「悪魔」に直面することは、誰しも、人生に一度や二度はあるでしょう。
「悪魔」に翻弄されて、破滅に向かうこともあるかもしれません。
映画「The NET 網に囚われた男」は、「悪魔」的窮地に置かれながらも、
最後まで「悪魔」に魂を売り渡さなかった男の物語です。
一方、「悪魔」との交流を通じて、人生の叡智を獲得することもあります。
映画「悪いことしましョ!」は、人間の成長を見せてくれます。
「悪魔」的ともいうべき才能に恵まれたがために、苦しむ人もいます。
映画「ギフテッド」は、自分の中の「悪魔」との折り合いがテーマといえます。
「悪魔」と交渉する心構えと技法、中谷さんから教わりました。
★こんな方にお奨めです♪
□「悪魔」に直面したときの立ちふるまいを学びたい方。
□映画「The NET 網に囚われた男」が気になる方。
□映画「悪いことしましョ!」で叡智を体得したい方。
7歳のメアリーは、数学的才能に恵まれた、いわゆる「ギフテッド」。
数学者だった母親の自殺をうけて、伯父フランクに引き取られます。
小学校にあがったメアリーにとって、学校は退屈そのもの。
でも、フランクは姉の遺志をついで、ふつうの学校生活を送らせます。
そこに登場したのが、メアリーの祖母でありフランクの母親のイブリン。
同じく数学者だったイブリンはメアリーに英才教育を施そうとして、
フランクと対立。ついに養育権をめぐっての裁判沙汰に――
映画「ギフテッド」、中谷さんの解説は必聴です。
伯父フランクは船の修理工。でも、前職は哲学の大学教授でした。
メアリーから「神様っているの?」という問いに、こう回答します。
「答えは持っている。だけど、君に押しつけない。
ひとりで考えろ。ただし、信じることを怖れるな」
いじめている上級生を殴ってしまったメアリー。
彼女に対する担任教師ボニーの対応も、中谷さん大絶賛。
「『謝りなさい』とは言わない。『言うことあるでしょ』。
『謝りなさい』と言わないのが、よい教育。」
映画で、大人の立ちふるまいを習得しましょう。
心にもないことを、怒りにまかせて、つい口走ってしまった。
そんな経験は、誰にでもあるでしょう。
でも、相手は、その言葉を真に受けてしまう。
「俺にも自分の時間をくれよ」と言ったフランクに、
メアリーは「私のせい?」と真に受けてしまいます。
ピアノを買ってくれないフランクに「死ねばいいのに」と口走るメアリー。
「人間は、思ってもみないことを言うものなんだよ」とフランク。
哲学者フランクの数々の箴言が、心に刻まれる作品です。
今回2作目としてご紹介するのは、「The NET 網に囚われた男」。
北朝鮮の貧しい家庭――男と妻、幼い娘――が冒頭のシーン。
明け方、漁に出る夫を起こして、給仕をする妻。
そんな妻に欲情してしまう夫と、応じる妻。布団をかぶる娘。
貧しいながらも、愛のある家族の情景が印象的です。
「冒頭のシーンは伏線。絶対見逃してはだめ。」と中谷さん。
その後、エンジントラブルで韓国に流された男がたどった悲劇。
そして、冒頭のシーンを打ち砕く、悲壮なラストシーン。
冒頭のシーンの大切さを、痛感しました。
「悪いことしましョ!」は、ハロルド・ライミス監督のラブコメディ。
主人公のエリオットは、いかにもモテないタイプです。
アリソンちゃんに思いを寄せるエリオット。そこに、つけ込む美人悪魔――
「1967年のイギリス映画を、今風にアレンジしている。
映画的題材は、すべて出尽くしている。
教訓があって、セクシーな映画。」と中谷さん。
古今東西変わらないのが人間の真理。
それを様々な確度から学べるのが、映画というものなのですね。
アリソンちゃんに恋するエリオット。
透明人間になって、彼女の日記を盗み見してしまいます。
そこには、理想の男性は、仕事ができる人より繊細な人の記述が。
「よし、それなら!」と、繊細な男を演じるエリオット。
ところが、思いもよらない展開に、エリオットは「666」コール…
「女性の言うことを、真に受けてはだめ。」と中谷さん。
そういえば、映画「ギフテッド」でも同じ教えがありました。
「人間は、思ってもないことを口走る」という教訓です。
映画で語られた教訓は、骨身にしみてきますね。
悪魔との契約とは、魂と引き換えに、願いを叶えるというもの。
アリソンちゃんとの恋愛成就を願うエリオット。
ところが、それにともなう困難や想定外の展開が次々と…
エリオットは最後に、こう漏らしました。
「もう願い事はいい。アリソンが幸せになりますように」
この瞬間、悪魔との契約は無効になりました。
無欲の行為をしたら、悪魔との契約は無効になるのです。
「見返りを考えてはだめ 結果よりプロセス。
天国か地獄かは、自分次第。」と中谷さん。
私たちも「悪魔」と契約してしまっているかもしれませんね。
留置場でのワンシーン。エリオットに、先輩囚人がこう語りかけます。
「魂は、売り買いできるものじゃない。
魂は、お前の持ち物じゃない。魂の持ち主は、神様なんだよ」
エリオットの失敗は、魂が自分の所有物だと勘違いしていたこと。
魂は神様からの預かりもので、「無欲」で活用すべきもの。
でも、中谷さんは、こうフォローします。
「人間なんだから、間違いもおかさないと、
なんのために生まれてきたかわからない。
映画を観ると、セクハラやパワハラをしなくなる。」
失敗からの学び方を、映画は教えてくれるのですね。
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