男性にとって、意味不明なのがフランス映画。
「え、なんでここで終わるの?」「え、こんな不条理あり?」
そんな男性の声を尻目に、女性はうっとり、じんわり。
「フランス映画は、ポエム。たとえるなら、お線香。
実体は、香りだけ。お線香でも火でもない。
香りを味わうのが、フランス映画。」と中谷さん。
今回ご紹介するのは「ペンギン・ハイウェイ」「髪結いの亭主」
「仕立て屋の恋」「タンゴ」「イヴォンヌの香り」の5作。
いずれも、映画ならではの芳香香りを楽しませてくれる名作です。
★こんな方にお奨めです♪
□理想の父親になりたい方。
□女心の謎を解き明かしたい方。
□フランス映画の味わい方がわからない方。
「ペンギン・ハイウェイ」は2018年公開のアニメーション作品。
主人公のアオヤマくんは、小学4年生の「研究者」です。
「他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、
昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことだ。
一日一日、ぼくは世界について学んで、昨日の自分よりえらくなる」
「アオヤマくん、自分の世界を持っているよね。」と中谷さん。
中谷さんの小学生時代も、こんな感じだったのでしょうね。
「お父さん」の声を担当するのは、西島秀俊さん。
アオヤマくんにとっては、師匠と言ってもいい存在です。
「僕は多忙なのだ」と歯磨きを怠るアオヤマくんに、
「たしかに君は多忙だ。でも、多忙だからと歯磨きをしない人間と、
多忙でも歯を磨く人間では、どちらがスマートかな」とお父さん。
「命令はおしゃれじゃない。選択肢を与えよう。」と中谷さん。
上司として、父親として、「お父さん」から学ぶこと大です。
アオヤマくんが密かに思いを寄せるのが「お姉さん」。
蒼井優さんが、声を担当しています。
お姉さんは、アオヤマくんにとって、「不思議で面白い」存在。
「『好き』を、どう言い換えるかが恋愛映画。
『不思議で面白い』は、最高の『好き』の表現。
『不思議で面白い』ものに出会えるのが少年。」と中谷さん。
「お姉さん」は、男性にとって、いつまでも研究対象なのですね。
「世界の果ては、どうなっているんだろう」とアオヤマくん。
それに対して、お父さんは、こう答えます。
「端と端がつながっているかもしれないよ。考えに行き詰まったら、
不思議に思っていることを1枚の紙にメモするといい。
発見したことを、またメモにする。それを何度も眺めて、
頭の中で、メモが自由に飛び回っているくらい眺める。
そして考えることをやめる。よく食べて、よく眠る。
すると、ばらばらだったものが、突然つながる瞬間がやってくる」
「エウレカ」をここまで具体的に解くお父さん、すごすぎます。
1990年のフランス映画「髪結いの亭主」。
美貌の髪結いとその亭主。幸せそのものの二人です。
雷雨の夕暮れ、買い物に出ると外出。そのまま、女は身投げ。
夫は「もう帰ります」と客を受け流し、踊りだす。そしてfin。
「男は『なんじゃ、これ??』だよね。でも、女性は違う。
この幸せを壊したくない。幸せの絶頂で封じ込めたい。
考える余地を残すのがフランス映画。自分の頭で考えよう。」
男女の感性の違いを味わうのも、フランス映画の魅力ですね。
こんにち、不倫は「重罪」としてバッシングを受けます。
でもフランスでは、事情は違うようです。
「『あなたは奥さんを愛していましたか?』と裁判官。
『愛しています』と言えば、それで無罪。それがフランスのお国柄。
映画『タンゴ』は、そんな痛快劇。」と中谷さん。
恋愛に厳格になりすぎているきらいのある現代日本。
フランス映画で解きほぐしてもいいかもしれませんね。
フランス映画では、「fin」で置き去りにされがちです。
とくに、男性には、その傾向が強いかもしれません。
「フランス映画は、ポエム。たとえるなら、お線香。
実体は、香りだけ。お線香でも火でもない。
香りを味わうのが、フランス映画。
『イヴォンヌの香り』も、ストーリーはまったく興味がない。
きれいなベッドシーンを味わえれば、それでいい。」と中谷さん。
フランス映画の「香り」を味わい尽くしましょう。
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