、後者は少年マンガ的です。
「少女マンガは、一夜で変身する。少年マンガは失敗の繰り返し。」
鋼鉄の脚、鉄の頭、鎧の肌、魔の手、空渡り。
一芸あっても、しょせんサッカー未経験者の寄せ集めチーム。
お先真っ暗状態から、少林拳を駆使しながら勝ち進んでゆく。
底辺をさまよっていた男たちが開眼し、成長してゆく物語です。
○「続編映画のネタを、見逃さないようにしよう。」(中谷彰宏)
チャウ・シンチー監督のインタビューに次のようなものがあります。
「『キャプテン翼』にインスピレーションを得た。
サッカーとカンフーを組み合わせるアイデアはずっと温めていた。
しかし、それはマンガでのみ可能な表現で、
今日のようにCG技術が発達するまで待たなければならなかった」
そんな「少林サッカー」の続編が「カンフーハッスル」。
「エンディングに、『カンフーハッスル』の伏線がある。」と中谷さん。
2005年度アメリカ公開の外国映画で最大ヒット作だそうですよ。
○「ベッドで読書。本は、ヒッチコック。」(中谷彰宏)
2本目の映画はオードリー・ヘップバーン主演の『おしゃれ泥棒』。
「泥棒」が忍び込んでくる夜、ニコルは自室で本を読んでいました。
「オードリーがベッドで読書。これだけでも観る価値がある。
本はヒッチコック。どんな本を読んでいるかが大事。
このシーンだけでいい。へなちょこな筋はいらない。」と中谷さん。
こんな小さなところまで見逃されない。中谷さん、すごすぎます。
中谷さん大絶賛の読書シーン、観ないわけにはいきませんね。
○「セリフに、余裕が現れる。セリフを味わおう。」(中谷彰宏)
誰もいないはずなのに、物音が。ニコルは、おそるおそる階下へ。
そこには、タキシードを着た、おしゃれな泥棒(chic burglar)が。
銃を構えるニコルに、泥棒は「あのう、撃鉄が落ちていませんけど」。
慌てるニコル。ついに銃が暴発して、泥棒をかすめました。
それを見て、撃ったニコルのほうが気を失ってしまいます。
傷口をさすりながら、「撃たれたの、僕なんですけど」と苦笑い。
「これくらいの余裕がほしいよね。」と中谷さん。
余裕――中谷さんの美意識が凝縮されたシーンですね。
○「自分の人生を、映画にしよう。」(中谷彰宏)
「僕の原点は、『おしゃれ泥棒』。
これを、思春期に観てしまったのは、不幸なことだった。
100人中99人はドン引き。」と中谷さんは自嘲しますが、
「僕は、人生を映画という作品だと思っている。
人生を、自分の映画作品だと思えるか。
エピソードを磨き上げて、彩りを加え、味わいあるものにする。」
「おしゃれ」という価値軸は、この作品で確立したのですね。
○「共犯関係が、冒険になる。」(中谷彰宏)
階段の下の窮屈な掃除道具箱。ここ身を潜める2人。
「苦痛の場所が、なつかしい場所、思い出の場所になる。
ここは、僕の好きなシーン。共犯関係が、冒険になる。
入ってはいけない所に、2人で入っていく。一緒ならできる。
これがロマンチック。」と中谷さん。
結婚では得られない。「共犯関係」が恋愛の本質。
「共犯関係」の思い出は、一生の宝物ですね。
**