月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

「普通」とは「居場所」のある日常。

映画「この世界の片隅に」鑑賞法。

別冊・中谷彰宏160「この世界の片隅に」――絶望の中の幸せに気づこう。

「この話はね、ちょっとたいへんなんですよ。やられましたねえ。」
中谷さんがご紹介するのは、映画「この世界の片隅に」。
わたしも前もって観ましたが、とても感動しました。
でも、その「感動」も、中谷さんのお話を伺ってしまうと、
ひじょうに浅いものだったのだと思い知らされました。
「気に入った映画は、原作を読む。そして何回も観る。」と中谷さん。
わたしも2回めの鑑賞を前に、まずは、原作を読んでみました。
あの場面は、こういうことだったのか――そんな発見の連続。
映画「この世界の片隅に」の味わい方、中谷さんから教わりました。

★こんな方にお奨めです♪

□映画「この世界の片隅に」をご覧になった方。
□映画「この世界の片隅に」を観たいと思った方。
□絶望の中の純愛を味わいたい方。

ゲスト:奈良巧さん(編集者)

【単品】別冊・中谷彰宏160

本編の一部を無料試聴いただけます。

【データ版】別ナカ160 価格:1,700円(税込)

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○「冒頭のシーンを、じっくり観よう。」(中谷彰宏)

中谷さんの映画指南で再三言われるのが、冒頭のシーンの大切さ。
「The NET 網に囚われた男」でも、「テキサスの五人の仲間」でも、
タイトルバックや冒頭のシーンに、物語を味わう鍵がありました。
「冒頭のシーンを、すごく観る。ここで、じっくり観るか見極める。」
飲み物の支度をしたりと、冒頭は流し見することが多かったので反省…
始まりから集中することが、映画に対する礼儀なのですね。

○「伏線を、味わおう。」(中谷彰宏)

10銭のチョコレートか、それとも5銭のキャラメルか。
迷う主人公のすず。このシーンも大事な伏線でした。
広島の街。産業奨励館の堂々たる建築。このシーンも伏線。
「片淵監督は、めちゃくちゃ調べている人。
いろいろなところに、伏線を仕込んでいる。」と中谷さん。
中谷さんの映画鑑賞法の一つに「何度も観る」がありますが、
こんな「伏線」を味わうためなのですね。

○「悪をつくらないのが、やさしさ。」(中谷彰宏)

誹謗中傷、バッシング、批判と炎上……
「悪」をつくることよって、自分の正しさを確認する。
そんな人が増えてきているような気がします。
「悪をつくらないのが、やさしさ。」と中谷さん。
自分を誘拐した「人さらい」にすら情けをかける少年。
彼の「やさしさ」が、この物語の基調になっています。
「悪」は、その人の心のありかた次第なのですね。

○「初夜の挨拶は、きまり文句。説明はない。」(中谷彰宏)

北條家に嫁いだすず。周作さんとの祝言を終えて――
「傘持ってきたかの?」「はい」
「さしてもええかの?」「はい」
このやりとりは、初夜の決り文句なのだそうです。
「本当に持ってきた傘で吊るし柿をとって、二人で食べる。
説明はない。こういうシーンに、ホッとする。」と中谷さん。
「説明」がないほうが、情感は深まるのですね。

○「明るいシーンが、逆に切なさを出す。」(中谷彰宏)

「戦争をあつかった映画なのに、明るいシーンが多い。
だから、逆に、切なさがにじみ出る。」と中谷さん。
「うちは、よう、ぼうっとした子じゃあ言われとって」と主人公のすず。
切符売り切れで、電車に乗れずに舞い戻るすず。
貴重な砂糖を誤って、水瓶に落としてうろたえるすず。
呉港をスケッチしていたら、憲兵から取り調べを受けるすず。
彼女をめぐるユーモアが「戦争」の本質をあぶり出しています。

○「結婚してから、恋愛が始まる。」(中谷彰宏)

「うちは大人になるらしい」18歳で請われるまま、お見合いしたすず。
「困ったね~。嫌なら断わりゃええ言われても、
嫌かどうかも分からん人じゃったね~」と、よくわからないまま結婚。
最初は、なれない土地で、ハゲができるほどの気苦労を重ねたすず。
でも、「しみじみニヤニヤしとるんじゃ!」と幸せを実感するように。
「結婚してから、恋愛が始まる。」と中谷さん。
周作「すずさん、あんたを選んだんは、たぶんわしにとって最良の選択じゃ」
すず「周作さん、ありがとう。この世界の片隅に、うちを見つけてくれて。
ほんでも離れんで、ずっとそばにおって下さい」
結婚は、ゴールインではなく、スタートラインにつくことだったのですね。

○「『普通』とは『居場所』のある日常。」(中谷彰宏)

水原「お前だけは、最後までこの世界で普通で、まともでおってくれ」
リン「誰でも、この世界でそうそう居場所はのうなりゃせんのよ」
径子「すずさんの居場所はここでもええし、どこでもええ」
婚家の中に「居場所」を見つけられない嫁。
戦争で焼け出されて「居場所」を失った被災地の人びと。
戦争が終わった、ある夕暮れ。街灯が灯り、家々からは炊煙が上がる。
空には星が瞬く。「普通」とは「居場所」のある日常だったのですね。

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月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美