思春期の子供、パートナーとの関係、会社の人間関係――
人との関係で、人は悩み、苦しみます。
直面した問題に真っ向から挑むことも大切なことですが、
何度も玉砕していると、メンタルがまいってしまいます。
そんなときこそ、取り組み方を変えてみましょう。
「学校には行かなくてはならない」を「学校は行っても行かなくてもいい」。
「夫婦はいつも一緒にいるもの」を「夫婦はべつに一緒にいる必要はない」。
「世の中の当たり前」からいったん離れてみると、解決策が見えてくる。
常識から離れて、足場を確立する方法、中谷さんから教わりました。
★こんな方にお奨めです♪
□子供の不登校に悩んでいる方。
□会社や家庭に居場所がない方。
□パートナーとの距離感に悩んでいる方。
ゲスト:奈良巧さん(編集者)
まじめな人ほど、良くも悪くも「前例」に従順です。
まじめに学校に通っていた人は、会社にもまじめに通います。
でも「まじめ」だけだと、どこかで行き詰まってしまいます。
「学校や会社に取り込まれると、つまらない。
学校や会社を『絶対』にしないことで、消耗しない。
自分が主であるという意識を持とう。」と中谷さん。
「会社と対等」という意識が、自分を救うのですね。
「子育ては妻の役割」という認識はだいぶ薄らぎましたが、
進んで、子育てに参加しようという男性はまだ少数派のようです。
「植物でも、子供でも、一から育てることで、変化がわかる。
変化を踏まえることで、完成がイメージできる。
一から、育ててみよう。」と中谷さん。
手間がかかる幼少期を、奥さんに任せっぱなしにしておきながら、
高校生の子供に、進路を示したところで耳を傾けてもらえません。
赤ちゃんのときからの人間関係が、信頼につながるのですから。
いじめを苦にして自殺する子供があとをたちません。
自殺した子供たちは、学校でのいじめもつらいことだったでしょうが、
それとともに、学校に行かないことで、親を悲しませたくない。
そんな板挟みで、みずから命を断ってしまったというケースもあるようです。
「親が自分で教育するという覚悟。みんなと違ってもいいという覚悟。
親の覚悟が、子供のストレスを緩和する。
子供に『学校は、行っても行かなくてもいいよ』と言おう。」と中谷さん。
親の覚悟が、子供の心を軽やかなものにするのです。
あるとき、修行僧が趙州和尚に問いかけました。
「犬には仏性があるでしょうか、それともないでしょうか?」
和尚は、「無」と答えました。(趙州狗子「無門関」より)
「禅の公案には「正解」がない。だから考え続けなければならない。
お寺に石段が多いのは、無になるため。
ランダムな石段を登っているうちにしんどくなってくる。
必死にのぼるうちに思考を忘れる。これが無の境地。」と中谷さん。
つらいものだったお寺の石段をのぼってみたくなりますね。
「期待」と「失望」は表裏一体。
期待すればするほど、失望も大きいものです。
大恋愛の末のゴールイン。ようやく、夢の結婚生活が始まる!
――と思いきや、結婚生活は思ったような甘美なものではなく…
こういう話はよく耳にします。
「お見合い結婚ほど離婚率が低い。大恋愛は離婚しやすい。
期待値が低いと、長続きする。」と中谷さん。
諦めの境地で向き合うことで、かえって幸せに気づけるのかもしれませんね。
恋愛をしていると、相手を美化してしまうものです。
これを「結晶作用」というのだそうです。
和歌の世界は、この結晶作用そのもの。
顔も見たこともない相手に恋い焦がれる日々。
ああでもない、こうでもない。ああしたらどう思われるか。
こんなことなら会わなければよかった――
「ひとりですったもんだしているのが、王朝の人びと。
所帯じみている女性は好まれず、夫婦は別居の通い婚。
現代の価値観とはまったく違うのが和歌の精神世界。」
中谷さんの解説を聴いたら、あらためて和歌にふれたくなりました。
いつもいっしょにいたい。それが愛情のあかしだから。
じつは、この考え方は、大きな勘違いなのかもしれません。
「時間の長さが、愛情の量ではない。ずっと一緒だからきつい。
顔を合わせていなくても、心の拠り所にはなれる。
別行動だから、ドキドキできるし、安心もできる。」と中谷さん。
牽牛と織姫、ロミオとジュリエット。めったに会えないから燃え上がる。
長続きする恋愛の要諦は「ふだんは別行動」なのかもしれませんね。
**
月ナカ生活 コーディネーター・曽我清美